報復

美雪さんと暮らし始め約一カ月を迎えようとしていた。

久しぶりの十分な休暇をとることのできるゴールデンウィークが明日から始まろうとしていた。
だが、俺の今年のゴールデンウィークはバイトのシフトでいっぱいだった。
店側がそう仕向けたわけじゃなく、俺の方から頼んだのだった。
俺にはある目的があったためだ。

「あら?今日もバイトですか?せっかくの休みですのに。」
「ちょっと、お金がいるようになってしまって、この連休で稼げるだけ稼がないといけないから。」
「そ、そうですか・・・。くれぐれもお体には注意をしてくださいね。お金が手に入っても、病気で倒れてしまっては元も子もないですし。」
「は〜い。わかってま〜す。では、いってきます!」
「いってらっしゃいませ。お気をつけて。」
彼女は心配そうな言い方だったが、それでも優しく微笑みながら見送ってくれた。

そう、俺はこうやって優しく微笑んでくれる女性、つまり美雪さんのために、連休をシフトまみれにしたのだ。
かなり前の風邪の時のお礼も内心したかったし、なによりもうすぐ一カ月もお世話になる彼女にお礼の一つくらいしようと考えたのだ。
なにをプレゼントしようかはまだ未定だけど、稼げるだけ稼いだ方がいいと考えていた。

そして、連休中、いつも美雪さんに心配されながらもバイト地獄を乗り切った。生活費分を引けば、5万円の稼ぎだ。
(これぐらいあれば、十分だろう)
という思えるくらいの稼ぎだった。
(さて、肝心の何をプレゼントするかだ。明後日でちょうど1カ月を迎えるということで、今日中に決めて、明日それを買いに行きたいものだが・・・。)
なかなかいい案が思い浮かばない。
そのまま今日も夕方をむかえてしまった。
(あ〜あ、はやく決めないといけないのに・・・なにも思い浮かばない)
そんなイライラした気持ちをスッキリさせるべく、俺は洗面所に向かった。
洗面所に行くドアを開けた瞬間、なにか甘い香りがした。
俺は反射的に目をつむり、その香りを吟味していると、目の前から
「あら?竜君、どうしたんですか?」
そう美雪さんの声がして目を見開くと、そこには!!
バスタオル1枚で体を覆っている美雪さんがいた。
薄紫のバイオレットをしたバスタオルは彼女の大人びた美しさにうまくとけあってる。
(実に美しい・・・)
そう嗅覚と視覚で彼女を味わっていると、
「うふふ、わたしの体になにかついてますの?」
と、彼女の声が聞こえた。
(あ!そうだった、この状況、まるで俺は変態みたいじゃないか!)
「い、いえ。そ、そのちょっと立ちくらみがして、じっとしてしまいました。風呂上がりでした?すみま・」
言いかけてる途中に、彼女の手が俺の額にかぶさる。やはりヒンヤリとして心地いい。
「熱はなさそうですねぇ。過剰なバイトの疲れでしょうかねぇ。今日は念のため早く寝ましょう。」
彼女はそう言い終わると、手を額からはなした。だんだんと彼女が残した心地よさも消えてゆく。
「あ、はい。そうします。」
俺は彼女の今のバスタオル姿を見て、プレゼントしようか決めた。
(この薄紫色のような色をしたワンピースにしよう。ワンピースなら、着やすそうだし、家事もきっとしやすいだろう。それに、胸の上がさらけだしてる彼女を見ていられると思うと胸が高鳴って仕方がない。色も彼女の美をよりいっそうひきたててくれるだろう。)
俺は答えを見つけられた安心感だろうか、達成感だろうか、眠気に襲われた。
ちょうど美雪さんも寝る準備をしてくれていた。
そして、今日も美雪さんに優しくされながら、眠りにつく。
「おやすみなさい、美雪さん。」
「ええ、おやすみなさい、竜君。」

翌朝、連休も明け、いつものように美雪さんのおいしい料理を絶えらげ、大学へ行こうとする。
「今日もバイトあるから、帰るのは夕方過ぎると思います。」
「わかりました。いってらっしゃいませ。」
いつも笑顔で見送っている彼女を今日もだますことになる。
昨日、考えていたように、今日のうちに彼女へのプレゼントを用意するつもりだ。プレゼントというのはもちろん、薄紫のワンピースだ。
大学の講義が終わり、昼を軽く済まし、俺は街に出かけた。
前に彼女と一緒に来た時に立ち寄った服屋の中でも、一番おおきく種類が多そうな店を選んだ。
そして、店に入ると
「いらっしゃいませーーー!!」
と、若い女性定員さんが出迎えてくれた。
「今日は何かお買い求めにいらっしゃいましたか?」
「あ、はい。薄紫色のワンピースなんてあります?」
「はいはーい、少々お待ちを〜。」
そういって店員はサッと俺の前から消えた。
しばらくすると・・・
「お客様のお求めしたワンピースですが、こちらの4種類ございました。」
4着とも色はほとんど変わらないが、柄があったり、裾がふんわりしてたり
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