「う、うぐ……」
深い闇の中から、フリーダの意識が這い出た。うっすらと目が開かれる。視界はまだぼやけているが、どうやら場所を移されたようだ。
『こ、ここはどこだ……』
まだ力が入らない身体に鞭を打ってフリーダは頭を振る。
「あ、目が覚めたらしいよ」
聞き覚えのある声がした。そちらにフリーダは顔を向ける。視界もはっきりしてきた。彼女が思った通り、そこにはワイバーンのサラがいてフリーダを見下ろしていた。武器を置き、鎧も脱いで平服姿になっているジェイクも横に立っている。今いる場所は広く、壁には障害物用のオブジェクトなどが寄せられていた。どうやら室内の訓練場にいるみたいだ。
「んっ……!」
先ほどは確かに負けた。だが見下されたりするような筋合いはない。フリーダは立ち上がろうとする。だができなかった。見てみると、禍々しい緑色の光を放つ枷が両手首と両足首につけられている。おかげでフリーダは床に縫い付けられたように動けなかった。さらに、口には猿轡まで噛まされている。
「もう俺たちと戦うことはないだろうけど……念のため、拘束させてもらった。この村に住む魔女に頼んでな。さすがのジャバウォックもその枷は破れない」
憎々しげにフリーダは竜騎士と騎竜を睨みつけた。こんなことをして何をするつもりだ、とその目が語っている。彼女の視線を涼しげに受け流しながら、サラは屈みこんだ。
「さっき、あんたは言ったよね? 『そんなワイバーンより絶対私の方がいい』って。そんなことがないことを……ジェイクにとってあたしが一番であることを見せつけてやるんだから」
ぽりぽりと顔を微かに紅くしながら、困ったようにジェイクは頬を掻く。だがまんざらでもないようだ。擦り寄ったサラの腰に自然な動作で腕を回す。
「ね、ジェイク……」
「ああ……」
フリーダの見ている前で二人が顔を寄せる。そのまま二人のくちびるがつながった。始めは軽く触れ合う、ついばむようなバードキス。小さな音と共に二人の軟らかいくちびるが押し付けられてひしゃげ合った。なまじ視力を含む身体能力も高いジャバウォックゆえ、その細かいところまでフリーダには見えてしまう。
「ん、んちゅ……
#9829;」
「んん……」
本当にまだ軽いキスなのに、それだけで二人の幸福感や快感が伝わってくるかのようだった。一度くちびるを離し、二人は互いの目を見つめた。二人とも口と目に笑みを湛えている。ジェイクがサラの顎に指を這わせ、軽く上を向かせる。その手の動きに任せ、サラは目を閉じながらジェイクに再び顔を寄せる。同時に彼女の腕から生えている翼はジェイクの背中を包んでおり、彼を身体ごと自分の方向に引き寄せていた。
再び二人のくちびるが繋がる。今度はぎゅっと押し付け合うキスだ。先ほどのついばむキスとは違い、ずっと密着している。互いに絡みついている腕に力がこもり、相手を離したくないという雰囲気が、横で見ているフリーダにも伝わってきた。
「んんっ……」
猿轡をされたまま、フリーダは呻いた。竜騎士と騎竜の絡み合いをみてジャバウォックは嫉妬する。戦いでも自分に勝ち、さらに互いに想い合い、淫らに絡み合う相手がいることに胸が締め付けられる思いだ。
「はふっ、んんっ
#9829; ジェイクぅ……」
「サラ……んっ……」
二人のキスが更に激しい物となる。口を軽く開けて互いの舌を相手の口内に差し入れている。舌が蛇のように絡まりあい、にちゃにちゃといやらしい音を立てた。熱い吐息が二人の口から漏れ、ときどき相手の名前を囁く。
抱きしめていたジェイクの手もサラの身体を求めて動き始めていた。髪を梳き、首筋や背中をふわりと這う。かすかにくすぐったそうにサラは身を竦めた。一方、ワイバーンのサラの手は細かい動作をするのが苦手なためか、ジェイクを抱きしめたままだ。
背中を這っていたジェイクの手がふわりとまた這う。だが今度はサラの背中を撫でたのではない。手慣れた様子で彼はワイバーンの上の服を脱がせていた。よく見ていないと分からないくらいの早業であった。はらりとサラの胸元を包んでいた布が落ちる。
現れたサラの胸は立派な物だった。大きさはフリーダの方に軍配が上がるかもしれない。しかし、鍛えあげられた胸筋の上に乗る乳房はツンと上向きで形も良く、ハリとツヤがあった。総合的に見ればどちらも甲乙つけがたいのであるが。
その乳房をジェイクはむにゅりと揉みしだく。
「あっ……
#9829;」
短い声をサラは上げた。その身体から力が抜ける。崩れ落ちかけるサラの身体をジェイクはもう一方の手で支えた。だが胸から手は離れない。男にはなく惹き寄せて止まないその感触を彼は堪能する。その行動は男を楽しませるだけではない。揉まれているサラもまた楽しんでいた。胸から立ち上る甘い快感は全身へ
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