異世界生活三日目。
ミリア様は朝にはギルドに戻ってきた。
ギルドメンバーがいきなり三人も増えていることに狂喜乱舞したあと、シェリルさんとマキアの胸を見てブリジットと同じように打ちひしがれていた。
「何故わしはバフォメットに生まれてきたのじゃ〜」と鏡に映った自分を見て恨みがましい声を上げいる様子は見ていられなかった。
そうそう。結局マキアはこのギルドに居座ることになった。もちろんお目当ては俺。俺みたいな大した事無い男より強くていい男はたくさんいるだろうに。
そう言うとマキアはこう返してきた。
「私はチャンスを大事にする性質でな。次いつ現れるかわからない男を待つほど気は長くない。それに……私から逃げ切った男が大した事無い訳がないだろう?」
あれは追いかけてくるから必死で逃げていただけなんだけどなぁ。
でも仲間が増えるのは心強い訳で。ギルドメンバーとしては歓迎する。
ブリジットはあまりいい気分ではなかったようだが。
よく考えたらスカウトして成功したのはシェリルさんだけだよな。
リルとマキアは勝手についてきた様なもんだし。
次はもっと常識人っぽい人が入ってくれることを祈りながら、メンバー勧誘に移る。
◆
本日行くのはバラム山地、つまり山の方だ。
あの辺は洞窟もあって、様々な種類の強い魔物が生息しているらしい。
絶好の勧誘スポットではあるものの危険も多く、ハイリスクハイリターンな場所なので、魔法が使えて地理に詳しいブリジットとマキア(本当はブリジットだけの予定だったのだが、マキアが俺が行くなら私も行くと言って聞かなかったので連れてきた)が同行している。
今はそこへ向かっている最中だ。
「結構遠いんだなー」
「森と比べるとそうですね」
「そういえば私は山の方へ行くのは初めてだな」
「へー」
そんな他愛ない言葉の交わしあいをしながら道を行く。
……二人に密着されながら。
「マキアさん。暑苦しいのでヒロさんから離れてくれませんか?」
「離れるのは貴様だブリジット。ヒロが動き辛くて仕方ないだろう?」
俺を挟んで火花を散らす二人。
ごめん、頼むから二人とも離れて欲しいんですが。
「そんな筋肉でガチガチの身体を押し付けられたらヒロさんだって嫌がりますよ」
「私の身体はそこまで硬くない! お前の方こそ、そんな胸か背中か分かり辛いのを押し付けてヒロが喜ぶと思っているのならとんだ道化だな」
「何ですって!?」
俺を挟んでの喧嘩が始まってしまった。
この二人は出会ってまだ一日にもなってないのに仲悪すぎだろ。
俺か? 俺のせいなのか?
「おーっと待ってもらおうかそこの人達!」
前方から声がした。
喧嘩している二人は気がついていない。
「盗賊団一の力持ち、剛力のパル」
「盗賊団の頭脳担当、英知のペル」
「どんな罠も朝飯前、職人のポル」
「逃げ足だけなら大陸一、俊足のプル」
「そしてー、それをー、束ねるー、首領のー、マルチダでーす」
大きな棍棒を振り上げる子鬼、眼鏡をかけた子鬼、両手にピッキング用の道具を携えた子鬼、身軽そうな子鬼、そしてシェリルさんと同じようにポワポワしている胸がやたらと肥大化している子鬼が口上と共に現れた。
リーダー以外は顔つきが全員そっくりなので、装飾品以外で判断するのが難しい。
「「「「我ら、鬼蠍盗賊団!」」」」
「我らー、鬼蠍ー、盗賊だーん!」
ギ○ュー特戦隊のようなポーズが決まる。
「「煩い黙れ!!」」
「「「「「ヒッ!?」」」」」
ブリジットとマキアは睨みつけながら一喝し、子鬼達をビビらせてしまった。
俺もチビりそうだった。
「ボ、ボク達はそんな脅しには、くくく屈指ないぞ……?」
確か……パルだったか? が足をがたがた震わせながら必死で虚勢を張る。
「そ、そうです。金目の物とその男を置いて行くのです」
眼鏡をかけているからペルだろうか?
というか金目の物はわかるが、何故俺まで?
「ゴブリンには旅人が男だと、捕まえてその場で犯す習性があるんです」
俺の疑問にブリジットが答えてくれた。
えっ、ということは俺ってもしかしてロックオンされてる?
「ふざけるなッ! 私の夫を置いていくわけがあるか!!」
「何言ってるんですか!? ヒロさんは私の夫です!!」
「ええっ!?」
……いや、まあ。どこぞのラノベの鈍感主人公じゃないからある程度は感づいていたけれども。
どの辺に好かれる要素があったんだろう?
「や、やっぱり止めようよー。あの人達恐いよー」
胸がやたらと大きいからマルチダだったかな?
というか何故この娘だけ最後が"ル"じゃないんだ?
「何で……身長は私と変わらないのに……」
ブリジットは憎しみで相手を殺せたらとか思ってそうなものすごい形相で
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