第五話 キャラバン『カガリビ』に向けて移動中

※ふたなり描写、百合描写あり



ワーウルフの村を出発してから2日が経過した。
基本的には草原のみのだだっ広い地域なのだが、時々森があったり大きな木が生えている。
獣人系の魔物娘もチラホラと居るのが確認できるので話を聞いたりすれば水の場所とかに困る事はなかった。
地図と現在位置を確認する、この感じなら予定の日時には目的地に着くことが出来そうだ。
問題は目的地に着いた時にキャラバンが根を降ろしていると助かるんだが・・・、こればっかりは運でしか無い。

日も落ち始めてきたので余裕もあることから今日は早めに火を起こし始める。
食料は節約したり途中で食えるものを手に入れてそれと合わせれば余裕で1週間は持つ計算だ。
丁度良さげな樹の枝を3本使って水を入れた小型の鍋を火にかけ、湯を沸かす。
後は干し肉とかそこらで取った食えるものを入れて煮込み、調味料で味を整えてスープの完成。

「よし、飯が出来たぞ」

「待ってましたー!」

「こっちも結界を貼り終えたわ」

毛皮を脱いでメンテナンスしていて途中からチラチラとこっちを見ていてどれだけ楽しみにしてくれていたか分かる。
一度ティナが商品として売っている乾燥させた果物とかを使えないのかと聞いたことがあったが、『これは売り物であって私達が食べるものじゃないんだよ!』と1時間ほど歩きながらプロ根性を教えられる羽目になった。
きっと落ち着いたところに住んだら金とかそういうのでうるさくなりそうだ。

それにしても一番驚きだったのがニミュの技だ。
両腕の枷鎖は着用者本人の魔力によって自由に動かし、長さも変えることができるらしい。
更に伸ばした鎖は切り離しす事も可能で、回収すれば微妙に魔力も戻るらしい。
ので、今まで長い時は30分以上掛けてちまちまと付けていた紐とガラガラもニミュに任せれば一瞬で終わってしまう。

「ニミュ、お前の鎖には本当に助けられるな」

「私からすればこんな平凡な所で警戒用の鎖をとか紐とか張るのがよくわからないけどね」

「昔からの癖さ・・・それに」

「それに?」

「...邪魔、されたくないだろ?」

「っ〜〜!?」

俺が言った意味を理解したのか顔を赤くしてあわあわと動き出すニミュ。
ふふふ、こういうのが面白い。

「むー!二人でイチャツイてないでご飯たべるんだよー!」

「ほいほい」

腹ペコアザラシに突かれながら俺達はこの日の夕食を楽しんだ。
まだ出会って日の浅いニミュとの会話は新鮮だ、彼女は様々な事をよく知っている。
魔界に関係し始めているここらの植物についてもどれが食用に適しているのか、似ている有害な植物はどんなものか等を知っていて教えてくれた。
完全な人間界の植物で食べることができる野草ならば元騎士として知識はあるし間違えることなどまず無いが・・・魔界が関わってくると店でダメだ。
というか酷すぎだろ!なんだよ食ったらすごい美味いけど強力な媚薬になるとか食ったら体液がネバネバになるキノコとか!?
と、言うわけで時間制限がある今回の目的地に向かうにあたってそう言うエロ関係の食い物は極力排除していくことにした。

そして出来たのが今回の肉と食える草のスープにあと一切れのパン。
はっきり言って村とか町で金を出して食う様な物と比べると何ランクも下の料理だ。
でも美味いって言ってくれる、一人で旅していた時とは全く違う感覚だ。

「むきゅぃ〜♪今日も温かいご飯が食べられるんだよ〜♪」

「ティナは一人の時ってどんな飯を食ってたんだ?」

「お魚さんとか貝を丸焼き、んでばくん。だからスコッドと居るとこういう時のご飯でも色々食べれるから楽しいんだよ〜」

楽しい、か。

「そうでもないぞ?新魔物領に来てから改善されたが俺が居た国なんて肉とかは貴族が食うものだったからな、干し肉なんて兵士数人に一つとかそんなレベルだ」

「ほえー・・・」

実際、パスタに塩振ってジャガイモとか野菜を茹でたのがその日の飯とかザラだったし。
だがらこっち周辺とかに来てこんな風に色々な食材や味と巡り会えるのは本当に楽しい。

「ん、ごちそうさま。美味しかったわスコッド」

「お、早いな。今更だが火傷とか大丈夫だったか?」

「目を隠す状態での食事なんてもう慣れてしまっているからね」

「むぃ〜、私もごちそうさまなんだよ〜」

「二人共早いな、俺も食わないとな」

確かに二人の皿はすでに空になっていた。
うん、いい感じに今日もできているな。
数口ほど食べた所でティナがニヤニヤしながらこっちを見てくる。

「スコッドはもう少しゆっくり食べていていいんだよ〜」

「なんだよニヤニヤして・・・」

「こういうこと、なんだよ」

ティナはずりずりとニミュに近づくといきなりキスをした。

「んっ!?ん〜〜〜〜!」

「ん
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