「うーん、まいったなぁ……しおの流れから考えるとこの辺に流れ着くんだけど……」
人は閑散としており、波の音だけが響く砂浜にて……彼は困った顔で下向き加減にきょろきょろと見渡しながら歩いている。近くの漁村の子どもだ。少年から大人になりかけているとはいえ、肉付きはまだ薄く、漁に出るにはまだ幼い。そんな彼が任されている仕事は、漁に使われる網の手入れであった。自分が将来使うであろう道具と言うことで、網の修繕は漁村の少年たちの仕事なのだ。
彼もその仕事をしていたのだが、少し目を離した隙に、修繕していた網が波にさらわれてしまったのだ。このまま網をなくすと父親や網元に何を言われるか分かったものではない。ぶたれるかもしれない。もう数年もすれば漁に出るであろうが、それでも未熟な子どもなのだ。人気のない砂浜を一人で歩くのも怖いが、大人の説教の方が怖かった。その恐怖が少年の歩を進ませる。
かれこれ数時間は探しており、そろそろ日の勢いも衰えてきた。帰った方が良いかもしれない。そう諦めたかけたその時であった。彼は視線の先に黒い塊を見つけた。村で何度か見たことがある。漁の網を積みに積み重ねるとあんな感じになる。
少年ははやる気持ちに掻き立てられるかのようにそのうず高く積まれた黒い塊に近寄る。果たしてそれは彼が探していた網であった。しかし変である。彼がなくした網は一つだけ。ぐしゃぐしゃと置いたとしても、その黒い塊は大きかった。彼はもう少し網と何かに近づいて目を凝らす。そして驚いた。
網の中に何かがいた。それは、女の子であった。身体の大きさから、少年より少し年下に見える。船が難破して海を漂ったのだろうか? 彼女の身体にはわかめなどが絡みついている。服はボロボロどころか、わかめに埋もれて見えない。死んでいるかと思ったが、肩が微かに、規則正しく動いていた。
「ねえ、だいじょうぶ!?」
慌てて少年は網をひっぺがし、少女を抱き起こした。すぐに海藻まみれの彼女は目を開けた。どろんと力はないが、それでも開いた。
「良かった! だいじょうぶ?」
「水……のどかわいた……」
小さな口がパクパクと動き、かすれ声で少女は囁く。少年は頷いた。なるほど、遭難して飲まず食わずなのであれば喉も乾くはずだ。お腹も空いているであろう。幸い、
「あ、ああ……ちょっと待ってね……」
そう言って少年は腰に手を回した。そこには水筒と少量であるが携帯食が下がっている。
だが、少女はそれに目もくれず、少年の身体からもぞもぞと降りた。そして這うようにして海に向かう。
「ちょっと!」
慌てて少年は彼女を止めようとする。海の水は飲んでは行けない。海神の血とも言える海をそのまま飲む者はその呪いを受け、余計に喉が乾くと村に派遣された教団の司祭が言っていた。だから彼は彼女を止めようとする。
しかし、少女が海に身体ごと浸かり、海水を飲むほうが先であった。塩辛い水を彼女はゴクゴクと音を立てて飲んでいく。
「キミ! ダメだよ! 海の水は飲んじゃダメなんだよ!」
少年も海水に侵入し、少女の肩を引っ張るようにして彼女を止める。少女はきょとんとしたように彼を見た。何で止められたかが分からないかのように。そして小首をかしげた。
「どうして……?」
「どうしてって……」
少年は返答に詰まる。村の司祭の教えをそのまま伝えようとしても、彼女は理解してくれないだろう。じゃあなんと言えば良いのか……海水を飲むと実際にどうなるか……少年は理解していなかった。
黙っている少年に対して少女も黙っていたが、やがて合点が言ったように、ああ、と声を漏らした。
「あなたが水をくれるのね?」
「あ、ああ、そうだよ。だから……」
少年は再度、腰の水筒に手をやろうとしたが、その動きが止まる。少女はおもむろに少年のズボンに手をかけたのだ。簡素な作りのズボンはあっさりと、下着ごと降ろされてしまう。まだ幼くはあるが、もう子どものものとは言いがたい牡器が露わになる。まだ生殖の準備は整えていないが。
「なななな、何をするの!?」
突然の少女の行動に少年は腰を抜かさんばかりに驚く。同時に顔にカアァっと血が上る。初めて出会った少女に自分の大事なところを見られる……そのことに恥辱を覚えたのだ。
そんな少年の反応をよそに、少女は彼の股間に手を伸ばした。そして人差し指と親指でその垂れたペニスを掴み、ゆっくりと手を前後に動かし始めた。
「うううっ!」
異性の手によって触られ、しごかれる感触……司祭の教えに逆らって自分で触ったことがある少年であったが、目の前の少女によってしごかれるその快感は雲泥の差であった。彼女の手は柔らかで、すべすべで、それでいて少しぬめっていて……?
「……!?」
突然、冷水を浴びせられたかのように、快感にとろけ始めてい
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