もうひとつの約束

「ねぇ運命って信じる?」

聞き慣れた声で彼女は聞いてくる

「あるとは思うよ、けどあんまり信じたくないな」



・・・あれ


なんだろう


もっと言わなければならないことがあった気がする


けど、思い出せない



「どうして?」

そんな中、会話は続く

「なんとなく縛られてる感じが嫌だから」

「そっか。私は…」

女性が話そうとすると、不意に女性の胸部をどこからか表れた短剣が貫いた


グサッっと嫌な音とともに辺りが真赤な血に染まる


とっさに駆け寄るが、既に彼女の体は消え、俺の腕はむなしく宙を舞う






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
夢………か


俺がこの国に来てから数ヶ月がたつ。

リアと会ったあの日から何故かあの人の夢を見るようになった


「また……謝れなかったな」


俺はベッドから降りて準備をし、いつもどうり訓練場へと向かった


向かう途中でリアに会った

「おはよう、シン」

「おはよう、リア」

俺とリアは入隊が同期だったため、同じような訓練を受け、自然と親しくなっていた。

「そういえばシン、知ってる?街の外れになんか強い魔物が出るって噂」

「…えっ…………」

それを聞き、俺はとっさにあのことを思い出す。



一年前に俺がしたことを



「シン?、大丈夫?顔色悪いよ」


「………ああ、ゴメン、大丈夫。それで?」


「それでね、軍から討伐隊が作られるらしいよ」


嫌な予感が頭をよぎる


一年前と同じだ


俺は不安を覚えながらも訓練所に向かった


訓練所では既に討伐隊が決めらていた。


その中には,やはりリアも含まれていた。


あの時と違うのは俺も討伐隊に入っていたことくらいだ


出動は3日後


討伐隊の話が終わると俺はリアに声をかける

「リア、今日の夜暇か?」

「えっ?べ、別に暇だけど」

夜という単語に反応したのかリアの顔が赤くなる

「じゃあ今日の0時に俺と手合わせしてくれないか。剣の」

誤解を避けるよう「剣の」と付け加える

するとリアは少しがっかりしたように答える

「あーうん、いいよ」

「じゃあ0時に広場でな」




そうして夜、俺達は広場に来ていた

「それにしても急にどうしたの手合わせなんて?」

「なんて言うかゲン担ぎなんだ、昔知り合いとよくこうやってたんだ」

そういって俺は目を閉じ、あの星の日を思い出す

「さて、そろそろ初めようか」

俺達は互いに礼をして構えた





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

手合わせすること10分弱

一方的な攻めに耐え切れず

俺の敗北で終わった

リアは強い

もしかしたらあの人以上かもしれない

「なぁ、なんでそんなに強いんだ?」

ふと、俺は彼女に聞いた

彼女は空を見上げ

やがて話し始めた

「最初は守りたかっただけなんだよ、街の人を」

どこか悲しげにリアは続ける

「私は、此処に来る一年前、前の軍拾われたんだ」

「私ね、拾われる前の記憶がないの」

「だからとても不安だった。恐かった。でも軍や町の人達が私を支えてくれたの。だから私はせめてその人達を守りたい力になりたい。それだけだよ」



彼女の言葉に強い信念を感じる



彼女の原動力はその強い意志だったのだ


復讐やあの人を救えなかったことへの八つ当たりをしていた俺なんかとは違う



『守るために戦う』



俺は戦う理由を半ば見失っていたが


彼女のおかげでわかった気がする


「そっか。リアは強いな」

俺の発言に少し驚きながらも、やがてリアは微笑んだ

「そんなことないよ、さっきのはたまたまだよ」

「それでも、俺なんかよりずっと強いよ」

苦笑まじり俺が言うと

「じゃあ、シンも私が守ってあげるよ」

リアの言葉に今度は俺が驚いた

「ははっ、俺は大丈夫だよ、それに俺なんか守るより「違うよ」」

リアは俺の言葉に割り込み

「好きだからだよ、シンのことが。だから守りたいんだよ」

「えっ?」

突然の告白に俺は驚きを隠せずにいた

「私ね、実は初めて会った時から「リア」」

今度は俺が言葉を紡ぐ

「ゴメン、リア、俺には…俺には君を受け入れる資格は…ない…ないんだ」

どうしてもあの日のことが頭に浮かぶ

「シン、人にはね、幸せになる権利があるんだよ、たとえ過去に過ちを犯しても、それを償って、幸せになれる権利があるんだよ」

優しい声で彼女は俺を励まそうとするが

俺は

「それでも俺は自分を許せない」

そう

これは俺が背負うべき罪

「…………ただこれだけは約束する。俺も君を守るよ」

リアの目を見て真っ直ぐに言った

「そっか、じゃあ約束ね」

最初は悲しそうな表情だったが、やがて小さく微
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