触手姫語

むかしむかし、あるところに。
触手の森の一角を統べる、一株のテンタクル・ブレインがいました。

名前は『クルル』。くりくりした瞳がチャームポイントです。
クルルは植物ですので、性別といった概念はありません。
年齢は、人間のそれに当てはめれば、思春期の年頃でしょうか。
若いながら、我侭な触手達を束ねる、いっぱしのリーダーでもあります。

さて、そんなクルルの日々は、どのようなものなのでしょう。

クルルの一日は、森を訊ねるカップルを出迎えることから始まります。
まだ日も覗かぬ刻、人目を忍んで、触手の森へと足を踏み入れる若き夫婦。
彼らの目的は、森の奥にあると云われている、『子宝宝樹』…幻の大樹です。
噂によると、その樹を前にした男女は、子供を授かることができるとか。
子を生すことが難しい魔物にとって、それは奇跡とも呼べる存在のひとつでした。

しかし、とかく奇跡というものには、試練が付きものです。
この森において、その試練となるは、言うまでもなく触手達です。
彼らはカップルを見つけると、我先にと襲い掛かり、その身を舐ります。
淫液を飲ませ、粘液を塗りつけ、縛り、くすぐり、骨の髄まで犯し尽くす…。
疲れを知らない触手達は、カップルが気を失うまで、身体中を這い回ることでしょう。

そう、触手達は、いくら動いてもまったく疲れないのです。
というのも、彼らの養分となるのは、人間や魔物が持つ多大なる魔力。
犯す過程でそれらを吸収するので、むしろ、元気になる一方なのです。

そのようなワケですから、これでは一度捕まってしまえば、一巻の終わりです。
試練というにはあまりにも酷で、誰一人として最奥までは辿り着けないでしょう。

そこで必要となってくる存在が、テンタクル・ブレイン…クルルなのです。
触手達を制御し、カップルが奥へ通すに値する恋仲かを見極めるのが、ブレインの役目。
犯されながらも、自身を保ち、恋人を想い、子宝を願うものにだけ、道を開く…。
それはクルルが子宝宝樹より賜った、唯一にして、とても大事な使命でした。

当のクルルはというと、この任を誇りに思い、また、心から楽しんでいました。
その一端として、この役を通じ、数多くの人間や魔物のカップルと友達になれたからです。
恋人達は、子宝宝樹を目指す以外でも、森を訪ね、クルルに会いに来ることもありました。
そして、世間話をしたり、惚気たり、時に触手プレイをお願いしては、クルルを喜ばせました。

恋人達の関係を、より深いものにするお手伝いができる…。
その喜びは、いつしかクルルの誇りにもなっていました。

しかし、一方で、マイペースな触手達を統率するのは、非常に大変なことでした。
例えば、先端が男性器型となっている触手は、そのほとんどが女性を犯すことを好むのですが、
中には個性的なコもいて、男性のお尻を犯したがる触手も、少なからずいるのです。
クルルが指示を出すと、彼らも一度、二度ならば、自身の欲求を抑えてくれます。
が、三度目はありません。鬱憤を晴らすべく、男性のお尻を徹底して犯し尽くすことでしょう。

他にも、母乳が出る女性の胸にしか吸い付かないというポリシーを持つ吸引型のコ、
夫婦を犯すよりも、付き添いの子供と遊ぶ方が好きというツブイボ型のコ、
引っ込み思案で、自分からはカップルに触れることができない繊毛型のコ、等々…。
触手達は、素直に言うことを聞いてくれるコの方が少ない、問題児の集まりでもあるのです。
そのような我侭集団を受け持っているものですから、クルルの苦労も絶えることがありません。

日々奮闘し、勝手気侭な触手達を指揮するクルル。
そんなクルルにも、特別な友達…親友と呼べる存在がいました。

それはクルルの名付け親でもある、フェアリーの『エリー』です。
エリーとの仲は、二年ほど前、クルルが管理するフェアリー・ハグに、
偶然近くを通り掛かった彼女が捕まったところから始まりました。
彼女はちょっぴり悪戯者で、しかし、花のように優しい女の子でした。
また、誰とでもすぐに友達になれる、持ち前の明るさがありました。
ふたりは出会い、瞬きの内に仲良くなり、お互い無二の親友となったのです。

エリーは毎日のようにクルルの下を訪ねては、楽しいひとときを過ごしました。
楽しいひととき…というのは、もちろん、大半がエッチなことです。
彼女は、一種の自慰中毒…触手中毒とでもいいましょうか、
全身を触手に包まれ、一片の隙間無く弄られることに快感を覚えるのです。
毎日一時間、エリーはフェアリー・ハグの中で自慰に浸るのがお決まりでした。
そして、たっぷり行為を愉しんだ後、彼女はピロートーク代わりに、
以前に本で読んだ童話をクルルに聞かせるが、これまた日課となっていました。

彼女が話す、森の外の世界のお
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