…ここに来て、早3日目。
2日目には屋内からホコリというホコリを追い出したため、今朝の目覚めは快適だった。
目玉焼きはお醤油。2つ目玉で、片方は半熟、もう片方は潰して固焼き。
トーストはピーナッツクリームを少し塗りすぎたけど、おいしかった。
玄関の戸を開けて、伸びをひとつ。今日もとっても良い天気…だと思う。
青々とした葉の隙間に見える太陽が、元気そうに見えるから。
伸びを終え、身体を左右に捻りながら、辺りを見回す。
鳥のさえずりが聞こえるけれど、動物の姿は見つからない。
まだ日が高いせいか、魔物も見当たらない…というより、まだ見ていない。
いつ襲われるか…そんな不安とは裏腹に、魔物がまったく姿を見せないのだ。
屋内に戻り、私にとっては少し背高な椅子に腰掛け、魔物図鑑を開いた。
…フェアリー、ドリアード、マタンゴ、ハニービー、マンドラゴラ、etc...
森に出る魔物の数は決して少なくない。いや、むしろかなり多い。
更に言えば、この場所は海からも山からも砂漠からも人里からも魔界からも近い。
よほど特殊な場所にしか出ない魔物を除けば、あらゆる魔物と出会う可能性がある。
なのに、依然その姿を見ないのはどういうわけだろう。まだ村にいた時の方が見ていた。
とはいえ、正直に言えば…ほっとしている。
魔物の研究は、つまり、その…魔物との性交…が前提。
私も魔物になっちゃうんじゃ、とか、教団がそれを認めていいのか、とか。
それよりもずっと気にしていることが私にはあって。
…前のめりに、溜息ひとつ。悩んでも、仕事をしないとお金は手に入らない。
飢え死にはしたくないし、いつかはやらなきゃいけないのも判ってる。
でも、やっぱり、「よし、やるぞ!」という考えまで持っていけない。
いいところ「うまくやれればいいな」くらいである。
手持無沙汰に、本をゆらゆら。あぁ、どうしよう、どうしよう。
コン、コンッ
だらーっとしていた身体が一気に強張った。
ノック。確かにノック音が、背中側から…玄関から聞こえた。
コン、コンッ
また。間違いなく、誰かが戸を叩いている。でも、誰が?
こんなところに人? いや、もしかして…とうとう魔物が?
でも、森に入って迷子になった人って考えも…―
「ねぇ、いるんでしょう?」
女性の声。ハッと立ち上がったと同時に、戸が開き、来客者が姿を見せた。
「ほぉら…隠れてもダメよ♪」
部屋に一歩踏み入ると共に香る、花に似た匂い。それもむせかえるほど強い。
艶やかな唇、豊満な胸、括れた腰、突き出たお尻。それを誇張する淫らな服装。
そして何より…角と、翼、そして尻尾。誰が見てもわかる…、魔物だ。
男性の最も天敵として恐れられている魔物。
「こんなボロボロの家に、あなた…ひとり?」
身長差のせいで、相手が屈んでも見下ろされてしまう。
せめて気迫だけでも負けたくないが、目を合わせると…惹き込まれそうで、恐い。
でも目を逸らすと、どうしても目の前でたぷたぷ揺れるものに目が行ってしまう。
こっちでも圧倒的に負けているから、余計に気がしぼむ。
「…あら」
何かを見つけたようで、サキュバスは私の後ろへ手を伸ばした。
上目で見ると、どうやら親書を読んでいるようだった。
「へぇ…、あなた、新しいコだったのね♪」
再度、視線がこちらに戻る。
言葉の意味を考える前に、肩をやんわりと掴まれ、思わず声を挙げてしまった。
恐いが大部分の感情が、鼓動を頭まで響かせる。
「こんな小さなコが、私達をどうにかできるのかしら…
#9829;」
顔が迫り、その恐怖に目を瞑ってしまう。
…鼻を鳴らすような…匂いを、嗅がれてる? 分からない。
「…青林檎みたいな匂い…、それに…」
―ひっ…!?
「ふふっ♪ カワイイの、生えてるわね…
#9829;」
反射的にお尻を引いたが、弱い握り方ながらも、離してくれない。
形を確かめるような指の動き…、でも、それだけでも、立っていられない。
辛くて、肩に掴まるが、相手とより近くなったせいで匂いが濃くなる。
この匂いで…もう、玄関から入った時から、痛いほどカタくなっていたのに。
これ以上大きくなんてならないのに、まだ…まだと、熱さと痛さが。
「薬指ほどかしら…、本当にカワイイわ…
#9829;」
スカート越しだった指がするりと滑り、中へ、もうひとつ中へと入り込んできた。
直接の感触。やわらかく、あったかい。きゅっ、と優しく包まれる。
………もう、だめ、だった。
「…? あら…」
どくん、どくん、びゅっ、びゅっ…と、溢れていく。
やわらかく、あったかいものへ、擦りつけて、擦りつけて、もっと溢れる。
今までの何よりも、頭も、身体も、ふわふわ、びくびく、気持ちいい。
止まらない、射精も、身体も、気持ちも
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