銅島葵の場合=10×6

銅島花火工房の事務所兼自宅である建物の一室は異様な光景に包まれていた。
夫婦が寝室として使用しているその部屋は現在、大量の蜘蛛の糸が張り巡らされている。いや、張り巡らされているという言葉が適当ではないと思ってしまうほど大量の糸が天井や梁、柱などに絡みつき垂れさがっている。しかしその状態だけだと、ジョロウグモやアラクネなどの魔物娘が当り前のようにいるこの世界ではそうそう不思議な光景ではない。現にこの家の住人は蜘蛛の糸を自在に吐き出す事が出来るウシオニであることを知っている人ならば「ああ、彼女がはしゃいでいるのだな」といった具合になんの疑問も浮かばないだろう。

だが、それだけではない。
糸が張られていない部屋の真ん中、かまくらの内部のように広がるその空間を取り囲むようにして分身薬で分身した六人の男達…この家の住人であり銅島花火工房の経理や事務を担当する銅島武志たちが、下半身を露出させた状態で蜘蛛の巣に拘束されているのだ。ある者は手を後ろに回した状態で、ある者は十字架に張り付けられた様な状態で、またある者は万歳をしたように手を上に挙げた状態で蜘蛛の糸に捕らわれている。しかも男達は他の糸とは違い白色が濃い糸で視界や口を塞がれ、まさに哀れにも蜘蛛の巣に絡まってしまい、餌食となる以外の未来を奪われてしまった虫たちと何も変わらない状況で捕えられていた。

まさに字のごとく肉林と呼ぶにふさわしい光景が広がる現状は、いかに魔物娘たちが跋扈するこの世界の中でも異質な空間と呼べる状況だった。

「ああ、いいねえ〜何度してもこれはいい光景だ……震えが止まらないよ。」
そしてその部屋の中心で鬼が嗤っている。
愛する男達に囲まれ、隠しきれない愉悦に顔を歪めせているのはこの部屋の絶対的支配者であり、彼らの妻である銅島葵だ。夫達の生殺与奪を全て奪い去り、これから犯し尽くす事が楽しみで堪らないといったウシオニの表情に恐怖すら感じてしまう。
「さて、じゃあどの武志から…めちゃくちゃにしてやろうか……なぁ♪」
葵は楽しそうに鼻歌を歌い、蜘蛛の足を動かして器用に体を回転させながら夫たちを物色していく。
一人一人のペニスや睾丸を彼女の大きな手で鷲掴みにし、海綿体の充血具合や精子の貯められている生殖器の重みを確かめてゆく。それはあたかも果実園で紙袋に包まれた果実を見る様な優しい手つきだが、確実に武志達のツボを刺激する絶妙な手加減でより興奮を加速させていく。


「…なんだ、もう金玉が射精しそうなくらい縮みあがってんじゃないか。それなら、お前にしてやろうかな〜。」
葵が最後に愛撫を施したのは彼らの中で最も年長の分身、十代後半の武志だ。
楽しげな声色とは裏腹に荒々しく施される快感に武志はびくびくと体を震わせる。視界を奪われていることで余計に感覚が増幅されるのか、他の分身に行われた愛撫によって与えられ、共有する快感で既にペニスは痛いくらい勃起している。それを嬉々として見つめていた葵は武志の耳元に口を近づけ、少し間を空け優しげな声で想像もしなかった言葉を発した。

「……と思ったが、お前だけは最後まで何があっても射精させてやらないから……覚悟してくれ
#9825;」
「!?」
妻の言葉によって分身全員に動揺が広がる。
その様子を満足げに眺めながら葵は蜘蛛の糸を夫の男根に巻きつけていく。睾丸、ペニスの根元、亀頭のえらにうっ血するほどきつく糸が巻きつけられていく感触を感じながら、武志はこの糸が外れなければ射精すらできないという事実に震えていた。
「よし、できた。これで…お前は自由に射精も…いや先走りだって満足に吐き出せないな
#9825;」
自ら施したデコレーションに目を細めながら葵は頷く。
「さてっと。じゃあ準備は出来たし…始めようか、夫婦の営みをよ♪」
そして目を塞がれて見えるはずの無い夫達に凶悪な笑顔を浮かべつつ、ウシオニは次の獲物へゆっくりとその魔の手をのばしていった。






「…っ!!」
「ま、誰からしようと問題ないし若い順ってことでいいよな、武志?」
次に葵が襲いかかったのは分身の中で一番若い分身、十代前半の姿をした武志だ。
体が小さく軽いこともあって、彼の体は他の分身よりも高い位置に固定されている。ちょうど体が大きく、背の高い葵と目線が合うほどの位置に縛られた彼は、これから自分の身に何をされるか分からず、恐怖で体を震わせる。
「なあ、そんなに怖がるなよ。アタシはただお前たちと気持ちよくなろうと、愛し合おうとしているだけじゃあないか。そうだろ?」
「……。」
「ただ、その前にちょっとつまみ食いするだけ、さ
#9825;〜♪〜
#9835;」
夫をこれから甚振るということで一層嗜虐的な視線を向けていた葵は、突然場違いな程楽しげなメロディをした口笛を吹き始める。

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