山田春代の場合=10×2、40×1(後半)

「ああ、うち……夢が…叶った…」
様々な年齢の利一が目の前にいるこの状況。
それは春代にとって叶わないと思っていた夢が、叶えることができる現実であるという事を教えてくれていた。


「は、恥ずかしいからそんなに食い入るように見ないでくれよ…。」
「いいえ。こ〜んなに可愛い旦那様のお姿から目が離せるわけないやんか〜!!なになにこれは…初めてのおねしょ記念やって〜!!!んもぉ〜布団の前で泣きじゃくってる旦那様だなんて……うちは悶え過ぎて死んでしまいそうや〜
#9825;」
「本当に勘弁して!!!」

春代は利一と結ばれた当初から、過去に撮られた家族写真などを羨望の眼差しで眺めていた。
分厚いアルバムに大切に保管された写真の中で、家族に囲まれ嬉しそうに微笑み、笑い、時には泣いている赤ん坊から青年に至るまでの利一の姿が克明に記録されている。それは利一の成長の証であるし、『家族』の大切な時間を色褪せることなく見る者に伝えてくれる。

だが、その写真の中に自分の姿はない。
お互いに社会人となってから出会い、結婚したので当然のことではあるが―――そのアルバムの中には『春代が直接見た事のある利一の姿』は一枚もない。

それが…なにより悔しかった。
誰よりも利一を愛してやまないのに、私は写真でしか彼の幼い姿を見る事が出来ない。もしその当時の彼に会う事が出来たなら…それが出来たならば、どんなに甘やかすだろう、わがままにつきあうだろう、愛するだろう。そしてどんなに彼に依存してしまうだろう。そんな甘い想像を春代は写真を見る度に夢想し、ため息をついていた。そしてそれが出来なかった事に対する苛立ちと、誰に対してかすらも分からない嫉妬心を心の中で燃やしては自己嫌悪に陥っていた。



「ね、ねぇ…僕に何が起こったのか、教えて?」
そんなことをまるで走馬灯のように思い出して固まっていた春代に向かって、一番幼い利一がゆっくりと確かめるようにしながら歩み寄ってくる。一番体格的に変化しているだけに仕方ないのかもしれないがその足取りはおぼつかない。そうして私の元にたどり着くと、着物を下から引っ張りつつ、上目遣いでくりくりとした目をこちらに向けながら質問してきた。
「……ハッ!!」
それを見た瞬間、まるで雷に打たれたかのような強い衝撃が春代の体を突き抜ける。

(か、可愛い!!かわいい!!!カワイイ!!!!可愛すぎて…やばい……これ、最高やん
#9825;抱きしめたい
#9825;…尻尾で締め上げたい
#9825;…嫌がるのを無理矢理犯したい
#9825;食べちゃいたいくらい可愛いやん、旦那様
#9825;色んな服を着せて…嫌がるのを無視して舐めまわしたいわぁ
#9825;足の先から頭まで、何十回でも味わうように舐めつくしたい
#9825;あ………見てるだけで、イっちゃいそう
#9825;)

そんな今まで利一に抱いてきた劣情とは別の、目覚めさせてはいけない様な感情や欲望が春代の体から一斉に溢れ出た。あやめが言っていた新しい性癖が増えたという言葉も今なら痛いほど理解できる。あくまで旦那様限定だが、幼い子供も………良い。
「どーしたの?」
春代が邪悪な性欲を滾らせているとはつゆ知らず、純真な視線を向ける夫に春代は一先ず今もっとも叶えたい欲望を押し付けることにした。荒い息を吐きつつ、甘やかすような口調で夫に迫る。
「はぁ……ハア……お姉ちゃんって……」
「え?」
「はァ……春代お姉ちゃんって…うちのこと呼んで?」
「分かったよ、春代お姉ちゃん!!」
「ぐっ…ぅぅう…
#9825;」
幼い利一は躊躇いも疑いもせずに私の事をお姉ちゃんと呼んでくれた。
ただ、お姉ちゃんと言われただけなのに…。ただそれだけなのに春代はまるで激しいセックスをして絶頂したかのような強い衝撃を感じていた。髪の毛の一本一本、下半身を覆う鱗の一枚一枚、その全てが喜びにうち震えているのはきっと…気のせいではないだろう。写真の中に写る、手の届かないものと諦めていたものが手に入った。それは予想以上の歓喜だった。


「も、我慢できん
#9825;…いただきまッ!?」
「おっと……ここにいるのは、幼い私だけじゃないんですよ?」
その歓喜をもっと味わいたくて、目の前の夫に欲望の全てをぶつけようとした瞬間、背後からいきなり抱きしめられ腰に太い腕を回され引き寄せられる。それは力強いながらちゃんとこちらに苦しさを感じさせないよう配慮されている力で、その心遣いや優しさは幼い利一に夢中になっていた春代を途端に違ったときめきに誘う。

「あんまり幼い私ばかりに熱をあげられたら…妬いちゃいそうだなぁ♪それともこんな年寄りはイラナイ、かな?」
強引に引き寄せられた私の耳に囁かれる声は、甘く低い。そんな囁きができるのはこの場で一人し
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