急に地方への出張を言い渡された。
平日の朝、都会を離れる新幹線はがらりと空いている。
車内には大きな鍔の白い帽子をかぶり、これまた白いワンピースを着た
何が入っているのか大きめの箱を抱えた女性が一人いるだけだ。
休日でもないのに田舎に向かう者などいないということなのだろう。
そんなことを考えつつ、席へと向かう。
後ろから二番目の、二列ある席の窓際の席。
自分が新幹線を利用する際、座れる時には必ず座る席だ。
席につき、リクライニングシートを倒し背中を預け、体を弛緩させる。
なんとも心地がいい。
ここ数日、残業や激務が重なりゆっくりとする暇が無かった。
そのせいか直ぐに眠気がこみあげ、抵抗する間もなく寝入ってしまった。
気がつくと、新幹線は走り出していた。
寝ぼけた頭で窓の外を確認する。
だが、猛スピードで通り過ぎていく風景から情報を得ることは出来なかった。
目的の駅は、終点の一つ前。
寝過ごしたってどうにでもできる距離なのだから焦る事は何一つない。
これまで取る事が出来なかった睡眠をたっぷりと取ろうと、そう思った。
しかし、そこで隣に女性が座っていることに気がついた。
帽子をかぶり、白い衣装をまとった彼女だ。
車内は空席ばかりだというのに、彼女は隣の席に座っていた。
帽子を深くかぶっているので表情は分からないが、美しい女だと思った。
年をとっているのか、若いのすらも分からない。
まるで人形の様な女だった。
彼女が何を考えているのか、さっぱりわからない。
隣の女は、先ほどと同じように箱を抱えていた。
その手つきはまるで赤ん坊を抱えるように優しい。
一体何が入っているのだろうと興味がわいた。
眠い目をこすり、そっと横目で確認するがどうにも眠い。
「うふふ」
そんな眠気と好奇心との狭間で揺れていると突然笑い声が聞こえてきた。
箱の中から、鈴を転がしたかのような女の声が聞こえてきた。
その声は何故か執拗に心をざわめかせる。
いよいよ寝ぼけて幻聴を聞いてしまったかと思ったその時。
「聞こえましたか?」
女が話しかけてきた。
その声は先程聞こえた笑い声とは明らかに違う。
成熟した女の、なまめかしい声だ。
思いもしなかったことで言葉を失いつつも、なんとか頷いて意思を表示する。
「そうですか。」
すると女は、いたく嬉しそうに唇を曲げる。
上機嫌に笑う女に、先程の声はなんなのか効かずには居られなかった。
「内緒にしてくださいね。」
すると意外にも女は疑問に答えてくれるようだ。
女は人差し指を唇にあて、声を顰めながら言葉を続ける。
「内緒にしてくださるのならば、箱を開けてみてください。」
先程の声の正体が分かりますわ、そう言って女は微笑んだ。
女の膝に大事そうに置かれた箱。
鍵がついた観音開きの扉にそっと手をかける。
ただ、箱を開けるだけだというのにじっとりと手に汗がにじむ。
一体、自分は何に緊張しているのだろう。
それでも気を持ち直しゆっくりと箱を
開く。
「うふふ…」
箱の中には、綺麗な娘がぴったりと入っていた。
箱を持つ女と負けず劣らす人形の様な娘。
いや、こんな小さな箱に入っているのだ、人形なのだろう。
透き通るような肌
いやに大きなくりくりとした瞳
匂い立つような色香を感じさせるものの不思議とあどけない顔つき
見ているだけで、情操をかき乱すそんな娘だ。
「ねえ、お兄さん。」
言葉もなく呆然と見つめていると、箱の中の娘は
にっこりと笑った。
「私と、遊びましょう。」
突然、箱の中から細い二本の腕がのび、体を掴まれる。
ああ、生きている。
そう思った私の体は、箱の中に吸い込まれていく。
意識を保つことが出来たのはそこまで。
最後にちらりと垣間見た箱を持つ女の顔は
まるで母親の様に優しい表情が浮かんでいた。
それがなんだか、酷く羨ましくなってしまった。
………………………………
「あっん、んんはぁ…いい、いいよぉ」
あれからどれくらい経ったのだろう。
ようやく目が覚めた時、箱の中にいた娘は体の上に圧し掛かって腰を振っていた。
限界まで怒張したペニスは、体験した事が無いほど濡れた女性器に飲み込まれている。
「あはぁ…目が覚めたぁ?」
恍惚の表情を浮かべた娘がじっとこちらを見つめる。
その瞳や表情には先ほど見たあどけなさは消え、酷く発情した女の色香が漂う。
その様は、過去に知り合った女を忘れ去るほど
可憐で、淫靡で、蟲惑的だ。
まるで見ていると自分の全てを吸い込まれてしまうような錯覚に陥る。
「私とお兄さんは、とぉっても相性がいいみたい」
一心不乱にペニスを貪る娘が笑う。
「だから、私と一生ここですごしましょう…」
「私と
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