ニクスと別れたグランベリアは平地に下りて調査を進めた。
そこでグランベリアは魔物と人間の共存の模様、魔物を否定する集団、それを通してこの世界の大まかな組織の成り立ちを知る。
「いやああっ!? 助けてぇ!!」
グランベリアが森に沿って続いている小道を歩いていると女性の悲鳴が聞こえてきた。
「・・・何事だ? 尋常ではない悲鳴だったが・・・」
別に誰かを助けると言う趣味はないが、声に引かれてグランベリアはそちらの方向に向かった。
「けがらわしき魔物め! この場で神に代わって成敗してくれる!」
「そんな・・・何もしていないのに・・・」
「笑止! 存在自体が罪よ!」
声がしたところにたどり着くと、5人の鎧に身を固めた男が少女をとり囲んでいた。
その少女は尻に昆虫の腹部のようなものを持っており、そこと足首から太ももにかけて黄色と黒の縞模様が入っていた。
似たような魔物をグランベリアは自分の世界で知っている。
ミツバチ娘と言ったはずだ。
ミツバチの巣のようなものを背負い、甲虫のような下半身を持つ魔物だが・・・この世界のミツバチ娘はこのような姿をとっているらしい。
そして、ニクスから聞いていたが、この世界にも魔物を排除しようとする団体がいるらしい。
反魔物派、主神信仰の教団・・・そのように呼ばれている。
どうやら今、この鎧の男どもは神の名目の元、ミツバチ娘を殺そうとしているようだ。
グランベリアの任務はあくまでこの世界の調査のため、このミツバチ娘の命はあずかり知らぬことだったが、さすがに戦闘力が低そうなものを寄ってたかって押し殺そうとするやり方には腹が立った。
「そこの者ども、弱者相手に何をしている? 下卑た手段で刃を汚す暇があるのなら、己を磨き、高めることに費やすがいい」
男どもの背後からグランベリアは声をかける。
グランベリアの気配に気づいていなかったのか、男たちは驚いて振り向いた。
「な・・・新手か!?」
「リザードマン・・・くっ、少々戦い慣れたやつが来たか・・・!」
「安心しろ・・・こちらは5人、トカゲ娘ごときが我ら神の加護を受けた兵が負けるはずがない」
グランベリアの乱入に動揺していた男たちだったがすぐに強気になり、手に武器をとる。
男たちの態度と言葉にグランベリアはため息をつく。
「・・・やれやれ、格の違いも分からんとは・・・加えて、私のことをトカゲと言うなどとは・・・少々、思い知らせてやる必要があるな」
腰の巨剣を抜き放ち、グランベリアは片手で中段に構えた。
「おのれ、けがらわしき魔物め! 我ら教団の力を思い知るがよい!」
一人の男が槍を構えて突進してくる。
重い鎧を着ている割にはそれなりの速さだ。
そこらの傭兵や戦い慣れていない魔物だと対処できないだろう。
しかし、あくまで「それなりの速さ」・・・
剣を少しずらすだけでグランベリアはその突撃を受け流した。
攻撃をそらされた男は突進を止め、冷静に防御しようとする。
槍の攻撃はリーチや機動力に優れる反面、小回りが利かず外したり捌かれたりすれば絶好的な反撃の余地を相手に与えてしまう。
だが男は突撃した。
万が一攻撃を外しても防御すればいいし、そうでなくても鎧が身を守ってくれると言う自信を持っているが故の特攻だ。
つまりは・・・
「その程度の敵を相手にするだけで満足していたわけだな・・・」
捌いた動きの流れのまま、相手が防御の構えをとるよりはるかに先にグランベリアは胴を薙ぐ。
カエルが潰されたような悲鳴を口から漏らしながら男は前のめりに突っ伏した。
峰打ちのうえ手加減をしたため、命には別条はないがしばらくは起き上がれないだろう。
「おのれ小癪な!」
「もう容赦はせん!」
今度は二人が左右からはさみうちにするような形で迫ろうとする。
「最初からその気で来い、愚か者め。だが・・・」
スッと身体をひねって剣を横に構えて溜める。
「その言葉は、格上の相手に使う言葉ではないと知れ!」
グランベリアの巨剣が真横に薙ぎ払われる。
「ぐぇ・・・」
「へぷっ・・・」
たった一太刀で二人の男をねじ伏せてしまった。
その時
「そこまでだ、動くな!」
一人の男がミツバチ娘の首筋に剣を突き付けていた。
「それ以上抵抗すると、こいつの喉笛を掻き切るぞ・・・!」
「くっ・・・」
グランベリアが声を漏らす。
だがその短い声は行動を封じられたことによる焦りからくるものではなかった。
「・・・つくづく失望したぞ」
その言葉を残してグランベリアは跳躍し、ミツバチ娘に剣を突き付けている男の後ろに着地する。
それを感知する暇も悲鳴を上げる暇も許されず、男は手刀を首に叩きこまれ、目をぐりんと上に向けてそのまま倒れた。
「卑怯な手段は好かぬ・・・出直せ。さぁ、貴様はどうするのだ!?」
倒れ行く男には目もくれず、グランベ
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