泥酔

暑い。
だけど、残念ながら俺の部屋にはクーラーというぜいたく品などない。
部屋中の窓を全開にし、扇風機でなんとか凌ぐだけだ。
蝉の鳴き声が絶えず響き渡る。
季節は夏真っ盛り、俺は就活真っ盛り中。
しかし、美雪さんの外出中と風呂につかってるときのオナニーはかかさない。
部屋でだらっと寛いでいると・・・
プルルルル
俺のケータイが鳴った。
すかさず、電話に出ると思いがけない相手からだった
「も、もしもし?」
「あ、もしもし、竜也君?楓だよ。」
「か、楓さん!!」
「あっなにか忙しかった?」
「いやいやいやいや、ぜんぜん暇してたとこです。」
俺は彼女からの突然の電話に驚きと、なんの用事だろという期待がこみあがる。
「そっか、よかった。実はね・・・」
彼女の用事に俺の期待は普通に消えていく・・・
「私、サークルの連絡係で、明日みんなで少し遅い新入り歓迎会を兼ねて、私たち4年生を見送る会として飲み会するんだけど、竜也君これそう?」
(はぁ、ま、そうだよなぁ。楓さんが俺なんか・・・)
そうは思ったものの、ふられたときに比べると、まったく気は沈む気配はなかった。
「あ、はい。大丈夫です。」
「わかった。じゃあ、明日の夕方5時くらいに駅近くの吉屋集合で。まってるね。」
「は、はい、わかりました。では、また」
ピッとケータイを切る。
(まぁ、このごろバイトと就活ばかりで息抜きしてなかったからな。たまにはパーってするのもいいだろ)
洗濯物を干していた美雪さんが部屋に入ってきた。
「あら?明日、なにかご予定でもはいりました?」
「ええ、ちょっとサークル仲間と夕方から飲みにいきます。」
「そうですか。わかりました。」
そんなやり取りを交わし、今日も美雪さんの手厚いお世話とともに一日を終える。

あくる日の待ち合わせ時間の一時間前。
「じゃ、駅まで距離あるんで、いまから行ってきますね。夕飯はあっちですますので、かまいませんから。」
「はい、わかりました、きをつけていってらっしゃいませ。」
いつもと同じように彼女は笑顔で見送ってくれた。

(ふ〜さすがに1時間弱自転車に乗ってたら、尻や腰にくるなぁ〜。まあ、日ごろの学校通いで慣れっこだけど)
俺は待ち合わせ時間の5分前にいわれた場所にやってきた。
サークル仲間はもうほとんど来ていた。
「おまたせぇ〜、みんな早いねぇ?」
「あったりめーだろ?ここにいるやつは皆、ヒマなんだからさ」
「そ、そっか。」
(4回生以外はわかるが、そう言うお前も含め俺ら4回生は忙しいだろ?)
そう感じるも、おそらくここにいる4回生も俺と同じように本当は忙しいとおもう・・・。
新入りはどこか緊張しているのか、口数が少ない。
(ま、まぁ、俺も最初は緊張してこんな感じだったかな)
そのまま、俺たちは飲みながら、雑談やこれからのことなどの話で盛り上がり、いよいよ解散時がやってきた。
「んじゃ〜シメはやっぱりサークルから卒業する俺らから例のやつをするか・・・」
俺は息をごくりとのむ。
例のやつとは、毎年行われている、サークルを卒業する人たちから一人選んで、大きめのジョッキ一杯分のビールを一気に飲み干す行事だ。
「じゃ〜この割り箸から一本ずつ引いてくれぇ」
準備よく、卒業メンバーの人数分の割り箸が用意されていた。
俺は無難に一番右端のをとった。
「よ〜し、みんなひいたな?んじゃ、その自分で引いた箸の裏に黒い印があったやつが例のやつな。」
俺はおそるおそる割りばしの裏面をみる。
(ふ〜よかった、何の変哲もない普通の割り箸だった)
「お〜い、だれだぁ?いるだろぉ〜?ちなみに俺ではなかったぜ」
・・・・・・。
誰も名乗り出ない。
「おいおい、隠すつもりか?じゃあ、引いたヤツ、一人ずつ俺に割り箸みせてくれ。」
そう仲間がいい、順番に確認していく。
そして、俺の番がやってきた。
「じゃ、次は竜也だな。渡してくれ。」
俺は堂々と差し出した。
彼の口元がニヤリとわらった。
「ハッハッハ、竜也、お前だったわ。」
!!!
「えっ!!そんなことないぞ?俺もちゃんと見たし・・・」
「いやいや、わりぃ、わりぃ、しるしつけたほうをお前の方に向けてて、多分しるしごと握ってしまったんだろ。だって、ほらよ」
彼はくるっと割り箸を回転させた。
そこには、俺が渡しはずの箸の先に黒い印があった。
「え、えぇぇぇ!!まじかよぉ〜。」
「マジだ。よし、じゃ、よろしくたのむぜ?」
俺の前にジョッキが置かれ、どんどんビールが注がれていく。
「い、いや、俺、あんま酒のまないし・・・」
「はぁ?逃げる気か?我がサークルの伝統を途絶えさせていいのかよぉ?」
逃げるために言ったわけじゃない、本当に酒をあまり飲まないのだ。飲まないというより、初めて飲んだとき、缶一本半でグラグラに酔ってしまったか
[3]次へ
ページ移動[1 2 3 4 5 6]
[7]TOP [9]目次
[0]投票 [*]感想[#]メール登録
まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33