智樹は人間の理性と言う物は、いや、自分の理性はもう少し強いものかと思っていた、しかし隆二の言う通りだった、男なんてのは誘惑に弱い者だ、現に今まで絶対に誘惑には屈しないと思っていた自分がもうこの体たらくだ。
全身に充満する欲望とやるせなさに手はわなわな震え、息は獣のように荒い。
「ったくもう、そんなに発情しちゃってムッツリ智樹君は♪そんなに俺としたいか?元男の俺と?」
意地悪、というより性悪な顔をした隆二は鬼の首を取ったように言う、しかし智樹はろくに皮肉を言い返す事も出来ずにただこくこく頷き返すしか出来ない。
本当に限界そうな智樹を見て、隆二は不意にその表情を優しいものに変えた。
「いいぜ・・・来なよ、全部受け止めてやる」
そう言って両手を一杯に広げる、それに智樹は矢も楯もたまらずに飛び掛る。
と、優しく受け止めてくれるかと思いきや隆二は両手を広げたままこちらからも猛然と智樹に向かって飛び掛って行った。
結果、、ドスン!と結構な勢いで互いの身体が正面衝突した、予想外の衝撃に智樹は一瞬目を回す、と、その一瞬でまた天地がひっくり返るさっきと同じ感覚を味わう事になった。
先程と同じマウントポジションを取られるかと思いきや、隆二は膝立ちになってジーンズのチャックをせわしない手つきで降ろしている。
「悪い、風情も何もねぇけど・・・」
気付くと既に先程の優しげな表情ではなく切羽詰まっている、というか、今の智樹と似たような表情になっている。
智樹は気付いた、隆二も欲情していたのだ、それこそ自分以上にのっぴきならない状態にあったのだ、先程の冷静さは隆二の最後の演技だったのだ、自分を二度と戻れないくらいに堕とすための。
智樹もどうにか身を起して自分のチャックを降ろす、降ろした直後に待ちきれないと言うように隆二が手を伸ばして智樹の一物をパンツから引き摺り出す。
「ふぅぅっっ」
露わになった智樹の陰茎を目にした瞬間、隆二は大きく息を荒げ、ジーンズの股間部分に智樹の露出した陰茎の先端を合わせる。
挿入の直前、ジーンズの開けられたチャックの奥に今まさに自分を咥えこもうとする「隆二」が一瞬見えた、暗くてよくわからなかったが陰毛が生え揃った下に真っ赤に充血したような色の何かが見えた。
直後、隆二の身体が覆い被さってきてその部分を目で見る事は出来なくなった。
しかし、視覚よりも強烈な触覚によってどうなったかはわかった。
ぬぢゅっ、ちゅぷっ
隆二は全身で智樹に密着し、ゆっくりと亀頭の部分を迎え入れた。
「いぃっいぃぃっあっあっ・・・!?」
智樹は奇妙な呻き声を上げてしまう、ぬるぬるに濡れた狭い場所に自分が侵入して行く、陰茎を包み込む壁は別の生き物のように蠕動し、奥へ奥へと迎え入れようとする、まるで腹の中に別の生き物がいるようだ。
(あああああ何だこれ!?何だこれぇ!?)
はたして隆二の身体がどうなっているのかわからないが膣に出すのはまずいと智樹は考えていた、どうにかしてそれだけは阻止しようと思っていたがしかし隆二の性器が与えてくる快感はそんな理性など軽々と粉砕し、このまま何も考えずに中に出してしまいたいと思ってしまうほどだった。
隆二は智樹の首筋に鼻先を埋めるようにして抱き付き、腕でも足でもしっかりと智樹をホールドして決して離れないようにしている。
二人とも普段着で性器だけを露出して繋がっているので傍から見るとただ抱き合っているだけのようにも見える、しかし実際には互いの一番大事な所で深々と繋がっているのだ。
「り・・・りゅう・・・じ・・・っっ!これヤバ・・・!離れ・・・!」
「・・・」
必死で下腹部に力を込めて射精を堪えながら息も絶え絶えに智樹が言う、隆二はただ無言で智樹にしがみ付き続ける。
「おっ・・・おいっ・・・!出るって!出ちゃ・・・隆二!」
「・・・・・・は、ひぃっ・・・」
「・・・隆二?」
智樹が身じろぎをすると隆二から予想外に甲高い声が上がった。
妙に思った智樹が隆二と顔を合わせようと横を向くと隆二は顔を背けて逃げる。
「隆、二・・・?」
「みっ見んなぁ・・・!ちくしょ・・・こんな・・・んなの予想外・・・!」
不思議に思った智樹は多少強引に隆二の頭を掴んで顔を合わせる。
「み、み、見ンなって言って・・・ひぃぃんっ」
そこには今まで見た事のない隆二がいた、今にも泣き出しそうに目じりが下がり、歯の根が合わずにかたかたと鳴っている、何時如何なる時も余裕のある態度を崩さないいつもの隆二からは想像もつかない顔だった。
「ちっ・・・違っ・・・こんな、の」
それを見られるのが恥ずかしいのかどうにか智樹の手を振り解き、顔を背けようとする隆二。
その仕草が、智樹の獣性に完全に火を付けた。
無理やり自分と目を合わせるように隆二の顔を固定し。
「おいっよせってばっ・・・」
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