俺、田子浦 和喜(たごうら かずき)は所謂しがないサラリーマンだ。
入社三年目でそこそこ仕事が出来るようになってきて、上司の無茶ぶりもそつなく躱せるようになったが、長引く不況の影響か俺以下の新入社員が入ってこないので、ずっと俺が今の部署含めフロアで一番の下っ端と言う状況が現状の不満だったりする。
「カズぅ〜〜」
そう、俺は下っ端・・・と言う事で、俺は毎度のように部署の歓迎会の幹事をやらされて。
「わらしの話しぉきいてりゅのきゃぁ〜〜??!」
今宵も酔っぱらいのお世話を仕っているのだった。
「はいはい、聞いてますよ」
「ん、ならば良し!!」
この酔っぱらいのお方は、三笠 希美(みかさ のぞみ)さん。
俺が新入社員で入った時に直属で指導にあたってくれた先輩・・・の上司であり師匠と呼ばれている人だから、俺には大先輩なお方。
お酒に強くてサバサバした物言いの、いつも背筋とシャツがピンとしている絵に描いた様なキャリアウーマンタイプの女性、なのだが、今日は少しお酒を過ごされてしまったらしい。
珍しい事もあるもんだ。
「も〜いっけん!も〜いっけん〜!!」
真赤な顔して俺の首を腕でホールドしてはしゃぐ姿は、いつもの格好いい先輩とは思えない程の乱れっぷりで・・・
「や、もう終電無くなっちゃいますから、三笠さんもう帰りましょうよ」
「やーらーのー!せっかくカズと二人っきりになったんら!朝まで飲み明かすコースだじぇ!」
あああ、もう、可愛いなぁ、三笠さん。
三笠さんは、バリキャリで出世頭な三十代・・・らしいのだが、背が小っちゃくって化粧で何とか隠しているつもりだけど実は童顔で、うっかりすると見た目が学生さんと間違われてしまうのが最近の悩みらしい。
常のパリッとした姿勢では無いこの状況がまさにそんな感じで、夜中のキラキラしたネオンが輝く大通りでケラケラ楽しそうに笑っている顔は、仕事中には決して見れない幼さに満ちたものだった。
そんな三笠さんのお姿に、三笠さんの事を憎からず思っている俺が嬉しくない訳が無くって。
「そんな事言ってると、本当に朝まで離してあげませんよ〜」
性的な意味で!なんちゃって!!と前後不覚にはしゃいでいる三笠さんには伝わらないだろうなと冗談めかして言った言葉に、俺の首に掛かっている腕が強く締まるのを感じる。
しまった!怒られるか?!と失言と喉の苦しさに身を竦めて、首を絞めている元凶の大先輩を見遣ると、そこには頬を赤く染めながらも、瞳は妙にしっかりと意思をもった三笠さんの顔があった。
「うん、良いよ、家行こう」
「え・・・」
言葉の真意を測りかねぬまま、俺はしっかりとした足取りの三笠さんが素早い動きでタクシーを捉まえ、俺の手を引いて乗り込むと車が港区方面に走り出すのを、どこか現実離れした気分で見続けていた。
・・・俺、連れ込まれた?のか?
「楽にしてて〜♪」
タクシーの中で三笠さんと会話が無いまま、あれよあれよと言う間に、彼女が住む高そうなマンションのリビングに居る。
「はい・・・」
ここが三笠さんのお家かぁ・・・良い香りがする・・・と、ドキドキしながらソファーに腰かけて家主を待つと、グレーを基調としたスーツからレモンイエローの部屋着に着替えた三笠さんは、元々の幼さにもっと拍車をかけた犯罪級の可愛さで俺の前に現れた。
「おまたせ、カズもスーツ脱いじゃいな〜♪」
三笠さんはそう言うと、柔らかい手つきで俺の上着を脱がせハンガーに掛けてくれる。
「ズボンは・・・どうする?」
「や、流石にそれはまずいので」
密室で酔った男女が二人きり、それに拍車をかけて俺がシャツとパンツだけになっちゃったら色々まずい事になりそうで、いや、俺としては大変喜ばしい事なんだけど、でも、会社での関係とか壊したくないし、しかし・・・
「なんでまずいの?」
固辞しながらも色んなことが頭を巡ってぐるぐるしている内に、三笠さんは俺のベルトを外しに掛かってくる。
「わー!何するんですかっ!!」
「大きな声出しちゃ近所に迷惑だからダメだよ〜。で?自分で脱ぐ?脱がされる?」
「・・・自分で脱ぎます」
じゃあハイ、と渡されたのは、男物のハーフパンツで、ソレがある事を何で早く言ってくれなかったんだと言う思いと、何で男物の服がここにあるんだろうと言う暗い思いが交差したまま、俺はズボンを穿き替えた。
「は〜い、改めてかんぱ〜い♪」
「マジで朝まで飲むンすか・・・」
「当ったり前じゃない!」
三笠さんが用意してくれたお酒を飲み、つまみとハーゲン○ッツを食べながら、何か期待していた方向がズレてきたな〜と感じていた。
「あんなに酔ってたのに、元気ですね」
ピーナッツとバニラアイスって会うわ〜とポ
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