浜辺のエンジェル

「あっち〜……あっちぃなぁおい!」
手を額にかざしながら俺は空を見上げた。
太陽の光がさんさんと浜辺に、海水浴に来ている人たちに、そして俺に降り注いでいる。
今日、俺こと原田満弘は彼女の天野由衣と海にきていた。
俺たちは大学のソフトボール部のプレイヤーとマネージャーで、付き合って3ヵ月くらいである。
彼女は部活でみんなのためにドリンクを用意してくれて優しかったり、プレイヤーがだれてくると激を飛ばしてくれる厳しいマネージャーだ。
今日は部活がオフだったので、貴重な休みを利用して俺たちは海水浴デートをすることにした。
浜辺は夏休みだけど平日ということもあり、比較的空いていた。
「なのに、由衣のやつ遅いな……」
空いているのだからすぐに着替えて来れると思うのに……
ちらっと時計を見てみる。
俺がここで待ち始めてから、3分しか経っていなかった。
『あれ? まだこれだけしか経っていない? うーむ、結構経った気がするんだけど……』
俺は首をひねったが、すぐにその理由が分かった。
彼女の水着姿を期待していて、気がそわそわしているからだ。
自覚するとそのそわそわした気分がさらに高まった。
「まだかな〜、まだかな〜♪」
小さく鼻歌すら歌ってしまった。
そうしていると……
「満弘せんぱーい!」
更衣室のある小屋から彼女がやってきた。
「ごめんなさい先輩。着替える前にトイレに行っていたらちょっと遅くなってしまって……」
「あ〜、3分くらいしか待っていないから気にしてないよ」
「本当ですか? でも暑かったでしょう、すみません」
腰から生えている白い翼と頭がしゅんと垂れ、頭の動きに同調して上で浮かんでいる輪っかも少し下がる。
そう、俺の彼女、天野由衣はエンジェルなのだ。
「いいってば。それにしても、可愛い水着じゃん。似合っているよ」
由衣の気分を変えるためにも、俺は水着の感想を述べる。
彼女の水着は可愛らしい白ビキニだった。
布地はシンプルに白色で、形のいいCカップの胸とキュートなお尻を包んでいる。
水着の縁にはピンク色のフリルがついていて、可愛らしさをさらに引き立てていた。
だが良く見れば……いや、良く見なくたって生地の面積は結構小さく、露出度が高い水着だ。
特に胸元は大胆に開かれていて、そこから覗くエッチな谷間と胸の膨らみが眩しい。
清楚可憐な魅力を生かしつつ、健康的なセクシーさも出した、エンジェルの彼女にぴったりの水着と言えた。
浜辺のエンジェル……まさにそんな感じだ。
「に、似合ってますか? 恥ずかしいけど……そう言ってくれて嬉しいです……」
白い頬を桃色に染めながら彼女はにこりと笑った。
その笑顔に俺はまた堕とされる。
相手は天使なのに堕とされる。
「先輩、何ボーッとしているんですか?」
のぞき込むようにしながらかけてくれた由衣の声で、俺は我に帰った。
危ない危ない、由衣の笑顔に堕ちていて見とれていたようだ。
「さぁ、いつも頑張っていますから今日はたくさん遊びましょう!」
由衣が俺の手を取って海へと駆け出そうと俺を誘う。
「よっしゃ! 行くぞ!」
「はい!」
俺たち二人は手をつないだまま、海へと突撃したのであった。




ビーチボールで遊んだり遠くまで泳いだりと、俺たちは海に入ってたくさん遊んだ。
他にも、単純に海水をかけ合ったりもした。
「キャッ!? 冷たいです〜!」
つかっている分には温かい海水だが、その水滴が顔とかにかかったらやはり冷たい。
彼女が身を守るようにちょっと縮こまるような仕草を見せる。
その様子がまた可愛らしくて、俺はさらに水を跳ねとばして彼女に海水をかけた。
「あぁん! もうっ! 意地悪な先輩にはこうですっ!」
彼女が右脚を蹴り上げる。
イルカのようなつるりとした、そして白い脚が水面から勢い良く飛び出した。
だがそれと同時に激しく海水が飛び散り、俺の顔に浴びせられる。
「うおっ!? やったな〜!」
「あははっ!」
反撃が上手くいったのが嬉しかったのか笑いながら由衣は海水を飛ばしてくる。
キラキラと飛ぶ水滴、無邪気な笑顔、滑らかで白い彼女の肌とそれを引き立てる水着、白い翼……その姿はまさに浜辺のエンジェルだった。
こんな素敵なエンジェルが俺の彼女だなんて、幸せで胸が一杯になってくる。
しかし……確かに由衣は俺だけの彼女だが、それに関係なく彼女は男の目を引いてしまい、男は無遠慮に寄って来てしまうのだ。
「おいおいお二人さん、さっきからこっちに水がかかってんだよ」
ざぶざぶと波をかき分けてこちらに近づいてくるガラの悪い男二人組……嫌な展開だ。
海の中にいるのだから水がかかったってどうってことはないとも言えるけど悪いのはこちら側だし、これは謝った方がよさそうだ……
「すみません」
「謝って済むんなら警察はいらねぇんだよぉ」
「こ
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