狂王の祝祭

 俺は祝祭の只中にいた。狂乱の祝祭だ。
 祝祭に狂乱は付き物だと言うかもしれない。だが、俺はこれほどの狂乱は見たことがない。王によって巻き起こされた破壊と混沌の頂点が、この祝祭だろうか?
 俺の目の前を、王と王妃が乗った巨大な車が進んでいる。車は黒地に紅玉と銀で装飾しており、百人の魔物娘と百頭の黒豹によって引かれている。魔物娘達は、光沢のある黒地でできた露出度の高い服や肌の透ける薄い黒色の服を着て、紅玉のはまった銀の装身具を身に着けている。黒豹も、紅玉や銀で飾り立てられている。
 車を引く者以外にも魔物娘はいる。彼女らは音楽を奏でている。フルート、ハープ、シンバル、カスタネットなどを用いて、聴いたことのない音楽を奏でている。舞っている魔物娘たちもいる。しなやかな肢体を駆使し、官能的な踊りを披露している。
 この祝祭は、王と王妃の婚姻を祝う祭りだ。王は、魔王の娘であるリリムを娶ったのだ。リリムは、王の隣の席に乗っている。白銀の髪と紅玉の瞳を持ち、銀と金剛石で装飾された黒のドレスをまとっている。魔物娘はみな優れた容姿をしている。だが、リリムの美貌に比べれば、それらも霞む。美貌などという言葉がむなしくなるほどだ。俺の貧弱な語彙では、表現の仕様がない。
 この国は、元は反魔物国だった。主神教団が大きな勢力を持っていた。だが、王は突如親魔物国に鞍替えすることを宣言し、主神教団に戦いを挑んだ。この国には、主神教団の教会は多く教団兵も数多いた。信徒も多く、重臣や大貴族の中には熱心な信徒も多い。国は内乱状態となった。
 この内乱は、一年で決着がついた。魔王が、王に援軍を送って来た為だ。もっとも、魔王が援軍を送らなくとも、王は勝利しただろう。王は、主神教団の教会を次々と破壊し、王の命に従わない信徒を片っ端から殺戮していた。破壊に次ぐ破壊、殺戮に次ぐ殺戮だった。魔王が軍を送ったのは、王の破壊と殺戮をやめさせる為だったらしい。
 俺も、この破壊には参加した。俺は、王の命令で教会の破壊に駆り出された。俺の職業は石工だ。建物を造る事に関わっている。ならば建物を壊すことも巧みだろうとの事だ。王の兵は、俺達破壊者に破城槌を貸し与えた。俺は新しいおもちゃを与えられた子供のように、この破城槌を使うことを喜んだ。
 教会を破壊しようとすると、神父が俺につかみかかりながら妨害してきた。俺は懐から小刀を出すと、その神父の胸を刺した。神父はわめき声を上げながら倒れた。涜神などどうでも良い。神など俺にとっては邪魔なだけだ。
 王は魔王の力を借りて国を平定すると、魔王に対して一つの要求を出した。魔王の娘と婚姻を結ぶ事を、王は要求した。この要求は、はねつけられるとの見方が強かった。所詮王は、一国の王に過ぎない。魔王の娘を要求しても、相手にされないだろうと。
 意外にも、魔王は娘を王に嫁がせることを了承した。どうやらこの国は、魔王にとって価値のある国らしい。魔王の娘であるリリムは魔王軍に参加しており、この国に大勢の魔物娘達を引き連れて来た。
 祝祭は続いている。俺の前を、王と王妃の車が通り過ぎていく。魔物娘達は、淫猥な踊りを俺の前で披露している。王の車の後から、酒を積んだ車が引かれてきた。魔物娘達は、酒を杯についで沿道にいる俺たちに渡した。露出度の高い黒皮の服を着たサキュバスが、俺に酒を渡してくれた。俺は、杯をあおり酒を飲み干した。嗅いだ事のない香りのする甘い酒だ。百合のような重い香りがするが、百合の香りとは違う。桃と蜂蜜を混ぜたような甘さがあるが、やはり桃とも蜂蜜とも違う味だ。
 俺の体は熱くなった。ただの熱さではない。体の奥底から力がみなぎるような熱だ。頭が熱に犯されている。下半身が熱の渦に巻き込まれている。
 俺の目の前に、ひとりの魔物娘がいる。流れるような金の髪と、日の光に映える褐色の肌、そして赤くぬめる蛇の下半身を持っている女だ。胸と腰を黒皮の服でわずかに覆い、むき出しの腕や腰を紅玉と銀で飾り立てている。ラミアという種族である女は、俺に嫣然と微笑みかけて俺に抱きついてきた。
 俺は女を抱き返し、女の口を吸う。女の体をまさぐりながら、女の匂いを嗅ぐ。女の口は甘い密の味がする。女の体は柔らかさに満ちながら弾力があり、女からはジャスミンの香りがした。俺は口を吸うのをやめると、女の顔を見た。女は肉感的な体つきにも関わらず、整った細面をしている。女は、目を細めて俺に微笑んだ。
 俺はたぎりを抑えられない。女は跪くと、俺の服を脱がして俺の男根をしゃぶり始める。俺の下半身から、熱と快楽が吹き上がった。人前でしゃぶられていることに抵抗は起こらない。女の奉仕に耐えられず、俺は獣じみた声を上げた。すぐに耐えられなくなり、俺は女の口に精をぶちまける。
 女はのどを震わせながら、俺の精を飲
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