「1! 2! 1! 2!」
森に向かってこの国の軍隊の小隊が訓練で行進していた。
人数は10人ほど。
「1! 2! 1! 2! へんたーい、止まれ! 1、2!」
全隊止まれの間違えじゃないのか?
隊長の言葉に若干の疑問を抱いたが、部隊は止まった。
とたんに隊長が罵声を上げる。
「バカヤロイ! 俺は『変態、止まれ!』と言ったんだぞ! お前らは変態かっ!?」
止まらなきゃ止まらないで『止まれと言っただろう! 命令を聞け!』と怒鳴るくせにと兵士たちは、まだあどげなさが残る顔を軽くしかめる。
彼らは訓練兵士で、この隊長は指導教官と言ったところだ。
今日初めてこの小部隊の訓練兵士は実地戦闘訓練に望む。
「今から森に入る! この森にはいろんな魔物がいる! 奴らを相手にするのは戦争で兵士を相手にするのとは違う! 奴らは宣戦布告することなく襲い掛かってくる! よって、今この場で武装をする! 槍と盾を手に持ち、いつでも戦闘態勢に入れるようにしろ!」
「イエッサー!」
兵士たちは背負っていた盾と槍を下ろし、実際に手に持って装備した。
隊長もそのようにする。
「準備は出来たか、ひよっこども! では実際に森に入って戦闘訓練といく! 行くぞ!」
「イエッサー!」
訓練兵士とはいえ、スライムやおおなめくじくらいなら撃退することは造作もない。
『よしよし・・・感心感心』
隊列の後ろで隊長のロイは満足そうにうなずく。
彼は部隊が危機に陥らない限り手は出さない。
こうして後ろから訓練兵を見守りながら、周囲を警戒する。
『それにしてもこのひよっこども、初めての実地訓練にしては偉く黙々と進むな・・・肝が据わっているのかなんなのか・・・しかしどうも違和感があるな・・・』
その違和感は悪い展開の前触れだった。
突然、部隊がロイの指示もなく左折したのだ。
「お・・・おい! バカモノ! 止まれ! 止まらんか!」
ロイが怒鳴るが一行に効果がない。
「チクショウ・・・おい!」
大急ぎで追いかけて、まず一番後ろにいる兵士を掴もうとする。
だがそのとき、ロイはめまいを感じた。
「ど・・・どうしたというのだ・・・まさか!?」
そこで彼は思い当たった。
魔物の中にジャイアントアントというものがいる。
普通のアリと同じように、道しるべにフェロモンをつけてエサの場所と巣を結び、これに従ってほかのジャイアントアントはエサがある場所と巣を往復する行列を作る。
だがこのフェロモンは男を引き寄せる効果もあるのだ。
果たして・・・
「あ! やっぱり行列に男の人たちがまぎれているよ!」
後ろを振り向くと10数歩ほど離れたところにジャイアントアントが数匹いた。
手には背中には穀物をつめた袋を持っているようだ。
「くっ・・・このままエサにされてたまるか!」
ロイは槍をかざしジャイアントアントの集団に襲い掛かった。
ジャイアントアントは大して強い魔物ではない。
この程度なら何とか切り抜けられるかもしれない。
「わぁ! 生きがいい!」
「って、そんなこと言ってる場合じゃないって! こりゃやばいって!」
フェロモンの効果でどうも実力が出し切れなかったようだ。
ロイの槍は、先頭にいた一匹が持っていたスコップで払いのけられた。
別の一匹がロイの頭にスコップを叩きつける。
「ぐえっ・・・!」
ノックアウト。
「う〜ん・・・ちょっと重たいけど、背負って持ち帰りますか」
意識が闇に飲まれる直前にそんな言葉を聞いた・・・
『う〜む・・・頭がクラクラする・・・そして何か股間がスウスウして・・・気持ちいい・・・』
殴られた頭でボーっとロイは考えた。
だんだん意識がハッキリしてくる。
目を開けようとすると同時に音が聞こえてきた。
「チュパチュパ・・・ねぇジャックくん、気持ちいい?」
「あ・・・あう・・・気持ちいいよ・・・」
「ほ〜ら、入ってくよ〜」
「だ・・・ダメ・・・出ちゃうよ・・・」
「う〜ん・・・庶民的な味の精液ですな・・・私たちには十分だけど」
『な・・・なんじゃそりゃ〜〜!?』
一気に目を見開き、ロイは起き上がろうとする。
が、起き上がったのは上半身だけだった。
下半身は女に・・・いや、ジャイアントアントに組み敷かれていた。
ただ組み敷いているだけではない。
そのジャイアントアントはロイの逸物を口にくわえていた。
「あ、目が覚めた?」
逸物から口を離してそのジャイアントアントはロイに話しかけてきた。
やや青みがかったショートヘアー、まん丸の黒目、生真面目そうな顔つき・・・
『ちょっと可愛いかも・・・いかんいかん! それどころじゃない!』
ロイはもがいて逃げようとしたが、取り押さえられる。
「あ、コラ! 逃げちゃだめだよ! せっかくイイコトをしようとしているしているのに〜!」
「うそこけ! 俺たちを食べるつもり
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