「ねぇお母さん、どうして皆と水浴びしちゃいけないの?」
「...あなたの体はね、少し皆と違うの」
「おちんちんが付いてること?」
「ええ、あなたが本当に信頼出来る人にだけ教えていい事なの。お母さんとお約束出来る?」
「うん、わかった!」
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あの年、私の村はワーウルフに襲われた。
その日は私が14才になって1週間後の夜の事だった。
夕御飯を楽しく食べていた時、村中が異様な騒ぎになっている事に気づいた両親に部屋に篭っているよう言われじっとしていた時
窓が触れても居ないのに急に開き、何者かが入ってきた。
「ん〜?可愛い子はっけーん♪怖くないよ〜」
「ひっ!?」
はっきり言って怖かった。
見た目は綺麗なお姉さんだったけれど、両手の人間ではない鋭く尖った爪がロウソクの明かりに照らされまるで手入れのされたナイフのように光っていた。
今にして思えば本能が『逃げなかったら何かが終わる』と告げていた。
「大丈夫だって、痛くないよ〜すっごく気持ちいいんだから♪」
「嫌、おかあ...さ...ん...助け...」
ジリジリと近寄る魔物と後ろに下がる私。
手の届くものをとにかく投げつけるが「あいてっ」とか僅かに仰け反るだけで意味を成さない。
背中が壁にぶつかる、逃げようとしても魔物の目に見つめられると足が竦み動けない、ただ震えるだけ。
「だからそんなに怖がらなくても・・・」
諦めかけたその時、部屋の扉が勢い良く開かれ飛び出してきた何かに魔物が押さえつけられた。
その時、僅かに右肩と右足首に違和感があった。
「ニミュ、早く逃げなさい!」
「お母さんっ!」
「だっ、ちょっ!?そういう風に抑えられると突っぱねるとき怪我させちゃうんですけど!?」
足元でじたばたと暴れる魔物を必死に押さえつけるお母さん。
だけど直ぐに剥がされて寝転がされお腹の上に座られてしまう。
「ま、家族皆ヤっちゃうから順番変わってもいいか」
お母さんの両腕を抑えた魔物は口を大きく開けてゆっくりとお母さんの首元に近づける。
「ひぃぃっ!嫌っ、離してぇぇ!」
「離しやがれ!」
お母さんが食べられそうになった瞬間、部屋に飛び込んできたお父さんが魔物にタックルをして引き剥がす。
魔物は壁に叩きつけられ打ち付けた頭をさすっていた。
「あいたた・・・乱暴だなぁってちょっとぉ!?」
「やらせるか・・・やらせるかぁぁ!!!」
お父さんが魔物の両腕を、お母さんが腰にしがみついて押さえつける。
「早く逃げなさい!ニミュ早く!」
「お母さん、お父さん・・・」
「お願い...お願いだから...生きてぇぇぇぇぇぇ!!」
「あ、あの殺すつもりなんて・・・ちょっ、ちょっと旦那さん?なにを・・・!?」
お父さんはテーブルの上のロウソクを蹴り倒す。カーペットにゆらりゆらりと広がり火から炎へと変化する。
「さ、流石に丸焼きは私でもきびしいかなーと・・・」
「丁度いい!一緒に燃えてもらうぞ」
「ニミュ、お母さんとのあの約束・・・守ってね」
どうにか両親を助けたかった私だが、燃え広がる炎とお母さんの突き放すような目を見て家の裏口から靴も履かないまま走りだす。
やがて聞こえるお母さんと、お父さんの悲鳴。
遠くまで逃げても見える暗闇の中で見える夕日のようなぼんやりとしたオレンジ色。
両親の悲鳴が頭の中で木霊し、右腕と右足のナイフで軽く切られたような小さな傷から力が抜けるような感覚と風邪を引いた時のようなぼやっと、くらくらとした初めて体験する感覚に苦しめられながらも追手が来ないことを祈りながら森の中を逃げる。
なんとか道らしき道に出ることが出来たが身体の熱さが限界に来て倒れてしまう。
ひんやりとした土の冷たさが心地よく、このまま眠ってしまおうかと思った瞬間地面から何かが聞こえてきた。
ぱから、ぱからという音は段々と近づいてきて私の近くで止まった。
「おい大丈夫か!?この辺りの村が魔物に襲われていると連絡があった!誰かこの子の手当てをしてあげるんだ!」
朧気な意識の中、見覚えのある騎士鎧に安堵し気を失う前に必死で指を動かし村のある方角を指さす。
「あ...あっちが...」
「・・・ありがとう、もう安心していいよ」
その言葉を聞き終えた瞬間、私の意識は途絶えた。
・
・
・
次に目を覚ましたのはどこかの部屋の中。
起き上がろうとして違和感に気づく。
じゃら、と幾つもの金属がこすれ合う重い鎖、右手と右足を覆う革袋。
鎖はベッドの側にいくつもの鉄杭で固定された鉄柱に繋げられていて、右手と足を動かすとじゃらじゃらと音が鳴った。
足も手も丁度手首と足首から覆われていて、口を縛っているのも頑丈そうな革紐だった。
それよりも革袋からはみ出ているふ
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