「ここを今日のキャンプ地とするっ!んだよ!」
ぷっぷくぷーとぷにぷにしてそうなと言うか実際している頬を膨らませ、仁王立ちの上に両手を腰に当て、えっへんと胸を張りながらアザラシ娘は草原のド真ん中で宣言した。
ちなみに第一目標である森はもうすぐそこ、という訳で。
「なんでこんな所で泊まるんだよぉぉ!?森見えてるじゃねぇか!それにっ!」
俺は真っ直ぐ天へと指を突き示す、その先には燦々と輝く我らが太陽。
声高々に叫び上げる、アザラシ娘への抗議の声を。
「まだ昼前じゃねぇか!!」
「今日はゴロゴロして過ごすんだよ!ほらっ!」
「あら〜お昼寝ですかぁ〜?私の毛、少し使います〜?」
「ほら、ワーシープもこう言ってるよ!」
いつの間にやら側に居たワーシープの背後に回りこんで毛皮から取り出したハサミをチョキチョキ鳴らすティナ。
気がつけばお昼寝、ゴロゴロと言うキーワードに周りののんびり系魔物娘達が反応してこっちを見ている、ご勘弁願いたいコチラとしては森の中に入って食料関係とか天候とかを対策したいのだ。
「どっから連れてきたんだよお前!?はさみで毛刈りしようとすんな!元居た所に返してきなさい!」
「ちぇー、とにかくスコッドは薪になるもの探してきて欲しいんだよ、私昼寝してるから」
ワーシープにさよならしたティナはごろんと寝転がって物の数秒でぐーすかと眠り始めてしまった。
こうなってしまっては引っ張ろうと押そうと動きやしない。
更にティナを囲う様にワーシープやホルスタウロスとかもゴロリと寝転がってお昼寝を始めてしまった、このまま柵を付けて小屋とか必要設備を用意すれば十分に牧場とかが経営可能レベルになる程に!
という訳で仕方なくわがままお嬢様の言う通りに薪集めに森に向かうことにした。
色々見て回ればワーシープとかも寝返りとかでティナから離れていくだろう。
森の中に入れば先程までの太陽の暖かさが木の葉によって丁度いい明るさに調節されて降り注ぐ。
さながら光のシャワーと言ったところだろうか、森の中に集落や村があるのか一本道が整備されていた。
このまま行けば情報とかこの森で禁止している事等を教えてもらえるかと考えたが、昼寝をしているティナからそう長時間離れるわけにもいかない。
唯でさえ珍しい見た目をしているのだから面白がった魔物娘とかに運ばれると厄介だ。
「お、コイツはオニユリか・・・野苺も実ってるな、少しもらっていくか」
百合の畑でも無さそうだしよく見れば果実や食べれる系の植物が森中に生えている。
此処で生きる動物達は餌に困らなくてよく育ちそうだ。
薪になりそうな落枝もかなり集めることが出来たので戻ることにした。
とりあえずここにある木の実や植物を分けてもらえたら次の町までは食料も十分持ちそうだ。
・・・森の中にありそうな村はどうするかはティナに相談だな。
戻ってきてみればティナがずいぶんと大きくなっていた。
と言うのは間違いでティナの毛皮が倍以上に膨らんでいた、足の方の毛皮をぐいっと顔の方に伸ばして寝袋モードにしている。
・・・おい、おいおいおい何やってんだこのアザラシ!
薪や食料を置いてティナに近づく。
すると一気にチャックが開きティナが顔を出す、ついでに毛皮の中にもう一人・・・耳からしてワーウルフか?目元が見えなからアレだが...美人だな。
目隠し・・・いやアイマスクだろうか、ずいぶん寝るのが好きみたいだな。
「ねぇ!このワーウルフさんと恋人になってよスコッド!」
・・・、いきなり何を言ってんだこのアザラシは。
羊の次は狼を拾ってきやがって。
「お前なぁ、他のカップルの愛しあいを手伝う次は俺と他の魔物娘が愛し合ってるのを手伝いたいのか?というかそのワーウルフ誰だよ!どっから拾ってきた!」
「失礼な!拾ってきたんじゃなくてお昼寝してたら側に居たの!」
俺がでかい声で言ってしまったせいかワーウルフが毛皮の中に潜ってしまい顔だけこっちを見ているような感じになってしまった。
ぐ・・・ついティナとの漫才気分でやってしまった。
「わりぃな、コイツ俺の恋人なんだけど結構変わっててな。今の話は聞き流してくれ」
「あ、あぁ・・・」
まぁ、そりゃあんな変な事を言われたら誰だって戸惑う。
全く...変なことを言いやがって。
「ちょっと、変わってるって何よー!」
「気にするな」
ティナの毛皮の中に居づらくなったのかワーウルフはもぞもぞと動き出す。
「...スマン、出てもいいか?ティナ」
「うん」
毛皮からワーウルフが出てくるその様はまるで羽化をした蝶のように見えた。
羽の様に風になびく長い黒髪。
スラリと伸びた脚、一切のたるみが無い・・・だが女性らしさを全く損ねていない筋肉の付け方。
うっすらと割れた腹筋、そ
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