「そう、それで旦那にたっぷりと愛撫されちゃって〜、手マンで潮も吹かされてぇ〜」
「わ〜、いいなぁ〜♪」
夜でも暑い夏のこの頃。
冷房の効いたところも良いが、外に出てビールなどを飲みながら夕食を摂るのも悪くない。
とあるオフィス街の外れにあるビアガーデンでオークとミミックがビールを片手に夜の生活を話している。
その猥談を少し離れたところで、同じようにビールを飲みながら聞いている者が二人いた。
ケンタウロスとユニコーンの二人組だ。
「ふん、食事中だと言うのに猥談を……」
「あら、そう言いながらあなたもちゃっかり聞いているじゃない」
鼻を鳴らしたケンタウロスをユニコーンがからかう。
彼女達は近くのオフィス街のなかにある福来ホテル本社に勤務しているOLである。
ケンタウロスの名前は速水 風歌、ユニコーンの方は白崎 玲奈という。
少々ぶっきらぼうでキツい印象がある風歌と温厚柔和な玲奈……
ほぼ対局的な性格だが、なぜか二人は馬があった。
ランチはよく二人で食べるし、ディナーもこうして二人で食べることもある。
なお、二人とも恋人持ちだ。
「挿入は騎乗位だったんだけどぉ……」
オークの話が続いている。
二人はビールを飲む手を止め、黙って聞き耳を立てた。
「下から突き上げられたり、前と一緒に指で後ろも攻められたり……」
「ああ、あれって気持ちいいわよね〜」
ぴくん!
風歌と玲奈の耳が動く。
オークの「前と一緒に後ろも攻められた」という言葉に反応したのだ。
すぐに自分たちが過剰に反応してしまったことに気づき、互いに顔を見合わせて苦笑した。
オークのいう「前」というのは「膣」、「後ろ」というのはもちろん「肛門」「アナル」のことである。
だが、風歌や玲奈などのケンタウロス種の場合「前」や「後ろ」の意味は少し異なって来るのだ。
ケンタウロス種の言う「前」「後ろ」とは、「前の膣」「後ろの膣」を意味する。
人間の女性の上半身と馬の下半身を持つ彼女達は、膣を二つ持っているのだ。
前、人間の部分と馬の部分の境目に、人間の女性と同じような感じで一つ。
後ろ、馬の部分と同じところに一つ。
どちらでも人間の男と交わり、子を孕むことが可能だ。
よって普通に性交する分には問題ないのだが……
「私たちの場合、前も後ろも同時に攻められる……ってことは出来ないわね」
オーク達には聞こえないような声で、ぼそりと玲奈は漏らす。
彼女の言うとおりだ。
馬の胴体は長く、成人男性が腕を伸ばしても前後の膣には届かない。
挿入時はおろか、手でも前後の膣を同時に愛撫するのは不可能である。
バイブレーターなどの性具を使う手段もなくはないが、あくまで代用手段だ。
人間の女性は複数人プレイなどをすることもあるようだが、魔物娘にとっては論外。
ケンタウロス属の彼女たちには、前後の膣を同時に夫や恋人の身体で攻められるのは叶わない話なのである。
「……憧れはするが、しかたのない話だな」
「そうね……」
二人は揃ってため息をつく。
このままでは気分が沈むだけだと考えた二人はビールを煽り、オークとミミックの話に耳を傾けた。
話の内容はますます過激になっており、
「……濡れてきちゃった♪ 帰ったら彼とエッチしよっと」
「お前もこんな食事中にそんなことを……」
「あら? あなたも濡れてるんでしょ?」
玲奈の言葉に風歌はビールを吹き出しかけた。
「なっ!? なぜそれを……!?」
「カマをかけただけよ。やっぱり風歌は分かりやすいわね」
風歌の反応がおかしく、玲奈はカラカラと笑い、ビールを煽る。
恥ずかしくなった風歌も、それをごまかすようにビールを煽った。
少しの間二人は沈黙し、細い喉を鳴らしながらビールを飲んだ。
しかし、黙ってはいるが考えていることは二人とも一緒だった。
『帰ったら彼とエッチしよう』
『彼に前も後ろも激しく突かれたい……!』
『でも前も後ろも同時に突かれるのは……』
『そんなのできっこないのよね……』
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