意思

「美雪さん!俺と一緒に母さんのお墓参りにいきませんか!!?」
「えっ!私がですか!!?」

おもえば、もうお盆シーズン。
毎年お盆に母さんのお墓参りに行くのは、どこか母さんと会えるような気がするためだ。
といっても、気がするだけで実際に天国の母さんと話したりはできていないし、さらに俺には霊感とやらもない。
そして、今年もお墓参りに行く時期がきた。
もう、しばらくお世話になっている美雪さん自身も母さんと知り合いだそうだし、顔を合わせてほしいと思い誘ってみるのだった。

「ダメでしょうか・・・?」
「いえいえ!ただ、私なんかが・・・。」
「俺、母さんは知り合いの美雪さんにひさしぶりに会えたら、喜ぶと思います。それに・・・こんなにお世話になってると・・・母さんはお礼したいと思ってると思います。」
「そ、そうですか・・・。そう竜君が言ってくれるなら、喜んで一緒にいかせてもらいます。」
「やった!じゃあ、明日の朝、早速いきましょう!」
「はい。準備しておきます。」

彼女は話し始めは驚いていたが、終いには笑顔をあらわにしてくれていた。
(母さん、俺、ホントに美雪さんのおかげで幸せな日々をおくれているよ。今年はいつもよりもいっぱい感謝の気持ちを背負って会いに行くから・・・)
「美雪さんも早めに寝てくださいね」
「はい、そうします。おやすみなさい。」
俺は母さんの顔を思い浮かべながら、眠りに就いた。
そばでは美雪さんが気持ちよく寝かしつけてくれている。
(竜君の母さん・・・美香さんの元にいくのか・・・)
彼女はすこしさびしげな表情で、彼の顔を見つめながらその夜を明かした。

「では、美雪さんいきましょうか」
「はい!竜君」
朝食を終え、出かける準備をし、いざ出かけようとする。
「母さん、いまから会いにいくね。」
玄関の家族写真にそう言い残し、二人はアパートを後にした。
バス、電車、徒歩、ずっと二人はすぐ隣で目的地に向かう。
そして、その行く途中の会話・・・
「なんかさぁ、こうして隣通しでバスに乗ってると、あの時を思い出す。そう、俺が風邪でヘロヘロだったとき、美雪さんが一緒に病院にいってくれたこと・・・。」
「ふふっ、あのときは本当に竜君、つらそうだったから、いてもたってもいられなかったわ。竜君、あの時、私がいろいろしてあげようとしたのに、必死で遠慮してくるから・・・余計に心配したのよ?」
「あ、あぁ、すみませんでした!本当に迷惑かけたくなくて・・・」
「前にも言ったと思うけど、困った時はお互い様よ?竜君も私が困った時、助けてね。」
そういいながら、彼女は俺の手の甲に彼女の手をかぶせてきた。
俺は思わずすこし緊張してしまって、
「ひゃ、ひゃいっ!!」
声が裏返ってしまった。
「うふふ、ありがとうね、竜君」
彼女のこれまた最高の笑顔が、俺の胸を高鳴らせる。

山渕駅〜山渕駅〜

どうやら、駅に着いたようだ。
そのまま電車で俺の故郷へと帰る。

「そういえば、俺、あまり美雪さんと母さんとのことについてきいてなかったね。母さんとどんな関係だったのですか?」
「あ、え〜と、美香さんとは・・・仕事で知り合って、それから何度かお茶したり買い物したりと・・・。」
「そっか。」
俺は今までに同じことを聞いている。だが、やはり彼女の答えはいつもこれだ。
「母さん、あまり出かけない人だったから、美雪さんは唯一の友人だったんだとおもいます・・・。」
(でも、母さんと美雪さんが一緒に写ってる写真なんて、見たことないような・・・)
「で、ですかね。美香さんが私と出会えて、よかったって思ってくれていたら幸いです。」
「ははは、そんなの当たり前によかったっておもってるでしょう。それに、母さんよりも俺のほうがあなたに出会えて幸せですよ。あっ・・・」
(あっ、自然に俺の心の声が出てしまった・・・。)
「ふふっ、私も幸せよ。」
!!!
普通に返事され、しばし驚いたが、深く受け止めないでくれてすこし助かった。
「あ!そうだそうだ。父さんも呼んでいいですか?汗臭い男ですが・・・」
「はい、かまいませんよ。」
俺は故郷に帰る時は必ずと言ってもいいくらいに、父さんと会っている。
電車がとまり、いよいよ故郷へと帰ってきた。
「すこしまっててください」
「はい」
俺は実家に電話をかける。
プルルルルプルルルル・・・
(あれ〜おかしいな。仕事でもはいってるのかな。)
父さんは電話に出ない。念のため、ケータイの方にもかけたが、やはり出なかった。
(まぁ、少し前に泊りにいったばっかりだから、今回はいいや)
俺はそうことづけたのだった。
「美雪さん、どうやら父さんは忙しいようなんで、二人きりになりそうです・・・。かまいませんか?」
「あらあら、そうなんですか。ふふふ、いつも二人きりでいるのに、
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