俺の目の前で、少年が生贄にされていた。まだ十歳にもならない少年が、祭壇の上で声も出せずに震えている。室内に入り込む日の光を浴びて、生贄の少年の裸体は白く見えた。
少年の前に小刀を持って立たれるのは、太陽神の大神官にして王たる方だ。金糸で太陽を表した刺繍のある服を着て、少年と共に日の光を浴びている。王の少年特有のしなやかな体は、服を着ていても官能を掻き立てるものだ。
王が刀を振り下ろすのと同時に、少年の絶叫が響き渡った。一度では無く、何度も何度も響き渡る。次第に少年の声は弱くなり、やがて声は途絶えた。
王は、大量の血を滴らせる心臓を取り出し太陽に向けてかざす。白い光の中で赤い塊が輝きを放つ。王の顔は恍惚として、白光の中で溶けていく。その表情は、太陽神に愛撫されているかのようだ。
俺は体を震わせた。辺りには、血と香煙のむせ返りそうな臭いが充満している。この臭いの中で、光の中で、少年が少年を屠っているのだ。嫌悪と恐怖と、そして否定できない官能の喜びを感じる。これが太陽神の力なのだろう。俺のような太陽神を信じない者にも、官能を与える事が出来る。俺は、太陽の下で男根を怒張させた。
王は残酷な方だ、太陽神と同じく。俺は、恐れと官能の中で震えていた。
俺は、このような異常な生活とは縁のないはずだった。俺は平凡な兵士だった。毎日訓練に明け暮れて体を疲労で覆い、規則正しく毎日を過ごす。それが俺の生活であった。太陽神も生贄も関係のない事のはずだった。
その節度ある日々は、王の気まぐれによって打ち砕かれた。王は、閲兵している最中に俺に興味を持たれたのだ。俺の前に止まり、熱を帯びた眼差しで俺の体を見つめられた。そして俺に閲兵が終わり次第、王の部屋へ参るように命じたのだ。
俺は困惑しながら、王の部屋へと向かった。俺には、王に呼ばれる理由は分からない。ただ、不吉な噂を耳にしたことはある。王は、男でありながら男に身を任せるという噂だ。もっとも俺は、自分が王の相手をするとは思っていなかった。俺には、これと言った魅力など無いからだ。王が相手を選ぶのならば、もっと美しい男を選ぶだろうと考えていた。
俺の期待は打ち砕かれた。俺は侍従の指示で風呂に入らされ、香油を塗られた後で、腰に巻き付ける物だけを着けた姿で王のもとへ行かされた。王は、薄物をまとっただけの姿で待ち構えていた。
王は、微妙な美しさを持つ方だ。少年と少女の中間にある容姿をしている。少年にしては柔弱、少女にしては猛々しい。その様な不安定な容姿をしていた。艶やかな黒髪は長い睫にかかり、細面を引き立てる。それでいて引き締まった顔立ちをしている。柔らかな曲線を描く肢体は、白く繊細な肌によって成長の途上の女体を思わせる。同時に、外へ向って弾けるような肉体を持つ。少年にして少女、少女にして少年、そう表現するのが相応しい肉体を持たれた方だ。
俺は、王に腰布を脱ぐように命じられた。俺は、ためらいながらも腰布をはがして男根を露わにする。王は、自分の元へ来るように命じられた。俺は、無表情を保ちながら王の下へ参る。王は、俺の体を触りながら確かめていく。俺の筋肉を、微笑みながら愛撫していく。王は、俺の男根を手に取られた。
俺は、王から奉仕を受けた。あたかも女が男に奉仕するように、王は俺に奉仕なさったのだ。王の奉仕は、熟練の娼婦の様に巧みなものだった。王が、繰り返し男を相手してきた事は明らかだ。奉仕が終わった後、王は獣の様に這い蹲り、俺に後ろから攻めるように命じられた。俺は、王の体を犯した。繰り返し繰り返し犯したのだ。
すべてが終わった後で、王は俺に対して微笑みを浮かべながら命じられた。俺を王の側仕えにすると。俺は、その日を境に王の側近兼愛人となった。
俺は、その日から王の相手を務める事となった。王を女の様に扱わなくてはならなくなったのだ。王は、俺の前でしばしば女装をなさった。王の女装は多彩だ。古代帝国の娼婦の様に、体の曲線が露わとなり肌が透けるチュニックを着る事がある。南の大陸の高級娼婦の様に、金で装飾した露出の高い服を着る事もある。東方の貴族の女の様に、裾の長い絹服を着る事もあった。その恰好で俺に奉仕し、俺に責める事を命じられたのだ。
俺には、理解の出来ない事だ。なぜ、男であるのに女の格好をするのか?なぜ、男であるのに男を相手するのか?男でありながら女の様な事をする者がいる事は知っている。だが俺は、彼らの事を理解出来ない。俺自身が関わるつもりも無かった。だが自分の意思とは関わらず、男にして女たる王の相手をしなくてはならなかった。
ただ、王が女装して男を相手するくらいならば、醜聞にはなっても国を揺るがす事は無かっただろう。王は、俺などの想像の及ばぬ凶行を始められたのだ。
王は突如、古代の
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