「…目、覚めちゃった?」
雪舞う空よりも静かな蕾の中。
狭く、暖かく。どれくらい眠っていただろう。
やわらかに微笑む彼女。
花弁は開いていない。春はまだ訪れていないようだ。
緊張した筋肉を解こうと、無意識に身体が背伸びしようとしたけれど…
腕が、僕の全身を絡める彼女の蔓を引っ張ってしまったのに気付き、やめた。
そんな些細な動作にさえ、彼女は気付き、また微笑みを浮かべる。
「ごめんね。まだ、眠っていていいよ…」
ふんわりとした声で、囁きながら…僕の頭を撫でる。
初芽よりも柔らかな手が、心地良さを運んでくれる。
彼女…アルラウネに捕らえられてから、もう3つの季節が過ぎた。
僕は彼女の花の中から一歩も外に出られなくなり…いつしか、出なくなり。
抵抗も出来ぬまま堕ちた僕を、彼女はいつも優しく包んでくれた。
蜜を腰まで浸し、蔓を身体中に絡め、花を心深くまで香らせ…。
今では、それをとても幸せに感じる。
「…あのね…」
話し掛ける彼女に、僕は目を瞑って、たわわに実る胸に甘えかかる。
「キミが眠っている間…30回くらいかな…」
潤いある肌。瑞々しい。
普段ならば、ドキドキして、エッチな気分になって、
彼女にねだるところだけれど…寝起きだと、そんなやましい気分は湧かない。
また、うとうととした眠気に沈んでいく…。
「エッチなコト、しちゃった…
#9829; 気付いてた…?」
夢心地の中で、頷く。
聞こえてくるのは、小さく、無邪気な笑い声。
「えへへっ…
#9829; いっぱい出してたんだよ、キミ…
#9829; でも、起きなくって」
うなじを軽く掻く彼女の爪。少しくすぐったい。
「なのに、軽いキスで目を覚ますなんて…。何かの童話みたい」
…僅かに顔を上げて、寝惚け眼で彼女を見る。
僕を見下ろす彼女の頬は、包む花弁と同じ色。
「………ね…」
何かを促すような、呟き。
なんとなく…そうかなと思い、胸から顔を出して、目を瞑る。
「…
#9829; ……んっ…
#9829; ちゅっ…
#9829;」
抱き寄せと共に、唇に柔らかな感触…。
互いの身体の動きに、蜜がちゃぷんと波を立てる。
夢の中で幾度と感じた口愛。
触れ合いを好む彼女の愛し方は、貪りも、求めもせず。
唇が閉じていれば、何度も啄み、僅かに口を開けば、吐息を送り、
もう少し開けば、舌で上下の唇を撫で、舌を突き出せば、その全身を愛撫し。
僕の動きに合わせて、彼女は動きを変える。奉仕するかのように…。
「ちゅぅ…
#9829; ちゅ…
#9829; …可愛い…
#9829; ぺろっ…
#9829; 」
彼女の艶めかしい口付けを、ただ受け止めるだけの僕。
僕は女性を抱いたことがない。抱かれたことだって、彼女が初めて。
だから、どうすれば気持ちよくさせてあげることができるか、分からない。
分かるのは、彼女がこうして僕を好きにしている時が、とても幸せそうなこと。
それを見て、僕は、彼女にされるがままが一番良いんじゃないかと思った。
彼女にとっても。僕にとっても。この形が、今の僕にできる愛し方。
「ちゅっ…
#9829; 眠っていいよ…
#9829; 眠いでしょう…?
#9829;」
快感の中でまどろむ僕の気持ちに気付いてか、そう囁く彼女。
「可愛い声と、表情を見せてくれれば、私はいいから…
#9829; ちゅ…
#9829;」
…好意に甘えて…彼女の愛に包まれながら、夢へ落ちていく…。
その終着までエスコートするかのように、止め処ない快感を与えてくれる彼女。
「ん…
#9829; 蜜…、またいっぱい塗ろうね…
#9829;」
唇が離れ…替わりに触れるのは、甘い指先。
蜜を絡めたその指を、僕の口の中に挿れ…舌に塗り込ませて…抜き、
また唇を絡めて…流し込まれる唾液で…蜜ごと飲み込まされる。
…すぐに熱くなってくる、僕の身体…。
それを冷ますかのように…でも、実際は逆、両手いっぱいに掬った蜜を、
首下から垂らし…肩から、腕や胸…お腹…浸かっているお尻まで、丹念に塗り込む。
それはもう、丹念に…お尻に指を挿れて、その奥まで塗り込んで…
まだ半勃ちなあそこにも、皮を剥いて、雁首の裏まで、丁寧に…。
繰り返しになるけれど、腰から下は、彼女に捕まってから、ずっと浸かったまま。
今更塗り込む必要はないのに、几帳面なのか、愉しいのか、いつもこうして…。
その顔は、とても嬉しそうで…。
「そう…
#9829; その顔…、その切なそうで、恥ずかしそうな顔…
#9829;」
塗り終えたところで…べたべたな両の手は、まず僕の胸を愛撫に掛かる。
軽く一撫でした後…胸肉を持ち上げるかのように、ふにふに摘み上げたり、
乳首を指先でくりくり弄ったり、ぷにぷに押した
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