サバトでラファラナと交友を深めたグランベリアはラファラナの紹介で次々と上級の魔物と相対し、交友を深めた。
あるところでは夜の貴族ことヴァンパイアに晩さん会に招かれ、またあるところではエキドナと一緒に彼女の娘たちを育て、さらにあるところでは自身と同族とも言えるドラゴンと真剣勝負をした。
そして彼らから情報を得、「魔王に最も近い存在」の居場所を突き止め、その「魔王に最も近い存在」に会いに行くこととなった。
「ようこそロティエル城へ。私はこの門を守るガーゴイル、アルデナ」
「同じくこの門を守るエルデナ」
ある魔界の中心の城・・・リリムの一人が住むロティエル城。
そこの門にグランベリアは立っていた。
「グランベリアだ。ここの城主、アルレーミア=ロティエル殿にお目通りかかりたく、このたびは参上した」
懐から以前自分を晩さん会に招いたヴァンパイアのカテリーナ=ロサルティアの紹介状を取り出し、アルデナに渡す。
アルデナはその書状に目を通し、一つ頷いた。
「では今から取り次ぎますので少々お待ちを・・・」
「その必要はないわ」
不意にアルデナの声が遮られた。
声がした方向を見るとそこには一人のサキュバスが立っていた。
「『近いうちにこの城を訪ねる者がいる。その時はすぐに私の元に通しなさい』と、アルレーミア様から仰せつかっているわ。彼女を通しなさい」
「はっ・・・グランベリア様、どうぞお通りください」
二人のガーゴイルは左右に別れてグランベリアが通る道を作った。
グランベリアは二人に礼を言い、そのサキュバスにつられて城の中に入っていった。
「改めまして、ようこそロティエル城へ、グランベリア様。私はこのたび貴女様を私どもの主であるアルレーミア様の元まで御案内させていただく、サキュバスのアンラヴィスと申します」
「グランベリアだ。短い間だが、よろしく頼む」
「はい、よろしくお願いします」
先ほどまでの硬いあいさつとは打って変わって人懐こい笑みを浮かべてアンラヴィスはグランベリアに頭を下げた。
「本来であればゲストはもっと盛大に、この城の者総出で歓迎するのが礼儀かと存じますが、貴女様なら普段の我々の姿を観察されたいだろうと思いましたので、私だけの出迎えとなりました。我々の普段の姿を見せるためとはいえ、このような貧相な出迎えで申し訳ありません」
廊下を歩きながらアンラヴィスは説明し、頭を軽く下げる。
その廊下を歩いていると、部屋から淫らな嬌声が聞こえてきた。
思わずグランベリアは顔を伏せて赤らめてしまう。
「このとおり、非常時以外の我々はアルレーミア様も含めて夫や恋人と自室で交わるばかりの生活でございます。魔王軍の一つを束ねられる武人のグランベリア様からすればずいぶん自堕落な生活と笑われることでしょう」
「いや・・・」
少し苦笑を浮かべながらグランベリアは答える。
主のアリスフィーズは「自衛のためであれば何をしてもかまわない」とグランベリアを始め、四天王の行動を黙認している。
そのため、たまもやアルマエルマ、そして自分は「自衛」と称して勇者のパーティーを叩き、戦利品として性玩具とする日常を送っていた。
もう一人の四天王、エルベティエに至ってはウンディーネの洞窟に居ついて、アリスフィーズの命令がなければそこから出ようとしない。
物事に縛られず、協力することなく、奔放に過ごすのがグランベリア達、四天王であった。
『みんな、四天王としての自覚がないんじゃないかしら?』
眼の前に入るのが同じサキュバスのためか、クイーンサキュバスのアルマエルマの言葉がグランベリアの脳裏によみがえり、グランベリアは思わず苦笑を洩らした。
「こちらがアルレーミア様との謁見の間でございます。どうぞお入りください」
廊下から階段を上ると謁見の間についた。
重々しい音を立てて扉が開かれる。
道を示すように敷かれた赤いカーペットの先に、豪華な玉座があり、そこに一人の女性が膝を組んで座っていた。
「どうぞ、中へ・・・」
勧められるがまま、グランベリアは中に入って中央に進み出て、そこで跪き、頭を垂れた。
アンラヴィスは入口で影のように控えている。
「ようこそ、異世界からの来訪者、グランベリア様。私がこの城の主、魔王の娘の一人、リリムのアルレーミア=ロティエルです」
声を聞くだけで鱗が逆立ったかのようにグランベリアは感じた。
その声は非常に魅惑的で、それでいて威厳と威圧感を持ち、かと言っていやらしさなどを含んでいない、何とも不思議な声だった。
「・・・異世界より参りました、魔王軍四天王、グランベリアにございます」
名乗らなくても相手は分かっているだろうが、グランベリアは名乗る。
言葉を続けようとしたが、それより先にアルレーミアが口を開いた。
「ごめんなさい、グランベリア様。もう堅苦しい言
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