「それにしても〜、治って本当に良かったですね、リムちゃん〜」
「うふふ…
#9829; ありがとう、もも
#9829;」
歩きながら、和気藹々と話す…ももちゃんと、リムさん。
「…驚くほど、簡単に打ち解けてるわね…」
サキュさんの言葉に、頷くと共に…とても嬉しい気持ちになる。
…あの後……何十回目………ううん、百何回目かで、
まるで霧の様に、リムさんのは跡形もなく消えてしまった。
ダークプリーストが言うには、術は成功して、もう生えてくることも無いらしい。
リムさんはすごく喜んだけれど…最後に、もう私とはあっちでできないんだ…って、
残念そうに言って、それがサキュさんの怒りに触れて、こっぴどく怒られてた。
「あら。ドラ、その可愛いキーホルダー、どうしたの?」
「…ぱんでもにうむで…」
「買ったの?」
「うん…」
「可愛い花型ね
#9829; ドラに似合っているわ
#9829;」
「…ありがとう…」
…そしてその後、宿屋で、リムさんは皆に改めて謝り、お礼を言った。
そんなリムさんを…もう怒ったりしている人は誰もいなくて、
今はもう…こうして、私達の輪の中に溶け込んでいる。
掛け替えのない、仲間のひとりとして。
「………」
と…急に立ち止まる、クノさん。
「鼠花火」
パンッ!
「アッヂィィーーーッ!!?」
道路横の木…その茂みの中から、何かが爆発したような音と……飛び出してくる、影。
「ぬぉぉーっ! スカーフ! 婆ちゃんから貰ったスカーフが大炎上ーッ!!」
…目の前をゴロゴロと転がる……たぶん、魔物。
「み、ミッキちゃーんっ!」
今度は、後ろの方から…こちらに走り寄ってくる……つぼまじん。
「…あれ。あの子…」
「相棒ーッ! 水ッ! 水をくれーッ!!」
「はいっ! ミッキちゃん、水だよぅ!」
「ゴクゴクゴク…。プハーッ! うめぇっ!」
「飲んでる場合じゃないよぅ!?」
…新手の旅芸人?
「つぼさん…と、ねずみさん?」
「えっ? ……あ、おねえさんっ!」
「ぬ? …おぉ、相棒2号! 力の2号!」
え? おねえちゃんの知り合い?
「わぁっ! おねえさん、お久しぶりですっ!」
「うん、久しぶり。こんなところで、何してるの?」
「…えーっと……それは…」
どことなく、言い辛そうに目を伏せるつぼまじん。
「ちょっと相棒2号! 聞いてよ! あたいの話!」
「うん」
「腹減った! 旅人の荷物狙った! 失敗した! 終わりっ!」
「そっか。チーズなら一欠片あるから、あげる」
「うっひょーいっ!! さすが相棒2号!」
「ミッキちゃん…」
うん、絶対悪い人ではないのは分かった。
「でも、もう旅人を襲ったりしない方がいいよ」
「そうだよぅ、ミッキちゃん…」
「ハグハグクッチャモグフガモグガフッ!」
「うん、話すのは食べ終わってからでいいよ」
「ゲフッ。でも食糧が無い!」
「分けてあげる。ソラちゃん、いいかな?」
もちろん頷く。
「うっひょひょーいっ!! さすが相棒1号!」
「えっ? ミッキちゃん、私格下げ?」
「つぼさんは町で別れた筈だよね? どうして一緒に?」
「…あの後、町にミッキちゃんが忍びこんで…」
「泥棒として捕まりそうになっていたところを助けて……また成り行きで…」
「…苦労したんだね…」
「ぅぅ…」
ぽんぽん、とつぼまじんを慰めるおねえちゃん。ちょっと羨ましい。
「そーだ、相棒1号。あたい今気分が良いから、これあげる!」
「…? 何、これ?」
おねえちゃんがラージマウスから受け取ったのは…何か動くものが入った小瓶。
「オジャマタクシ」
「ミッキちゃん、オタマジャクシ」
「そう、オジャマタクシ」
「………」
「オタマジャクシにしては、身体が長くて、顔が尖ってるね」
おねえちゃんの一言に、私も…みんなも、興味深く瓶の中身を見つめる。
「何処で採ったの?」
「机の上」
「ミッキちゃん、もっと大きな範囲で…」
「んーと…相棒1号と会ったところの、隣の隣の部屋」
「教団の…?」
「ねぇ、うーによく見せてっ」
手を伸ばして、瓶をせがむうーちゃん。
おねえちゃんは少し腰を屈めて、うーちゃんが受け取りやすいようにして手渡した。
瓶を受け取ると…うーちゃんがいつになく真剣な眼差しで観察し始める。
「何か特殊な生物なのかな…」
「新たな魔物の幼生体か…まったく新種の生物という可能性もあるな」
「実はペット、とか〜?」
「……ひじょうしょく…」
「…それはまた、随分世知辛い食糧事情ね…」
「ちなみにチーズは無かった」
「ミッキちゃん、それ全然関係ないよぅ…」
…本当に、ただの珍しい形のオタマジャク
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