人虎である月子と人間である篤は切っ掛けはどうあれ、無事に夫婦となった。
元々顔馴染みと言う事もあり、月子は特に問題も無く木村家の一員として受け入れられた。山に建てられた民家に住んでいた月子も木村家の母屋に居を移し、篤は今まで通り農業に精進し、月子は篤の農業を手伝いながら今までの様に書画などを描いて生活を過ごしている。
これは月子と篤が夫婦となってある程度の時間が経過したころのお話。
仁王立ちフェラ
ジュポ チュッ チュウ ンハ ジュルル
室内に卑猥な水音と男女の喘ぎ声が響く。
そこは木村家の一室であり、篤と月子が夫婦の寝室として使用している部屋だ。
既に二人はそこで数え切れないほどの性行為を交わし、篤は完全なインキュバスに、そして月子は夫だけを愛する女へと変化を遂げていた。その甲斐あってか、初期に比べると少しずつであるが月子が発情を催す期間が短くなり、発情する回数も多くなっているのは必然なのかもしれない。
そんな二人は今、前戯に耽っている。
篤が股間を突き出すようにして立ち、月子が膝をついて腕を篤の腰にまわし口でペニスに奉仕する。所謂『仁王立ちフェラ』というやつだ。月子は未だ完全な発情をむかえているわけではないが、頬を真っ赤に染めて一心にフェラをする姿はその時期が直前まで迫っている事を篤に予感させる。
「月子さん…気持ちいい、よ!」
弱点を知り尽くした月子による口淫によって、篤の精神は否が応でも昂ぶっていく。
「んじゅっぷ…御褒美、だから…存分に気持ち良くなってくれ
#9825;」
月子は上機嫌にそう言うと、肉厚な猫舌でべろりと裏筋を舐め上げる。すると篤のペニスは無意識のうちにビクンと大きく跳ねて喜びを月子に伝える。夫が自分の奉仕で昂ぶっているのが嬉しいのか、月子はさらに熱を上げて奉仕を再開する。
彼女が行っている現在の行為は二人の間で『御褒美』として決められたものだった。ちなみにこの御褒美制度は月子が提案したもので、一体何の御褒美かと言うと…「私が発情期をむかえるまでよく我慢したで賞」を受賞した篤に対する御褒美なのだそうだ。
通常時の彼女は非常に厳格であり高潔である。
ふざけて耳に触るといったセクハラでもしようものなら、容赦なく正義の鉄槌が下されてしまう。しかも人間だった時は幾分力を抜いてくれていたのに、インキュバスになった途端、「同じ魔物ならば、手加減はしなくてもいいよね
#9825;」と絶好の稽古相手と言わんばかりに襲いかかってくるのだ。篤はもう数え切れない位、彼女の柔術の餌食となっている。
そんな月子の発情期の谷間にあたる期間、篤はちょっとした禁欲生活を強いられる。ちなみにマスターベーションは月子に「絶対に許さない。」と強い言葉で禁止されているので出来ない。勿論、浮気なんてするつもりなど毛頭ないし、もしもそんなことをしてしまえば自分の身も、浮気をした相手の身も危険にさらされるであろうことは容易に想像できる。インキュバスの本能なのか時折強い衝動にかられる事があるが、月子の事を思えば禁欲生活も辛くは無かった。
そんな禁欲生活を夫に強いることに月子は後ろめたい気持ちがあるのか、夫婦となって数度目の発情期をむかえる直前の深夜に「私が発情期をむかえるまでよく我慢したで賞」とそれによる御褒美制度を発表した。月子の用意したこの賞によってもたらされる“ご褒美”は、本番や月子が嫌なこと(お互いを傷つける行為など)以外のもので篤の望む行為を実行するというものだった。
この話を聞いた瞬間、何よりも先に篤の頭に浮んだのが現在月子によって熱心に行われている『仁王立ちフェラ』だ。初めて御褒美として行ってもらって以来癖になってしまい、毎回お願いしている。
「っんちゅ…くちゅ、くちゅ…どう、気持ちいい?」
跪きながら頬を真っ赤に紅潮させ、端正な唇から涎を垂らしながらフェラをする様や、男根越しに上目遣いでこちらの様子を窺う月子を見ると、普通のフェラでは得られない快感が篤を駆け抜ける。その快感は月子を跪かせ奉仕させることによって普段凛として美しい彼女を屈服させているような倒錯感や、メスを征服したいという心の奥底で眠るオスとしての本能を刺激する…篤が想像した以上のものだった。腰に強く力が入らず、気を抜けばすぐにでも射精してしまいそうになるのをなんとか堪える。
「(ぐぅ…これは、何回経験しても…我慢できない。気持ちよすぎる!!)」
だが、篤の目的はそんなものではない
月子に仁王立ちフェラを要求した本当の理由は―――全く別の、なんとも彼らしい欲望から起因したものだった。
想像していただきたい。
『仁王立ちフェラ』を受けている男の手は自然と何処に向けられるのか、を。
もにゅ しゅるっ にゅくにゅく さわさわ
[3]
次へ
ページ移動[1
2 3 4]
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想[#]
メール登録