第四十四記 -メドゥーサ-

「ちょっと貴女、ソラに寄り過ぎじゃありませんの!?」

「ぴったり貴様と同じ距離だ! 妄言を吐くな!」

あぁ、また始まっちゃった…。

「折角ソラと同じテントで眠れる権利を得ましたのに…!」

「それはこちらの台詞だ。これ程まで五月蝿い相手と一緒とは…」

ちなみに、どのテントで誰が寝るかはクジ引き制。
このテントは3人用だけれど、身体が大きいふたりが居ると、少し手狭になる。

「ごめんなさい、ソラ…。この阿呆なお犬さんの躾がなっていないばっかりに…」

「阿呆に阿呆と呼ばれるとはな。知能はスーフィ以下か」

「だ、誰が阿呆ですの!? この駄犬ッ!」

「一々言われなければ分からんか! 阿呆蛇ッ!」

…今日、眠れるかな…。これ…。

「だいたい、なんですの!? その邪魔な尻尾! ソラを圧迫していますわ!」

「貴様の尻尾は、ソラどころか私まで圧迫しているだろう!」

…ハクさんのお屋敷を出て、私達は今、魔界へ向かっている…。

次に会う相手は、うーちゃんの上司…前々から話には出ていた、バフォメット。
魔女達を統べる存在で、魔王軍の最高幹部にもなるコがいるくらい、すごい魔物。
数が非常に少なく、その能力はまだまだ未知数なところが多いらしい。
分かっていることは、サバトを率いて、男女共に誘惑し堕とす、
人間にとって非常に恐ろしい存在…と記された、図鑑情報だけ。

もう魔物の研究をする必要はないんだけれど…ちょっと興味深い。

「ムッキー! 石に変えてしまいましょうかしらっ!」

「貴様こそ! 哀れなマミーに変えてくれるっ!」

それにしても、リムさんの身体を治す手掛かりについて、進歩があってよかった。
最初のままじゃ、どうすればいいのか何も分からないような状態だけれど、
神様や天使様が治せると分かったことで、どうすればいいか、色々考えられる。

例えば…神様や天使様がよく現れる場所はどこなのか、とか。
どうすれば会ってくれるのか、とか…たくさんの疑問が湧いて出てくる。
これを一つずつ解決していけば、いつしか、目標に手が届くはず…。

「ならば喰らいなさいっ! 石化ビー…!」

「待てっ! 本当に阿呆か、貴様! ソラまで石にする気か!?」

「ハッ…! あ、危ないところでしたわっ!」

「…このままでは泥沼だ。そこで阿呆蛇よ、提案がある」

「なんですの? 駄犬」

……身体が治れば…リムさん、みんなとも仲良くなってくれるかな…。

あの時のしこりが、まだみんなの中に残っているのを、どことなく感じる。
リムさんもそれを感じていて、私以外には自分を見せられないんだと思う。
気にしないで、甘えてもいいのに。みんな、とっても優しいんだから。
それで仲良くなれるなら、とってもいいことなんだから。

「ソラに悪影響が無い方法で、我々の勝負に決着を付けよう」

「…いいですわ。どんな方法ですの?」

「互いにとって、公平な勝負が望ましい」

「………じゃんけん?」

「運任せでは納得いかぬ心持ちになるだろう」

「しりとり?」

「私に有利だ」

「○×ゲーム?」

「決着がつかな……いや、私に有利だ」

「なんなんですの、否定してばっかり! なら貴女が決めなさいっ!」

「…そうだな…」

………眠くなってきた……。

「………ソラを先に2回絶頂させた方が勝ち、というのはどうだ?」

「なっ…!」

………え?

「なんて素晴らしい勝負方法ですのっ! 見直しましたわ、駄犬!」

「貴様に言われるまでもない」

え? 何? 今、あーちゃん、なんかすごいこと言わなかった?

「でも、どうやって勝ち負けを決めるんですの?」

「ルールを定める」

「ルール…?」

「1、ソラは一切動いてはいけない」

「ちょっと物足りませんわね…」

「2、我々は自由にソラを刺激していい」

「前言を撤回しますわ」

「3、ソラが絶頂した際、それがどちらの刺激によるものか判定してもらう」

「ソラが判断するのなら、文句はありませんわ」

「4、負けた方はテントから出ていく」

「いいですとも。負けた時は、潔く外で夜を過ごしますわ」

「以上だ」

「では、早速…
#9829;」

起き上がり…私を捉える、きらりと光る獣たちの目。

本能が、逃げるべきと察して…私も、起き上がろうとした………その時。

「逃がしはっ
#9829;」

「しませんわよっ
#9829;」

…完璧なチームワークにより……あっさり捕らわれる、私。

「ソラ…
#9829; この私から、逃げられると思わないことだ…
#9829;」

「例え逃げても…わたくしは地の果てまで追い掛けますわ…、ソラ
#9829;」

上半身に馬乗りになるあーちゃんと、下半身を尻尾で締め付けるメディさん。
どち
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