ここは福来ホールディングスの子会社、福来観光・・・
その会社のある一室で妖狐の金田 美鈴はちらっと時計を見た。
部屋に掲げられているデジタル時計は16:58を表示していた。
「ああ、まだね・・・」
美鈴がぽつりと、しかし良く通る声で呟く。
ざわざわ・・・
周りの男性社員がざわめき、落ち着きがなくなる。
美鈴はもう一度時計を見てみた。
時計は16:59と表示している。
「もうちょっとで5時ね・・・」
周りの男性社員の落ち着きがますますなくなる。
そして、デジタル時計が17:00を表示した瞬間・・・
「もう5時だわ〜、小腹が空いちゃった♪」
そう美鈴が声を上げた瞬間
「♪まん まん 満足、一本 満足♪」
突然周りの男性社員達が手拍子をしながら立ち上がって歌いだした。
「はっ♪」
それに合わせて美鈴は肩を揺らして踊り、掛け声をあげる。
「♪まん まん 満足、一本 満足♪」
「はっ♪」
男性社員は手拍子を続け、美鈴はついに立ちあがって踊りだす。
「♪まん まん 満足、一本 満足♪」
「はっ♪」
男性社員の囃子と手拍子に合わせて美鈴はくるくると回って踊り、4本のふさふさの尻尾と腰を妖艶に振りながら踊る。
「♪まん まん 満足、一本 満足♪」
「はっ♪」
ここで一旦、囃子と手拍子が止み、美鈴が声高らかに言う。
「おちん(わん♪)一本で精液補給! お菓子じゃないしセックスでエクササイズにもなるからとってもヘルシー! 私もあなたも気持ち良くて、私、満足♪」
美鈴の言葉に男性社員はうんうんとうなづき、再び囃子と手拍子を始める。
「♪まん まん 満足、一本 満足♪」
「あんっ♪ さて〜、今日は誰からいただこうかな・・・♪」
囃子と手拍子をしてくれた男性社員を好色な目で見渡す美鈴だったが・・・
どがっ! ばきっ! ずがん! どすどすっ! ずぎゃん! どが〜ん!
鈍い音が部屋に響き、美鈴と男性社員が崩れ落ちる。
「いった〜・・・ちょっと梅軒係長、やりすぎですよ〜」
叩かれた後頭部をさすりながら美鈴は不意打ちしてきた人物を恨めしそうな目で見る。
その人物は彼女の上司、マンティスの梅軒 みどりだった。
仕事を放置してふざけていた彼女たちを手刀や鎌(さすがに鞘はつけたままだったが)、旋風脚などで打ち倒したのだ。
「・・・仕事、して」
マンティスらしく、必要最低限のことだけ言い、梅軒は係長の席に戻り仕事を再開する。
「も〜ぅ、だからって何もそこまでしなくていいのに・・・と言うかスカート姿で暴れまわるから、パンツ見えてたし・・・」
ぶつくさ文句を言いながら美鈴は席に戻り、デスクの引き出しを開けてチョコレートバーにかじりつくのであった。
おまけ
「はぁ・・・」
「ははっ、金田先輩にも困ったものですね」
ため息をついている梅軒に、部下であり恋人である吉田が頼まれていた書類を渡しながら苦笑する。
確かに好色で奔放ですぐ仕事をさぼって給湯室であんなことやこんなことをし、頼んだ書類の提出などが遅れる美鈴に呆れてため息をついたのだが、梅軒がため息をついた理由はもうひとつあった。
「・・・私だって、我慢しているのに・・・」
梅軒はそう言って肉食獣のように獰猛な、それでいて情欲で潤んだ眼で吉田を見つめる。
「た、たはは〜・・・」
冷や汗を流しながら吉田は今夜、自分の身に起こりうることに期待半分恐怖半分で胸を躍らせるのであった。
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