「えーっと…」
「……状況を確認すると?」
とある日曜の昼下がり、一羽のガンダルヴァと一人の青年が同じ部屋で床に座り込んで首を捻っていた。
「今日の朝起きたら僕がこうなっていて……」
ガンダルヴァが口を開く。続いて青年が口を開いた。
「私がこうなっていた……」
一人称は、一般的に考えればらしからぬ物がそれぞれの口から出た。そして二人は揃ってため息をつく。
「もうびっくりだよ……僕が香織になっていて……」
「私が義弘になっているだなんて……」
ここにいるのはガンダルヴァの羽山香織と人間の男性である臼井義弘。同じ学校に通う高校生であり、恋人同士だ。だが今、二人の口から語られたとおり、二人は入れ替わっていた。起きたら臼井義弘は羽山香織の姿になっており彼女の部屋で目を覚ました。一方の羽山香織も起きたら臼井義弘の姿になっており彼の部屋で目を覚ました。
そう、二人は入れ替わってしまったのだ。
青天の霹靂な事態に二人はパニックに陥りかけたが、幸い二人は知らぬ仲ではないどころか親密で身体も何度も重ねた恋人同士。連絡を取り合い、とりあえず香織の家で落ち合ったのだ。ちなみに集まるのが香織の家になったのは、義弘がガンダルヴァの身体に慣れていないと考えたからだ。慣れていない状態で空を飛んだら怪我では済まない。仕方なく香織は義弘の身体を使って二足歩行をして自分の家に戻った。幸い、誰かに会って義弘のフリをすることにはならなかった。
「親をごまかすのが大変だったけどね……」
「私もよ……義弘が普段、親とどう会話するか知らないし」
香織が自分の親の前で義弘の真似をする分には問題なかった。その様子は何度も見ていた。こうして入れ替わった二人はなんとか合流を果たした。さて、問題はここからだ。
「どうやったら戻るんだろうね?」
「うーん……そもそもどうして入れ替わったか……それが分かったら戻る方法もあるのかもしれないけど……」
二人は再び首を捻る。昨日何をしていたかを話し合ってみても、それらしい物は思い当たらない。いつも通り学校の宿題をして、いつも通り電話して、いつも通り寝た。そして朝になった時にコレだ。
「じゃあもう一回寝たら元に戻るかな?」
「……でも今、眠くないよね……」
一つ思いついたこの案も今は実行に移せそうにない。他に案はないか……二人はしばらく考え続けていたが、やがてそれを放棄した。最初に音を上げたのは義弘のほうであった。考えても仕方がないと思ったのもあるが……もう一つ、考えを妨げられる事態が生じていた。
「あ、あのさ香織……と、トイレを借りてもいいか?」
「いまさら何言ってるの、と言うかここは私の家だし今義弘は私の身体になってるんだし、気にしなくていいで……」
言葉は最後まで続かなかった。そう言えば自分の彼は女性の身体がどうやって用を足しているのか分かっているのだろうか。事によっては一緒にトイレに入って手伝わなければならないだろうか。
どうするべきかと考えながら、彼氏の姿を借りている香織は元の自分の身体を見た。義弘は股間を羽で押さえているが……目は力が入っておらず、口は半開きだ。用足しを我慢する顔ではない。少なくとも自分はそうならない。
ガンダルヴァの表情、ガンダルヴァの特性、トイレを求めている義弘……この三つが香織の中で素早く繋がり、一つの仮説を導き出す。
「えー……替え下着、いるかな?」
ぎくりとした表情を、香織の顔は浮かべた。香織は自分の中で出した仮説を確信した。ガンダルヴァは香りを糧にする種族。当然、番の男の匂いを嗅いだら発情する。そう、目の前にいるガンダルヴァのように。そして股間を濡らしてしまっている……。
「……ごめん」
「いいよ別に。私もたまにやっちゃうから。それよりさ……」
気づけば義弘の身体にも反応が出ていた。股間が隆起し、デニムパンツがテントを作っている。自覚するとさらに硬度は増し、痛いくらいになった。こうなったらやることは一つだ。
「せっかくだから……エッチ、する?」
「い、いやいやいや! 待て待て! なんでこんな時に!? ってか何だよ、せっかくだからって!?」
「えー? 二人ともエッチな気分になっているしここでおあずけはないと思うんだけど?」
せっかく、互いの身体の感じ方も分かる貴重な体験ができそうなのに、と言いながら香織は立ち上がり、義弘に、自分の本来の身体に近づく。義弘も立ち上がり迫る自分の身体から逃げようとするが、発情しているガンダルヴァの身体には力が入らない。それどころか勃起することでより強くなった精の匂いで身体が官能の炎で燃え上がる。上がっていく熱を排出しようとするかのようにダラダラと肉壷は蜜を垂れ流した。溢れ出た粘液はショーツで受け止められて冷たくなる。その感覚が慣れていない義弘には気
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