第九話 道中

ドラゴン夫婦の特訓に巻き込まれてから数日後、次の村まであと2日と言った所まで俺達は進んでいた。
もうこの頃になるとその日野宿するとなると自分が何をすればいいのかという役割分担が出来上がっていた。
もちろん日によってやることを入れ替えたりもするが。

「それじゃ今日は私が食べ物拾ってくるんだよ〜」

「いいの?毛皮もまだ完全に修理出来ていないのに・・・」

「穴は空いていないし細かい傷が多いだけだから大丈夫だよー」

「よし、分かった・・・それじゃいいもん取ってこい!」

「了解だよー!スコッド、ニミュ!」

此処に来るまでに集めた石を並べ、焚き火の土台を作るのをニミュに任せ俺は水を汲みに、ティナは野草や木の実を探しに行ってもらうことにした。

幸い湧き水が少し遠いが道を戻った所にあるのは知っているのでそこまで行くことにした。
晩飯に使う分と後は明日の朝使う分を組めば十分だろうか。
水の冷たさを両手で感じ、顔を洗う。
気持いい冷たさが顔の皮膚を引き締めて意識をはっきりさせてくれる。
この水でデザートを作ったらいいものが出来そうだなどと考えていたその時、ティナの悲鳴が聞こえ、考えるより早く俺の体は走りだしていた。







〜遡ること30分前〜

むふぅ、今回寝ようとしたところの周りは結構食べられるものが生えているんだよ♪
これは・・・うん大丈夫、この木の実は潰れると他の食べ物が果汁で被害食らうから別にして、このキノコは・・・ニミュに聞いてみよう。
少しの時間であっという間に両手で抱えれる程度の籠がいっぱいになったので一旦二ミュの所に戻ってもう一度何か無いか探してみることにした。
今日と明日の朝食べる分は十分確保できたけどどうせなら日持ちしそうな食材を取っておけばいざというとき大丈夫なんだよ!

「なっにっかないっかなー♪」

すんすんと匂いを嗅いでなにか良さそうなものはないか探ってみるとこの前のクリスたちとのどんちゃん騒ぎの時に食べたことのある匂いが茂みの奥からしたんだよ。

がさごそ。

「みきゅー!いいの見っけー!」

目の前に沢山咲いていたのは沢山の白い玉。
丁度花の代わりに串だんごのお団子がくっついてる見た目で、モチミソウって植物!
この前の時知ったけどこの白い玉が茹でるとむにゅむにゅ、焼くと弾力があって美味しいんだよぉ〜。
二ミュがたしか、乾燥させて粉にすると水でこねて小麦粉とかの代わりになるって言ってたしこれは取らないと!
それに目の前に20、30は実がなっているんだよ!
むきゅ〜♪

「一応此処に住んでる動物さん達の分も残しておかないとねぇ」

10個位でいいかな、もぎもぎっと。

「〜♪」

最期の1個〜10個目〜♪

ばふぅぅん!!!

「むきゅぅぅぅぅーー!?」

最期と思って取ろうとしたモチミソウが爆発して白い粉が吹き出したんだよ!?
あう...?なんか....ねむく......すやー。






「ティナ!大丈夫か!?」

焚き火の場所まで戻ったがティナ達の姿は無く、地面に矢印形に掘られた印があった。
それがニミュが掘ったものだと理解した俺はその方向へ急ぐ。
少しばかり進むとニミュが居て、その腕にはティナが抱かれていた。

「ニミュ、何があったんだ?」

「ティナはとりあえず大丈夫、眠っているだけ・・・」

眠っているだけと言われ安心したが二ミュのトーンが落ち、言葉の続きが心配になる。
ティナの顔をのぞき込むといつものようにむにゃむにゃと気持ちよさそうに眠っていた。
頬を指でつつくとすりすりと擦り寄ってくる。

「ねぇ、アレを見て」

二ミュが指を指した方を見るとそこにはこの前食べたモチミソウが群生していてティナが食材集めに使っていた籠の中にもモチミソウが入っていた。
そこで何か違和感を感じてモチミソウに近づこうとした時、違和感を感じたのと同時にニミュが静止する。

「まってスコッド!・・・気づいた?」

「あぁ、なんか・・・本当に数個だけど色が違うような」

真っ白な実をつけているモチミソウに混じってクリーム色っぽい白くないやつがある。

「色の違いは私には見えないけど間違いないわ、それモチミソウモドキよ」

「モドキ?偽物か」

「ちゃんとした利用法なら薬なんだけどね・・・それを摘もうと触ると破裂して、強烈な眠気が起きる花粉をまき散らして吸い込んだ人を眠らせるの」

「毒じゃなくて眠らせるねぇ、ティナが眠っているのもそのせいか」

モチミソウの白いのは実だがモドキの方は花なのか。
そしてさっきの悲鳴は急に出てきた粉に驚いたからなのだろう。

「本来はモチミソウと間違えて食べた動物を眠らせて肉食獣に食べさせ、その死体が土に帰る時に栄養にするって感じ。だけど今の時代だと旅人が眠ってその時
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