「ぐす・・・ぐす・・・うえ〜〜〜ん!!!」
盛大な泣き声を上げているのはピクシーだ。
この小説の中では、沈黙の天使による設定が適用され、美巨乳である。
そんな同じロリ系魔物に大きな差をつける武器を持っているというのに、彼女の顔はなぜか晴れない。
「あたしは・・・あたしはみんなに押しつぶされる運命になんだ〜〜〜っ! みんなで寄ってたかってあたしを潰すんだ〜〜〜っ!」
「小人化の魔法を使えば押しつぶされずに済むじゃないか」
泣き喚く彼女に声をかけたのは以前、ピクシー巨乳化計画を提案したニールだ。
「そういう物理的な話じゃないよ! 設定的な話だよ!」
「今度はどうしたと言うんだよ・・・」
「2010年11月1日に図鑑に追加された魔物を見てよ!」
泣きながら図鑑をニールに押し付けるピクシー。
「ん〜なになに?」
サハギン
川や沼などの淡水の水辺にひそむ水棲型の魔物。「半魚人」とも呼ばれる。(以下略)。
「ふむふむ・・・」
そして図鑑の挿絵に関するコメントは・・・
[ビバ水着! ]
[スク水だああぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!いやっほおおうううううううう!!]
[まさかのスク水!河童もサハギンもサハギン種はスク水民族なんですねw]
[まさかスクール水着で来るとは盲点でした。]
「うえ〜〜〜ん!! スク水属性まで被せられた〜〜! うえ〜〜〜ん!」
噴水のように涙を出して泣くピクシー。
ニールは何も言えない。
河童だったら何とかごまかせたかもしれないが、今度ばかりは意識的にスク水として描かれていると思われる。
色はスク水らしく紺色、胸には名前のようにルーン文字・・・
そして閲覧者の大半が、サハギンが着ている服のようなものをスク水と認識していることをコメントが如実に表していた。
厳密には服ではないらしいのだが、ここではその話は割愛する。
「・・・でも、ピクシーが着ているのはレオタードって説も聞くけど・・・」
「レオタード萌えって言葉はあんまり聞かないもん! スク水のほうが響きもいいし、分かりやすくて一般受けがいいもん!」
「そうなのか・・・?」
とくにスク水に萌えるというわけではないニールは首をかしげる。
だが確かにスク水のほうがAVなどでネタにされていることが多い。
「うう・・・ぐす・・・また被されたよ・・・悔しいよ・・・ぐすっ」
ピクシーの切ない嗚咽が止まない。
それを聞いて胸が一杯になったニールは思わずピクシーを抱きしめた。
今回は被されたことがこたえているのだ。
だから「君にはロリ巨乳って武器があるよ!」と慰めても何にもならない(そもそも、まだ公式じゃない)
『ちょっとグッドニュースがあったんだけどな・・・この雰囲気じゃ言えないな』
だけど、何にもならないかもしれないけど、これだけは言いたい。
「それでも僕はピクシーが好きだよ。だからこそ・・・君が悲しんでいるのは耐えられないんだ」
「ニール・・・」
そして二人は抱き合いながらしばらくの間、声を上げて泣き続けた・・・
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