「また会えたねシン」
「ルカ姉………」
夢?
何故か今回だけはこれが夢だと理解出来た
「ルカ姉・・・ごめん・・・・俺・・・・俺は・・・ルカ姉に」
やっと、やっと謝れた
「後悔・・・・してるの?」
「ああ」
あなたを殺さずにすむ方法があったはずだ
ずっと考えているが答えは一向に出てこない
「後悔しないでとか忘れてとは言わない。でも一つだけ約束して」
目を見てしっかりといわれる
「幸せになってね、私の分まで」
〜〜〜〜〜
目を覚ますと声が聞こえた
女と男の声
声の元を窓越しに見ると
二人の男女が一糸纏わぬ姿で交わっていた
性格には一人の男と魔物だ
「そう、そうよ、ソコォー♪」
なぜこんなところに魔物が?
俺の意識は急速に覚醒してゆき、
窓を開け、辺りを見回す
「あぁ、イイ、イイわぁ。もっともっーとチョウダイ♪」
「フフ、今までこんなふうになりたかった。あなたと交わって快楽に溺れながら一つになりたかったの♪」
町の至るところで魔物に人が男女問わず襲われている
今は討伐隊の出動前日の夜
魔物達が先手を打ってきたのか!?
・・・・彼女は
リアは?
・・・・まさか
嫌な予感が頭をよぎる
俺は直ぐに剣をとり、部屋を飛び出た
とりあえず軍の本部に行けばなにかわかるかもしれないと思い、俺は教会へ向かった
魔王が入れ代わる以前に作られたと言われる地下通路を使い
俺は教会へたどり着いた
荒れた呼吸を整えながらも俺は扉を開け、大聖堂に入った
「待ってたよシン」
扉を開けた先に待っていたのは一人の魔物だった
「そん……な……………どう………して」
目の前の魔物を見て俺はおもわず膝をついた
露出度の高い黒い服、悪魔を連想させるような羽、先端が特徴的な形の尻尾
そして何より、桃色に染まった綺麗な髪とよく知った顔
「………ルカ姉」
一年前のあの日、俺がこの手で殺めた人が今
目の前に立っていた
俺が名前を言った途端、魔物は不満そうな顔をしてしゃべり始めた
「たしかに似てるけど、やっぱり間違えられると悲しいな」
何を言っているんだ?
この姿はどう見たって
………
「・・・・・・リア・・・・なのか」
「そう、私だよ。どう?綺麗でしょ」
あの日、一年前の記憶が蘇る
殺した
俺が
この手で
短剣を
胸に
突き刺した
「なんで………なんでだよ………何でこうなるんだよ!!なんでまた!!」
俺は必死に叫んだ
この理不尽な現実に
「また…何?私を殺すの?」
悲しそうな瞳でこっちを見てくる
「ど…して…それを」
彼女が知るはずのない俺の過去
リアは確かに似ているが
あくまで似ている「だけ」に過ぎない
「私は、なんでも知ってるよ、星空の下で約束したのも、あなたが短剣を胸に突き刺したことも」
「そんな……なんで……」
「また私を殺すの?その剣で」
俺の剣を指差し俺に問う
「違う……………俺は……」
とっさに否定しようとするが
言葉が続かない
――彼女を殺さない
つまりは魔物を受け入れると言うことだ
それは出来ない
その選択は俺の人生を否定することになる
じゃあ彼女を殺す?
それはありえない、論外だ
俺は今日まであの日のことを考えてきたが、あの行動が正しいとは到底思えない
どうすればいい?
俺が悩んでいると彼女は歩き出した
こっちに向かって
「別に何も気にしないでもいいんだよ、リクはただ受け入れてくれればそれでいいんだよ」
一歩、また一歩とゆっくりであるが確実にこちらへ迫ってくる
「前にも言ったはずだ、俺は君を受け入れられない」
俺は一歩ずつ下がっていく
「ダメだよシン。私ずっと我慢してきたんだよ。」
苦しそうな彼女の声
リアの近づく速度が速くなる
どうすればいい
何か、何かないか
考えろ、考えろ!
精神的に追い詰められた俺にひとつの考えが浮かんだ
ルカ姉を殺したのは誰だ?
俺だ
今目の前で苦しんでるのは誰のせいだ?
俺だ
なんだ簡単なことじゃないか
俺は剣を自らの首にあて
「サヨナラ」
力任せに剣をひいた
俺にはこの選択が正しいかわからない
ただこれは甘えだったのかもしれない
[3]
次へ
[7]
TOP [9]
目次[0]
投票 [*]
感想[#]
メール登録