ミリアータちゃんは「いきなりのことで気持ちの整理も必要じゃろう」と俺に部屋を一室与えてくれて、そこで休むように言った。他のメンバーの紹介やら今後の方針やらは明日からになるらしい。
「はぁ……」
俺は溜息をついてベッドに寝転がる。着ていたその辺に制服は脱ぎ散らかしていた。すぐ帰ることができるわけじゃないんだし皺になっても別にかまわなかったからだ。
部屋は家具こそ少ないが一人が住むには充分な広さで掃除も行き届いている。元々来客用の部屋らしい。
窓の外を見るともう夜になっているようで、明かりがポツポツと見える。もちろん電気のようなつよい光ではなくランタンみたいな優しい光だ。
外からは人だけでなく角が生えている女性、羽が生えている女性、はたまた生首を抱えている女性と改めて自分が異世界に着たことを思いしらされる光景があった。魔物の種類についてもそのうち詳しく調べておいた方がいいかもしれない。
「これからどうしようか……」
俺は自分自身に問いかけるかのごとく呟いた。
ミリアータちゃんが言うにはもしかしたらこの世界の何処かに元の世界に帰る手段があるかもしれないとの事。たとえ確率が低くても何もせずに腐っているよりはマシだ。
グゥゥゥゥ
腹の虫が鳴る音がする。そういえば昼にカツ丼を食い損ねてから何も口にしていない。
別に一食二食抜いたところで死ぬわけではないが、このまま寝るんだったら満腹になってから気持ちよく寝たい。ミリアータちゃんに頼めば果物か何かくれるかな。
というかこの世界の食べ物って俺が食べても大丈夫なものってあるんだろうか。無いと困る。
コンコン コンコン
「あの……お食事、持ってきました」
扉を軽く叩いた音がした後、女の子の声がした。声からして昨日ミリアータちゃんと一緒にいたブリジットちゃんだろう。
俺は食器で手が塞がってるだろうと思って扉を開けてあげる。そこには暖かそうなシチュー(匂いからそう予想した)とパン。それと水が置いてある盆を持っているブリジットちゃんがいる。杖が浮いているのを見ると、どうやらノックしたのは杖らしい。
「ありがとう。丁度腹が減ってたところなんだ」
「それは良かったです」
俺は早速持ってきてもらった料理を口に運ぶ。
まずはシチューと思われるスープを一口。……美味い!!
「これ、すごく美味いな。野菜は味がしっかり染みていて形が崩れていないし、鶏肉も柔らかく煮えている。それにホワイトソースも濃厚だけど優しい味わいで」
「気に入ってもらえて嬉しいです」
俺は美味い美味いとあっという間にシチューとパンを平らげてしまった。ふと隣を見ると、ブリジットちゃんは顔を赤らめている。
「ふう、ご馳走様でした」
「こんなに気持ちよく食べてもらえて。作ったかいがあります」
「これを君が作ったんだ?」
以外だった。てっきり専属の料理人みたいな人が作ったかと思った。
「料理、上手なんだね?」
「これくらいしか取り柄がありませんし、作れる料理だってそんなに多くないですよ」
彼女は自嘲気味に笑うが、俺はそんなことは無いと思う。
「でも、俺はこれを食べてすごく勇気づけられた。これってすごいことなんじゃないかな?」
しかし彼女はその言葉に対してさらに表情に陰りを見せてしまった。
個人的には元気付けたつもりだったし、シチューのお陰で頑張ろうと思ったのも事実だ。
「…………私の、せいなんです」
「え?」
「私があの魔導書を見つけて、それでやってみようってミリア様に。……グスッ……私、魔女だけど、魔法……あんまり上手じゃなくて。……ヒック……どうせ失敗するだろうと思ってて。こんなことになるとは思ってなくて……ごめんなざい……」
途中からブリジットは泣き始めてしまい大まかにしか聞き取れなかったが、俺がここにいるのはこの子が原因だったらしい。「そんなことない。君は悪くない」なんて実際に困っている俺が言っても無理してるとしか思われないだろう。反って彼女を傷つけてしまうかもしれない。かといって泣いてる女の子を罵倒するような屑に成り下がるつもりは毛頭ない。
「それじゃあさ、俺が元の世界に帰る方法を一緒に探してくれないかな?」
俺は部屋に常備されてあったティッシュの箱を渡した。
ブリジットのかわいい顔は涙と鼻水でべちょべちょになっていたからだ。
「うう?」
ブリジットはティッシュを何枚かとって涙を拭いて鼻をかんだ。
「それでチャラってことにしない? 俺は元の世界に帰りたい。君は俺を巻き込んだことに後悔してる。こうなっちゃったのは、もう仕方ないことだから君が俺の力になってくれることでイーブンにしたいんだ。ダメかな?」
とりあえずあの数秒ではこれくらいしか思いつかなかった。慌てていったからちゃ
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