「ふんふんふ〜ん♪ 今日もいい天気だなぁ♪」
ぽかぽか陽気がそろそろ陰る昼下がり。鼻歌を歌いながら森の中を行く少女が一人。だがその少女は人間ではない。背丈は10インチほど。その背には薄い翅が生えている。額にはポチリと小さな角が二つ。小さな身体をレオタードのような不思議な服で包んでいる。
そう、この少女はピクシーだ。森に住む、イタズラ好きな種族である。名前はイリカと言う。
イリカは森の中を散歩している最中であった。ひらひらと背中の翅を動かしながら進んでいる。と、その進みが止まった。
「ん?」
すんすんと鼻を鳴らす。何かの匂いを嗅ぎ当てたのだ。それは蜂蜜のような、クリームのような、あるいは果物のような……例えようもない、甘くて美味しそうな匂い……
まだ味わったことのない男の精液の方が好みだが、甘いお菓子も大好物だ。にへらとイリカの顔が笑みを浮かべる。
「えへへ〜♪ なんだろう〜?」
今まで進んでいた森の道から外れ、ピクシーは脇道に当たった。甘い匂いが徐々に強くなってくる。その匂いを嗅いでいくうちにイリカの頭がその甘い何かを食べてみたいという欲求でいっぱいになる。
匂いの元は、森の道から100ヤードほど離れたところにあった。それはイリカの身体よりも大きい花だった。花弁はパンジーのような紫色だ。しかし、まだその花は開いていなかった。
「うーん、残念……お花が咲いていたら、蜜が吸えたのかなぁ? まだ蕾なのにこんなにいい匂いがするなんて……咲いたらどんな感じなんだろう?」
初めて見る花だ。興味深そうに、イリカはしげしげとその花を見ながら周囲を飛び回る。観察しているうちに一つの考えがピクシーの脳に浮かんだ。
「もしかして花びらがいい匂いで、それを食べるのかなぁ?」
試しにイリカはまだ固そうな花弁の一枚に手を伸ばしてみる。
その時であった。その花が突然開いたのだ。それも一瞬のうちに。甘い匂いが強くなる。
「えっ?」
驚きでピクシーは固まる。花が開いて中の蜜を吸えるという喜びがないわけではなかった。だがそれより突然の変化に対する驚きと、それに対する本能的な恐怖の方が上回っていた。
果たして、イリカの漠然とした不安が正しかった。花弁の内側がぞわぞわと波打ち、瞬く間にひも状の何かが彼女の手足に絡みついた。
「きゃああっ!? な、何これ!? 離して、離してぇ!」
イリカは翅を羽ばたかせ、もがいて逃げようとするがびくともしない。そのままじわじわと花の方へと引き寄せられる。
「いや、いやぁあ! 誰か……誰か助けてぇ!」
ピクシーは悲鳴を上げるが誰も駆けつけてくれる様子はない。そしてついに、イリカの尻にねちょりと花の一部が当たった。次の瞬間、幾重もある花弁の何層かが曲がり、ピクシーを抱き包むかのように閉じる。
「ひっ……!?」
もしかして、この花に食べられるのではないか……その考えがよぎり、イリカは声にならない悲鳴をあげる。だが、イリカは見ていた。その花弁一枚一枚の内側には、おびただしい量の絨毛が備わっていることを。そのうちのいくらかは伸び縮みしている。
『あのうねうねって……気持ちいいのかな……?』
驚くは魔物娘の本性と言うべきか、死の恐怖にあってもピクシーは性の快楽に関することを考えていた。
イリカが暢気にそのようなことを考えられているのは、彼女が魔物娘だからという理由だけではない。イリカを捕らえている植物から放たれる芳香にも原因があった。芳香が獲物の思考力と抵抗力を奪っていく。
「ふわわ……頭がふらふらする……それに、身体があつい……」
イリカは花の中央で身体をぐったりと弛緩させた。あなや、このピクシーはこのまま食虫植物のような植物に食べられてしまうのだろうか。いや、そうではない。
この植物はフェアリー・ハグ。触手植物の一種であり、今のピクシーにしているようにその身体にある精や魔力を求めて襲いかかる。ピクシーの他にも名前の通りフェアリーや、リャナンシーを襲い、捉えるのだ。
そしてフェアリー・ハグは触手植物だ。捕まえた後、どうするのか。言わずもがなである。
シュルシュルと花弁から無数の触手が伸び、イリカの身体に這わされる。触手の何本かが服の隙間から潜り込み、それを破いた。あっという間にピクシーは生まれたままの姿にされてしまう。
「ひゃああ!? んもぅ! 何するのよエッチ〜!」
ピクシーは叫んで弱々しく身体を攀じる。だが自分の身体が揺れただけでフェアリー・ハグからは抜け出せない。ぱたぱたと翅を動かしたことで鱗粉が散ったくらいだ。その抵抗できていない身体に触手が群がる。髪、顔、腕、腹、脚……そして胸に。
「やだぁ、あ、はあっ……ぬめぬめして……んぅう」
抵抗の声をあげたピクシーだったがすぐにその声に嬌声が混じり
[3]
次へ
ページ移動[1
2 3 4 5 6 7]
[7]
TOP[0]
投票 [*]
感想