「リムの身体を治すぅ?」
私の提案に、サキュバス…サキュさんが、とても嫌そうな声を上げる。
…帰ってきて早々、皆への謝罪やお礼をたくさんした後に、作戦会議。
久々の我が家、その客間に集まる12人。はじめての2桁。
そこそこ広い部屋だけれど、この数だとかなり狭く感じる。
「身体を治すって、つまり…ペニスを消すってことでしょう?」
身体のことについて、ちゃんと本人からも、言っていいかの許可は貰ってある。
あれはリムさんにとって、自分自身では治すことのできないコンプレックス。
それをずっと抱えていくのは、とても辛いこと。どうにかして治してあげたい。
「私は反対よ。それにソラ、貴女、何をされたか本当に分かっているの?」
「そいつと友達になったって言った時も、面食らったけれど…」
「いくらなんでも御人好しすぎるわ、ソラ。やめておきなさい」
…何をされたか。もちろん、分かってる。
白い髪。赤い瞳。背中には羽の紋様。耳も少し尖った。
性格も、ちょっと…我ながら、大胆になったような気がする。
身体が魔物に近付いた証拠。
「…私も、その人は信用したくない」
サキュさんの言葉に続く、おねえちゃん。
…帰り道、お姉さん、って呼んでたら…昔の呼び方のほうがいいな、って言われた。
だから、また戻して、おねえちゃんって呼んでる。私も、こっちのほうが好き。
「でも、ソラちゃんがそこまでしてあげたいって思う相手なのなら…」
「私の誤解かもしれない。信用してみたいって意味でも、私は、賛成」
「ご主人様〜、私も賛成です〜」
「ごしゅじんさま…」
「私も賛成します。ソラ様が信じる方なのなら…」
「うーもサンセーだよーっ♪」
「ソラの望みなら、何であろうと賛成ですわ」
おねえちゃんの賛成を皮切りに、怒涛の賛成ラッシュ。
この時点で、決定権を持つ10人中6人が賛成。過半数越え。
…ちら、と……まだどちらの意思も示していない、3人を見る。
「…私はソラと主従の関係だ。ソラに従う」
むすっ、とした表情のあーちゃん。
私が帰った時には、一番喜んでくれたんだけれどなぁ…。
尻尾をすごい振ったり、頬擦りをしたり、顔を舐めてきたり、って。
「甲乙、多勢に従う」
クノさんは…つまり、意見が多い方でいい、ってことかな?
「アタシはどっちでも。そろそろ帰るし」
ぶっきらぼうに答えるのは、オーガ…ガオさん。
ついその場で聞いちゃったけれど、よく考えてみれば、
ガオさんや他の何人かは、この作戦会議にあまり関係が無い。
関係するのは、一緒に旅に付いてきてもらうか、お留守番を頼む、我が家の3人だけ。
他の人達は、皆それぞれの家があって、生活がある。
勝手に巻き込むことはできない。
「アタシも牡探ししなきゃね。まっ、ソラ、頑張りな。元妻として応援してるよ」
「誰が元妻ですかっ! ソラは永遠の乙女なのですわ!」
「ソラ、こいつもついでに連れて帰ってやってもいいぞ?」
「ムキーッ! さっさと帰りなさい! この筋肉ダルマ!」
「はははっ。じゃあな、ソラ」
怒るメディさんを背中に、玄関までガオさんを送って……席に戻り、会議続行。
採決の結果は…ガオさんをぬいて、8対1。賛成多数。
…ちらりと、サキュさんへ視線。
「…何よ。まるで私だけが悪者みたいじゃない」
「誰もそんなこと…」
「あぁ、もう、分かってるわよ! そんな困った顔しないで!」
ユニさんのフォローに、荒れるサキュさん。
…リムさんとは旧知らしいサキュさんだけれど、そんなにリムさんが苦手なのかな?
昔からの友達なら、こういう場面では真っ先に賛成するものだと思うけれど…。
いまいち、よく分からない。昔、何かあったのかな?
「ご主人様〜、誰と一緒に行くんですか〜?」
ももちゃんの言葉に、いの一番に手を上げるメディさん。
「勿論わたくしですわ! ソラの行く先、何処へでもっ!」
そこに続けて、手を上げるうーちゃんとクノさん。
「うー、治せそうなヒトが魔界にいるの、知ってるよっ♪」
「私も、心当たりがある。ハクの屋敷近くに住む御方だ」
またまた続けて、手を上げるユニさんとあーちゃんとサキュさん。
「遠出なら、私の脚がお役に立てると思います」
「大人数になるのならば、私が旅中の様々な管理を請け負う」
「魔界は人間にとって危険よ。ソラは私が守るわ」
更に続けて、手を上げるももちゃんとドラちゃんとおねえちゃん。
「皆で行くなら、私も〜」
「…わたしも…」
「ソラちゃんが危険なところに行くなら、私も付き添うよ」
…気付いてみれば、全員挙手。
「…ちょっと。留守番はどうするのよ?」
「唯一反対だった、貴女が留守番すればいいのですわ」
「何よ! その前に
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