本日快晴なり。
このまま釣りにでも出かけたいものだが、そうはいかない。
「さてと・・・それでは初任務といきますか」
今日があの依頼にあった指定の日だ。
依頼通り今日のために体調を整えて、受け取った前金で装備品を新調しておいた。
傷もなく色鮮やかな防具に身を包んで気分は初陣を迎える新兵のようだ。
ただし武器は長年連れ添った愛剣だ、壁に飾ってすいませんまたヨロシクお願いします。
・・・にしても防具一式揃えてもまだ金が余るとか、絶対相場を間違えてるだろ。
俺の数ヶ月分の生活費に匹敵する金額だったので、このままバックれてやろうかとも思ったが流石にやめておいた。
家を持つ身分となった今では、傭兵の頃のように自由気ままなその日暮らしとはいかない。
それとツッコミを入れられたけどエルザの前で見栄を切っちまったしな。
「んで地図にある場所ってのが・・・これまた近場なんだよなぁ」
金もあるし馬を借りて久々に駆けたりしたかったが、それだと10分ぐらいで目的地に着くのでやめた。
健康のために徒歩移動だ、天気もいいし。
ロープだの毛布だのと野営用の装備と数日分の食料が詰まった背袋を背負い、青空の下を暫く歩く。
テクテク・・・。
テクテクトコトコ・・・・・・。
テクテクトコトコヒョコヒョコ・・・・・・・・・。
ちょっと待て、これじゃピクニックじゃねーか。
そもそも本当に俺は何しに行くんだよ。
装備を整えて来いとか書いてあったから、冒険に付いて来てくれとか言われんのかなって少しウキウキしながら準備しちまったぞ。
どうすんだよ国を落としに行くぞとか言われたらさ?
そんなテンションは生憎ご用意してませんっての。
依頼書には装備を整えて指定の場所に来いとあったが・・・、てかそれしかなかったが。
・・・・・・ん?
待てよ、ひょっとして・・・、目的地に着きさえすれば依頼達成になるんじゃない?
いやいやいやいや、それは逆に困る!
張り切って買った防具どうすんだよ!剣を再び飾ってその横に並べるしか使い道ねぇぞ!!
用意した野営用の食料も然るべき状況で食うから美味いんだろうが!!
家に帰って使われなかった野営道具を片付けてる自分なんて想像したくない!!!
はっ!!?
まさかこれが目的か!
張り切って準備してノコノコやってきた俺をあざ笑うつもりなのか!!!!?
だとしたら俺は修羅になるぞ・・・。
即座に依頼主を剣のサビにしたあと、ちゃんとお手入れして壁に飾ってやる。
それでエルザのところに依頼を持ってきた美人のねーちゃんをなんやかんやで連れ帰って、めでたく結婚して子供作って犬飼って夢を実現させるんだ!
おお、目的地の森が見えてきた。
森の中央にあるらしい開けた場所が指定の場所だ。
「待ってろよ!美人のねーちゃん・・・いや!我が妻よ!!
今行くぞ!!!!!!!!!!!!!!」
「久しぶりだな・・・人間?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ぇー」
ないわー
この展開はないわー
無理やりあげたテンションが一気にリストラされたわー
たしかに物凄い美人だけどさ・・・。
騎乗鎧に両刃大剣携えた魔物をどうやったら、なんやかんやで連れ帰って嫁にできんだよ。
あーでも、たまたま此処に居ただけかも知れないし?
なんか全身から溢れでてらっしゃる闘気はお腹空いてるだけかもしれないし?
さっきから俺に向けられてる剣先は・・・・・・だめだ、ポジティブな解釈が思い浮かばん。
「何をゴチャゴチャと言っている! ・・・美人だの・・・嫁だの・・・!///
ええい、さっさと剣を抜けぇ!!!」
はいダメー。
完全に俺狙い、俺ご指名でした。
「あー、ということはアンタが依頼主の『レイナ』か?
この依頼の目的は俺との決闘といった所か」
「そうだが・・・人間ごときが気安く私の名を呼ぶな」
「やれやれ相変わらずだな、自己紹介はしたはずなんだがね」
「さあな?負け犬が逃げ際に何かキャンキャン吠えてはいたが」
いや待て、あれは一応俺の勝ちだろうが。
反論しようとしたが、レイナの口元がニヤリと吊り上ったのを見て思い留まった。
どうやら挑発されているようだ。
戦闘の意思のないものに手は出さないとか、デュラハンの流儀でもあるのか。
こちらが抜刀するのを待っているようだな・・・よし。
ならば意地でもこの剣は抜かぬ!!!!!
そもそもデュラハンなんて勇者か聖騎士クラスじゃなきゃ相手にできねーっての。
このままのらりくらりとこの場をしのぎ切ってやる。
不本意だが依頼料は
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