「ん? 目覚まし、じゃないな。玄関のチャイムが鳴ったのかな。はーい、今出ま――」
「――あなた、愛は要りませんか?」
「えっ」
「愛です! 要りませんか!? 要りますよね!?」
「………………」
「主の御使いが、あなたに愛を施しに参りました!」
「すみません。そういうの間に合ってますので」
「……そうですかそうですか〜」
「あっ、こら、やめてください、なに普通に家に入ってこようとしてるんですか」
「愛……入りませんか? 愛ですよ?」
「入りませんし、要りません。ウチは怪しい勧誘とか訪問販売は全部断りなんです。ほら出てください、ほらっ」
「あっ、やだっ、少しだけ! す、少しだけお話を聞いていただけるだけでも構いませんから!」
「イヤですよ、どうせこういうパターンって話だけじゃ終わらなくて…………」
「フフッ、我が主の愛に対する説法を少しだけ……5、いや4時間だけでも!」
「長っ! 話だけでも予想外に長いな!!」
「それだけで今日のとこは勘弁してあげますから!」
「しかももう次回の存在が確定してるんですか!? これはヤバい、ヤバいやつだ……と、とにかく出ていってください、塩撒きますよ!」
「あっ……やだっ
#9829; そんな強くっ、ズンズンって押さないでぇ
#9829; 男の人の腕って、おっきくて太いぃ
#9829;」
「なんでこのタイミングでそんな悩ましい声を!? ひとんちの玄関でそれはやめろっ、ご近所さんに聞かれたらどう弁解するんだ! 出、て、け!」
「ん、んぎぎっ…………い、いやー、ですっ! 愛に飢えて乾いた砂漠のようなあなたを慈悲の雨で包みこむまで、わたしっ、帰りませんっ!」
「余計なお世話だ! あっこいつ背中に生えてる羽ねじ込んできた! 玄関の中に!」
「ほら、今ドアを閉めたらわたくしの清らかで美しい翼が痛ましく挟まってしまいますよ!? いいんですか、あなたはそんなにも悪逆非道なのですか!? 慈愛の心はないんですかっ!?」
「………………」
「……フ、フフン、動きが止まりましたね。ああ、よき心がけです、じつに愛ですね! そうでしょうそうでしょうあなたもようやく理解できたようですね、こんなに愛らしい天使を邪険に扱うなど鬼畜の所業で」
「………………せいっ」
「あ、あァァーーっ!! い、イタタッイタタタ! 天使の羽が挟まれていったーーいッ!!」
「……そしてもう一度開けて、羽を外に出して、と。じゃ、僕はこれで。気をつけて帰ってくださいね」
「うぅ、ふぇぇ、羽がぁ……っ!」
「あ、もちろんもうここには立ち寄っちゃダメですからね。次はポリスメンを呼びますからね」
「ふぇぇんっ……! い、いぎぃぃ…………」
「いや、そこで倒れられてもすごく迷惑なんですが」
「ひぎぃ……おほぉ……も、もうらめぇ…………っ」
「そ、そんなに強く閉めてないですよね? というかその苦しがりかた、なんかウソくさいような――」
「――っと見せかけて隙アリーっ! わーいっ、おっじゃまっしまーーすっ!!」
「あっ、こら! ちくしょう弾丸のように飛んで部屋に入っていった! 全然元気だったよやっぱり!」
「いやー、中は意外と片付いてるご様子でー!」
「靴まで脱ぎ捨てて、完全に居座る気ですね?」
「ああ、そしてなんという清涼感! 主の恵みはこのような男やもめの部屋にも及んでいたのですねっ!」
「クーラーだそれは! しかも失礼!!」
「さあさあ、主の愛について語り合いましょう! ねっとりじっくりと! ――と、その前に……ベッドの下からチラ見えする雑誌、なにやら気になります!」
「やっ、やめろーー!」
「ウェヘヘへ、いいじゃんよぉ、照れるなよぉ〜!」
「なんだその気安さ! なんで男子高校生の腐れ縁友達みたいなノリで家探しを!? あっ、ちょ」
「コミック『RO』8月号……? なになに、『夏の大特集! 無知な清純系ロリを自分色に染め上げる!』……って、キャーー! キャーー!!」
「もういっそのこと一思いに殺してください」
「やっ、やだ、まさかあなた、わたしのことをそんな欲望に満ちた目で!? こうしてるだけでも辛抱たまらんって!? はわ、はわわっ……!」
「いや、さすがにそれはないです。初対面だし」
「だってほら、わたし以上に清らかなロリなんていませんよ!?」
「清らかな人は他人の家に押し入ってエロ本読まないと思うんだよなぁ…………ロリではあるけど」
「あ、でもわたし、ロリはロリでもおっぱいあるほうのロリですからね! そこを勘違いしちゃあいけませんよ?」
「勘違いも何も、今のところ胸の話全く出てませんでしたよね? ……もういいや、このままではラチがあかないのでとりあえずそ
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