――果てしなく広がる砂漠。
そこにある遺跡の奥に作られた、石造りの一室で僕は目を覚ます。
そして僕が起きて間もなく、誰かが僕のいる部屋の扉をノックした。
「ユータ。起床の時間だ」
部屋の前にいるのはフィデルさんだと、声だけでもすぐに分かる。
彼女は毎朝、きっちり決まった時間に僕を起こしにきてくれるからだ。
落ち着いた声は、それだけで真面目そうな印象を漂わせる。
時間がないので部屋や服装に異常がないかだけ見渡して、「どうぞ」と声を掛けると、扉が開く。
「おはよう」
「おはようございます」
今でこそ普通に話しているが、フィデルさんはそもそも人間ではない。『アヌビス』という魔物だ。
整った顔立ちに長い黒髪と、健康的で張りのある褐色の肌に、控えめに膨らんだ乳房。それだけ見ればまるで人間だが、アヌビスの特徴として、耳と手足としっぽが黒い毛で犬のようにふさふさとしている。
その黒い毛並みを見ると、”元の世界”で僕と暮らしていた黒い柴犬がよく思い浮かぶ。
「それでは、朝食の準備を――む、」
フィデルさんは僕を見ながら、ちらりと下に目線を遣った。
その熱い視線はどう見ても僕の股間に注がれている。
どうにかして隠そうとしても、その膨らみは誤魔化しきれなかった。
「ふふふ……今日も朝から元気じゃないか」
「い、いえこれは……」
生理現象なのでどうしようもない、という言い訳は毎日のようにしているが、彼女は気にしない。
「勃起してしまった時はどうするか……ちゃんと取り決めしただろう?
条約違反はまた追加の”罰”になるぞ」
「わ、分かりました……」
僕は仕方なくベッドに腰掛け、ズボンと下着をずり降ろす。
女性の前で、しかも自分から服を脱ぐというのは何時まで経っても慣れず、羞恥心が燻ってしまう。
もう何度もフィデルさんの前で行ったことなのに、いつだって特別に感じてしまう。
「ふふ……よろしい。それでは、聞き分けの良い子にはご褒美だ……」
フィデルさんからケモノの匂いと、しかし女性らしい甘い匂いがふんわり漂ってくる。
彼女は小さく舌なめずりをすると、僕の両膝を開いてその間に体を置いた。
ふさふさとした体毛に触れるだけでも気持ちがいいのに、これからその手で愛撫されるのだ。
彼女の目前に、朝立ちでいきり勃った僕のペニスが晒された。
「ああ……今日も逞しくて立派なおちんちんだ。すぐに私が気持ちよくしてやろう……
#9829;」
フィデルさんの犬のような右手がペニスの根元を支えながら、しゅっ、しゅっ、と労わるように擦ってくる。ふさふさとした毛が擦れるだけでくすぐったく、それさえ快感になってしまう。
さらに、唾液でぬめった舌がれろりと亀頭をひと撫ですると、裏スジや傘の部分といった敏感な所を舐め回す。
僕の弱い所を知り尽くしたとても熱心なフェラチオ。
「あ……ぅ、」
「ほら、声もガマンするなと言っただろう。もっと蕩けた声を出せ……
#9829;」
ずっぽりと肉棒を咥えこまれ、激しい上下運動で粘膜と粘膜が触れ合ってぬちゃぬちゃと淫らな水音が鳴り響く。
さらに右手でペニスを擦られながら、左手のぷにっとした肉球で睾丸をもみもみと優しく揉まれる。
下半身がとろけそうなその刺激に耐え切れず、思わず僕は腰を引いてしまうが、
「ほは、にへるんひゃない……んぐっ、」
「あ、ああ……そんな奥までぇ……」
ぎゅっと腰に抱きつかれて身動きできなくなり、快感からそれ以上逃げられなくなる。
そして射精を促す激しい責めに耐え切れず、僕はすぐに果ててしまう。
「あ、あぁぁ……!」
「んむっ、ごくっ……ぷはぁ。やはり朝一番は濃くて美味だな」
僕が吐き出した精液はフィデルさんの喉奥にごくんと吸い込まれる。
ちゅうっと吸い出される感覚に腰が抜けそうになって、僕は思わず前かがみになり、彼女の頭を抱きしめていた。
「ふふ……今日も先に私だけ頂いてしまったな。では改めて朝食の準備にしよう。
ほら、三分以内に身なりを整えて準備をしろ。でないとまたお仕置きだ……♪」
「は、はい……」
――フィデルさんと初めて会ったのは一年ほど前の話になる。
僕は何の因果か、魔物のはびこる”この世界”に突然来てしまった。
しかも目を覚ましたのは砂漠の真ん中。
とにかく人のいる所はないか、と僕は歩き続けた。
しかし、凍りつくような夜の寒さと、うだるように照りつける日光に体力を奪われ――
あてどなく歩けど歩けど彷徨うばかりで、身体だけが飢えと渇きと疲労に苦しんだ。
果ての見えない砂漠の中で僕は建物を見つけ、必死で歩きそこに辿りついた。
そこで体力の限界に陥り、遺跡の入り口で倒れてい
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