フリアさんと過ごした三日間からしばらくは実験なども無く、再び鎖に繋がれながら散歩したりたくさんの本を読む日々に戻りました。
レインさんのご好意でフリアさんの体に異常が無いことやきちんとした部屋に入れられたことを教えてもらいました。
あの騎士さんとはなんだかんだで仲良しになっているらしいです。
そして、そこから数ヶ月が過ぎたある日。
最近レインさんと合わないなとか研究員の人達が慌ただしくしてるなと思っていた。
実際は、とんでもないことになっていた。
「研究チームが・・・解体?」
「ええ、2ヶ月後に」
一番初めの時は革鎧で全身を包んでいた人、今では白衣のみで私と話してくれるようになっていたし、料理とかサバイバル関係の面白い本をいくつも教えてもらった。
なぜ解体なんてことになったのか聞こうとした時、研究員さんから口を開いてくれた。
「所長とレインさんが研究費関係で不祥事を起こしたとして別の国に飛ばされたんだ、いきなりね。もちろんあの人達はそんな事をする人じゃないし数カ月前にこの国にやってきた他の国の大臣とか司祭が関係してると思う。」
「そんな・・・」
「そして公式な事は数日後になるだろうけど、君を処分しろ、と書かれるだろう」
「!?」
思わず後ずさる私の肩を掴む。
その手は恐らく悔しさで、震えていた。
「だがそんなことはさせない!その書類が届いて確認したと同時に君にはこの国から逃げてもらう!ある程度の金と荷物は用意してある...最悪人間の世界がダメなら魔物達の所に行くといい...」
「えっ...」
「魔物がなぜ私達を連れ去ったかこの前分かった、連れ去られてもう戻ってこないと思われた者から手紙が来たんだ。見たこともない衣服を来た魔物...というより女性が持ってきた。」
その手紙には、今の魔物達は人を殺すのではなく人間の男性を夫として迎え入れ・・・というか攫い、女性には自分たちと同じ幸福を与えようとして魔物にする。
ということが書かれていたらしい。
「もちろん今まで君に協力してもらったことや襲われた村の検証でなんとなくわかっていた事、それが実際に向こうへ行った人間がすべて証言してくれた・・・だけどっ!」
怒りに任せて壁を殴り続ける。
その拳から血が流れだしたのが見えて急いで止める。
「燃やされたんだ、国王に届く前に・・・こんな物はまやかしだ、なんてあのぽんぽこタヌキ大臣のやつが言い捨ててね。・・・だから君はお父さんとお母さんを探しに行くといい、私達は私達でがんばるよ」
なんて言えばいいのかわからなくなり思わず俯いてしまう。
「フリアも魔物化する傾向は無い、あと1ヶ月ほどで約束通り自由だろう。それとレインさんからの伝言と合わせて私達一同の言葉だ」
フリアさん、本当に良かった・・・
レインさんの!?そう思い顔を上げ、一言一句逃さないようにする。
だけど、ただ一言だけだった。
『ごめんなさい、あなたを助けられなくて』
静かに頬を何かが伝った。
それが涙とわかったのは崩れ落ちて地面を見つめたからで。
私の方が言いたかった、ありがとうございましたと。
言いたかった、ごめんなさいと。
壊れたダムのようにあふれだす涙とわんわんと続く泣き声は暫く止まらなかった。
抱きしめてくれた研究員さんの温かさが、苦しかった。
・
・
・
そして予想通りの文面で来た書類を見た瞬間、合図で私は裏道から走り出す。
当分の間の食料とこの国の地図やサバイバルグッズ。
後ろは振り返らない、今振り返る分は昨日までで済ませてある。
この道を抜ければ、半分魔物の身体能力になっている私だから飛び越せる崖がある。
何度も運動所でテストを行った、右足で踏み飛べば余裕で超すことが出来る。
「っ、見えた!」
もう少し、そう思って僅かに口角が上がった瞬間。
腹部に何かが叩きこまれた。
痛みはそこまで無いが激しい嘔吐感に襲われる。
「かはっ...おえっ、ごほっ...ごふっ」
「いや〜ここまで上手くいくとはねぇ」
誰・・・?女の声...?
「研究員さんたちもご苦労なこって、自分たちが踊らされてるとも知らずにこんな金蔓を渡してくれるなんてねぇ」
逃げないとと思い体を動かそうとしたが、何か粉のようなものを振りかけられ、遠のいていく意識。
私の顔をのぞき込んだ相手はピエロの仮面を付けていた。
「さぁ〜て、たんまり儲けさせてもらいますよぉ狼ちゃん♪」
・
・
・
頭がズキズキする。
ぴちゃんと雫が水たまりに落ちる音、肌に触れる全く動きのない冷えた空気。
両腕を上に引き上げられるこの感覚、目を開けてるのに真っ暗な事で私はまた鎖で繋がれていることを思い知らされる。
カツッカツッという足音が近づいてくる、そして私の目の前で止まる。
「お
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