狂乱祭

 目の前を炎と火花が飛び交っている。武者の口から炎が噴き出され、手に持った槍から砲火が打ち出されているのだ。あちらこちらで爆発が起こり、火の手が上がる。
 辺りは、逃げ惑う人々であふれている。右へ左へと、滅茶苦茶に逃げ回っている。中には、服に火が付いている人もいた。家から爆発とともに飛び出す人もいる。家の中に砲火が飛び込み、爆発したからだ。
 武者の乗った車がぶつかり合い、車の破片が飛び散り、人が転げ落ちる。何人かの者は、車から車へ飛び移り、相手の車に乗っている者に殴り掛かる。
 金色に髪を染めてサングラスをかけた男が、巨体を持つ者に振り回されていた。まるで砲丸投げの様な振り回し方だ。緑色の肌を持つ巨人は、哄笑を上げながら振り回している。
 俺は呻き声を抑えられない。何故こうなったのだ?これは、単なる祭りのはずなのに。

 祭りは、以前とは変わってしまった。魔物娘達が参加するようになったからだ。外国人が日本人の祭りに参加するだけでも、祭りは変わる。ましてや、魔物が参加したら大きく変わる事は当然だろう。
 俺の参加する祭りは、地域によって行われて市が支援している。地域社会に魔物が住み始め、魔物娘の経営する企業が地域に浸透している。それにつれて、魔物娘達は祭りにも参加し始めたわけだ。
 魔物娘達は、地域に溶け込もうと努力を重ねている。人間とは異質である彼女達が、人間社会に溶け込むことは難しい。だが、彼女達は特異な力を持ち、それを人間社会の為に惜しみなく使う。その結果、少なくとも俺の住む地域では受け入れられつつある。
 俺の勤めている魔物娘の会社も、祭りに参加する事となった。その会社は、祭りの行われる地域にあり、地域のある市内で活動している。会社のこれからの活動を考えると、祭りに参加したほうが良いわけだ。

 俺は、ガウナと共に祭りの準備に励んでいた。ガウナは、俺の同僚であるオーガだ。オーガとは、巨体を持つ鬼の様な魔物娘だ。緑色の肌をして、頭に黒い角を生やしている。怪力を持つことでも知られている。
 俺達は警備会社に勤めており、ガウナは俺の先輩にして同僚だ。共に警備の仕事をしている。そして、俺の私的なパートナーでもある。
 俺は、太鼓の練習をしながらガウナを見た。ガウナは、山車を引く練習をしている。二メートルを超える巨体を持ち、筋肉質な体をしている。彫の深い整った顔をしており、汗で濡れた体には官能的な魅力があるのだ。
 俺は、ガウナの汗の匂いを嗅ぐと、ペニスが勃起しそうになる。俺は、ガウナと繰り返しセックスをしてきた。その体の魅力は十分わかっているため、ガウナの汗の匂いを嗅ぐだけで勃ってしまうのだ。
 セックスの誘いをしてきたのは、ガウナだった。仕事の最中に俺に抱き付いてきて、そのままやってしまったのだ。何でも俺のそばにいると、やりたくて仕方が無くなるそうだ。普通だったらありえないだろうが、ガウナは魔物娘だ。パートナーがいない魔物娘は、側に男がいたらやりたくなるのだろう。
 それから、私的な時はもちろんの事、仕事最中でもガウナとセックスをした。普通の会社でこんな事をしたら首になるが、この会社は魔物娘の会社だ。パワハラは厳禁だが、セクハラは奨励するというふざけた会社だ。まあ、あまり仕事をさぼってセックスをすると、お仕置きをされるが。
「そろそろ休もう。冷たいものが飲みてえよ」
 俺は、ガウナの声で太鼓を叩くことを止めた。

 俺とガウナは、冷えたオレンジジュースを飲んだ。ビールを飲みたいところだが、もう少し練習をしたい。練習が終わるまでは、ビールはお預けだ。
 俺とガウナは、隣り合って座っていた。ガウナは、タンクトップにショートパンツ姿だ。腕や肩、胸元が汗で濡れて光っている。ガウナは、タンクトップの胸元をつかんで風を送っていた。股を開いて、汗で光る太ももをさらけ出している。ガウナからは、甘い汗の匂いがただよってくる。
 俺は、ペニスが勃起することをこらえていた。いくらセックスを繰り返した相手だとしても、簡単に勃起することは恥ずかしい。俺は、オレンジュースに意識を集中させようとする。だが、うまくいかない。俺の体は、ガウナの姿や匂いを楽しんでしまう。
 俺は、ガウナから目を離して太鼓を見る。俺は、つい苦笑いしてしまう。もう、太鼓を叩くことは無いと思っていた。祭りに参加することは無いと思っていた。
 俺は、祖父から太鼓を習った。祖父は、祭りで毎年太鼓を叩いていたのだ。俺も、子供のころは祭りに参加して、町内の山車に乗って太鼓を叩いていた。
 だが俺は、祖父の死と共に祭りに参加することを止めた。俺は不器用なガキで、町内のガキどもから馬鹿にされていた。町内の大人たちは、俺を馬鹿にするガキの側に付いた。その方が、町内のガキをまとめるのに都合がいいか
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