ふらふらと体を起こした美香はまだとろん、とした表情で乱れた髪を整えている。
「あー……ほぐれた……」
「大丈夫かほんと」
「だいじょぶだいじょぶ……ふー……温まっちゃったよ」
美香はぱたぱたと赤くなった顔をあおぐ、あおぎながら義朗の方をじっと見る。
「ねえ、食事も運動もだけどさ」
「ん?」
「最近ちゃんと性欲処理してる?」
「は?」
「最近ヌいてる?」
「え……え?」
「最近シコってる?」
「わかった!わかったから徐々に直接的な表現にするな!その手の動きやめろ!」
筒状のものを握る形にした手をすこすこと上下に動かす美香の手を払いのける。
見た目完璧な美少女の美香がするものだから余計ひどい。
「年頃の子がシコるとかおまえ」
「あー、兄さん女の子に幻想抱いたらだめよ?女の子同士ってめっちゃエグい会話するからね?」
「そんな現実聞きたくねえ!……何が悲しくてお前にそんな話しなきゃならんのだ」
「精神を正常に保つには三大欲求をちゃんと満たすことだよ、よく寝てよく食べてよくシコる、そうしてこそ勉強もはかどるってもんよ」
「シコる言うな」
義朗はぐったりとなる。
最近の子は進んでいるというのは知っているがこれはあけすけ過ぎないだろうか、しかも実の兄に振る話題ではない。
「ま、それ用の色々はあるとは思うけど最近使った形跡ないし……」
「何のことだ」
「物置の上段に置いてあるダンボールとか」
「ぶぶっ」
一発で「お宝」の場所を看破されて吹き出す。
「掃除の時あえて手を付けないであげてるの、気付かなかった?」
「知りとうなかった」
「兄さんは健全な男子なんだから何も恥ずかしがることないよ」
「そんなフォローはいらんです!」
布団に突っ伏したまま義朗は頭を掻き毟る。
「からかうんだったら帰れよもう……」
「違う違う手伝ってあげよっかって話」
「何を」
「シコるのを」
「お前馬鹿か?」
「ああん?」
「ごめんなさい」
言われていることが理不尽でも強気に出られると逆らえない、義朗はそういう性質だ。
「じゃ、ここ座ってほら」
布団の上をぽふぽふ叩いて美香は言う。
「……いや、その、マジ?」
「なあにがよ、私じゃ不服だっての?兄さんのくせに」
「いやいやこういうのって恋人同士で……」
「別に兄妹でしたっていいじゃない、それにこれはケアの一環だよ?意識しすぎだって」
「そ、そういうもんかな……」
そして、流されやすい。
何より美香にそういう事をしてもらえるというのは義朗にとって極めて魅力的だった。
美香の言う「ケアの一環」という言葉も免罪符に捉えられる。
(……いい、のか……?ケアなら……ケアっていうならちょっとだけ……)
「ま、妹にされるのが気持ち悪いってのなら無理にとは言わないけど……」
「いやいやいや、そんな事はない!是非頼む」
ほんの少し落ち込んだ様子で言う美香に思わず言う。
引っかかった♪
ぽふ、と義朗の手元にタオルが投げられる。
「うん?」
「これで目隠ししてて、するとこ見られんのも恥ずかしいし」
「あ、ああ」
素直にタオルを目に当てて結ぶ。
(あーあ……そんな無防備になっちゃって……)
ぞろろ……
美香の背後からまた翼と尻尾が現れる。何も知らない兄の前でこっそりこの姿を晒すのは何やら快感だ。
「み、見えないと不安なんだが……」
「大丈夫大丈夫、じゃ、パンツ下ろして」
「……」
言われた通り、カチャカチャとチャックを外してズボンを下ろし、パンツを……。
「なあっ!ひょっとしてこの状態で放置されるとかそういうオチは」
「ないない」
「ほんとかよ……」
義朗は自分が見えないのをいい事に玄関からこちらを伺ってニヤニヤしている美香を思い浮かべた。ありえる。
いや、そちらの方が健全というものだろう。
「ふっ……ふっ……ふっ……」
しかし、現実の美香は下を脱ぐ義朗の姿を食い入るように見つめているのだった。
荒い息遣いがばれないよう右手は口元に当てられ、左手は自らの体をこっそりまさぐっている。
その淫魔の前で義朗は下半身裸になる。
美香は露わになった兄の性器を食い入るように見つめる。
「なあ……おい……おい……?やっぱあれか!あいつ放っぽって出ていきやがっ」
「いるって、いるから落ち着いて、目隠し取ったら怒るよマジで」
「じゃあ黙り込むなよ……何も見えない状態で下素っ裸って心細い……」
「ごめんごめん、ちょっと準備をね」
そう言って美香は動悸を抑え、尻尾をふりふり揺らしながら鞄をごそごそとさぐり始めた。
「何だ準備って……」
「オナホ」
「オ……何でそんなもん持ってんの!?」
「友達からもらった」
「お前の友達何でそんなもん持ってんの!?」
「懸賞で当たったんだって」
「何の懸賞!?」
「もーう、うるさいなあ、入手経路なんてどうだっていいじゃん、少なくと
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