「はあ!? そんな理由でまだヤッてなかったの!?」
「うう……大きな声で言わないでぇ……」
「いや、だってねぇ……」
友人の羽奈ちゃんが驚いた声で叫ぶ。
放課後の空き教室に、その呆れ声が大きく響いた。
私はサキュバスの紗希。
最近ある悩みを抱えており、同じくサキュバスの羽奈ちゃんにたった今思い切って打ち明けたところだ。
羽奈ちゃんは引っ込み思案な私と違って、イケイケな雰囲気を漂わせるサキュバスらしいサキュバスなの。
だから、私の悩みも解決してくれるかもしれないと思って、意を決して相談したんだけど……。
四六時中彼氏と愛し合ってるこの子には、信じられない話だったみたい。
まあ、そうだよね。
だって……。
「膣が狭すぎてエッチできません。なんて、アンタそれでもサキュバス?」
「ううう……」
そう、それが私の悩みだ。
最近お付き合いを始めた幼馴染の裕二くん。
柔道部に入ってる彼は、背が高くて筋肉質で、とっても私好みのカッコいい身体をしている。
もちろんそれだけじゃなくて、一緒に歩いている時に照れながら肩を寄せてきたり、スイーツが好きだったりと可愛いところもある。
そんなところも大好きで、私は幼い頃から完全に彼にベタ惚れだった。
告白の時だって「小さい頃からずっと好きだった」と堂々と伝えてくれた。
あの時のキスは最高だったなぁ……。
理性を抑えるのが大変だったよ。
そんな、普通の魔物娘なら即ベッドイン間違いなしのシチュエーションにいるのが今の私だ。
それにも拘らず、未だに積極的になれないでいるのは、この膣のせいだった。
「だって、小指が一本入るくらいの幅しかないんだもん……。長さだって第2関節までしかないし……」
種族柄、たまに私は悶々としてしまう日がある。
そんな時に一人で慰めていると、どうしても彼のおちんちんを考えてしまう。
あの大きな身体なら、きっとおちんちんだって凶悪なんだろうな。
そう思うと、指に伝わる膣内の感触が途端に頼りなく感じられて、本番の時にちゃんと彼のを受け入れられるか怖くなっちゃうの。
そんな私の話を言い訳がましく思ったのか、羽奈ちゃんはハァと大きくため息をつく。
「あのねえ、紗希。アタシたち魔物娘は好きな人のちんちんに勝手に合わせられるような身体になってんの。だから、そんなの気にしないで襲っちゃえばいいんだって」
「分かってるよお……分かってるんだけど……」
「ならいいじゃない、今日にでも押し倒してきちゃえば」
「でも裕二くん。そういう雰囲気になったら、あからさまに私から逃げようとするんだもん」
「揃いも揃ってヘタレかおどれらは!!」
私だって伊達に魔物娘に生まれたわけではない。
慣れないながらに雰囲気を作ろうとしてきたし、お誘いもしてきた。
でも、その度に裕二くんは何かと理由をつけて私を避けてしまう。
彼の方から襲ってきてくれるなら、私だって覚悟を決められるのになあ……きっと。
「どうして逃げちゃうんだろ。やっぱり私の身体が好みじゃないのかな」
「そんな凶悪なものぶら下げて何言ってんのよアンタは」
「んん……! つつかないでぇ……」
「お、いい顔できるじゃん。その顔と乳で誘えばあのヘタレも絶対オチるって」
「そうかなあ」
「そうそう、紗希は可愛いんだから自信持ちな」
そう言うと、羽奈ちゃんはにひひと笑う。
悪戯っぽいその表情は、とても淫魔らしい魅力に溢れている。
いいなあ。
羨ましいなあ……。
━キーンコーンカーンコーン
その時、夕日の差す教室にチャイムの音が響く。
部活動の終わりを知らせる予鈴だ。
「あ、ほら。そろそろ部活終わる頃じゃない? 紗希も行ってあげな」
「うん、行ってくる。相談に乗ってくれてありがとう、羽奈ちゃん」
「いいのいいの。カレ待ちしてる間の暇つぶしみたいなもんだから、バイバーイ」
バイバイと手を振り返して、私は彼の待つ体育館へと向かう。
嬉しいな。もうすぐ裕二君に会えるんだ。
「表情……表情……」
彼を待つ間、私は羽奈ちゃんからのアドバイスを小さく繰り返す。
今日はできるだけエッチな表情で迫ってみなくちゃ。
◇
「よし、予鈴も鳴ったし今日はここまでだ! 解散!」
「お疲れ様でしたぁ!!」
俺達は、顧問の号令に対して一斉に答える。
今日の部活はこれで終わり。
あとは片付けと着替えをして帰るだけだ。
いつも体育館の入口で待っていてくれる彼女の姿を想像して、俺の表情は緩む。
最近付き合い始めた紗希は、俺の幼馴染でサキュバスだ。
サラサラとした黒髪ロングヘアに、制服の上からでもはっきりと分かる膨らみはとても魅力的だ。
サキュバスらしからぬ控えめな性格も、可愛らしくてたまらない。
思い切って俺が告白した
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