俺のケツ穴に目玉を入れろ

「頼む、俺のケツの穴に目玉の付いた触手を入れてくれ!」
 俺は、妻に頭を下げながら手を合わせた。妻は、俺を赤い瞳でじっと見つめている。寝室には暖房を入れているが、なぜか氷点下になっているような気がした。その冷気は、妻の目から放たれているような気がする。顔に付いている目が細まった。
「病院へ行け、このド変態!」
 ゲイザーである妻は、触手を振り回しながらどなった。

 ケツの穴に目玉を入れる欲望を俺が持つようになったのは、ある小説を読んだからだ。その小説は、エロティシズムを論じることで知られるフランスの思想家の書いた物だ。自分のエロ妄想を広げるために、俺はその小説を読んでみた。
 初めは、その小説にあまり期待していなかった。しょせんは思想家の書いた小説だ。畑違いの者が書いた小説だと思っていたのだ。
 予想外の成果だった。その小説は、気の狂った素晴らしいエロ妄想を描いていたのだ。その妄想とは球体に関する妄想だ。太陽、卵、金玉、そして目玉などの球体にこだわっている小説なのだ。
 俺がその小説で興奮したのは、目玉に関する妄想だ。主人公のセックスフレンドである女は、殺した男から抉り取った目玉を自分の体の上に転がす。その挙句、自分の尻やヴァギナの中に目玉を入れるのだ。この場面を読んだ時、俺は勃起してしまった。
 俺の中で妄想が交差した。俺は、女の中に目玉を入れたいのだろうか?ああ、そうだ。俺は、女のヴァギナに目玉を入れたい。だが、俺はもっとやりたいことがある。俺のケツの穴に目玉を入れたいのだ!
 さすがに、人を殺してケツの穴に目玉を入れることはしない。生きている者の目玉を入れたいのだ。俺には素晴らしいパートナーがいる。ゲイザーというパートナーが。
 ゲイザーについて説明しよう。一部の人間からは絶大な人気を誇る魔物娘だが、知らない人もいるだろう。ゲイザーとは、目に特徴がある魔物娘だ。顔には1つしか目が無い。いわゆる単眼に見えるが、彼女はそれ以外にも目がある。背中に10本くらいの黒い触手が生えており、その先端に目が付いているのだ。彼女の目は邪眼と呼ばれ、人間を操る力がある。
 魔物娘には癖のある者が多いが、その中でもゲイザーは特に癖がある魔物娘だ。人間の中には、ゲイザーを気味悪がる者も多い。だが、前述したようにゲイザーを愛する者もいるのだ。信者みたいな奴もいる。
 実際に、ゲイザーをあがめる新興宗教すらあるのだ。俺は、ネットの動画でその宗教団体の祭りを見たことがある。教祖であるゲイザーは白馬に乗って現れた。金モールの付いた黒い軍服を着て、紫色のマントを羽織っていた。彼女はサーベルで天を指し、その瞬間に彼女の邪眼が光る。何万という信者たちは、「ゲイザーちゃん、マンセー!」と叫びながらひれ伏す。
 俺はこの動画を見た時、ゲイザーの邪眼にかかってしまった。危うくその宗教団体に入りそうになったが、ゲイザーである妻が邪眼による暗示を解除してくれた。妻によると、現代メディアを利用して邪眼を使う一部のゲイザーが問題になっているそうだ。
 こうして説明すると、ゲイザーはかなりアレな魔物娘だと思うだろう。その通りだ、ゲイザーはアレな魔物娘だ。そして、そんなゲイザーを愛する人間は変態だと思うだろう。その通りだ、ゲイザーを愛する人間は変態だ。つまり、俺は変態なんだよ!
 話をケツ穴と目玉に戻そう。普通は、人間や魔物娘の目玉をケツの穴に入れようとしたら、目玉をえぐらなくてはならないだろう。だが、ゲイザーは触手に目玉が付いている。触手をケツの穴に入れれば、目玉をケツ穴に入れることが出来るのだ!
 そのことに気が付いた時には、俺は勃起した。妻であるマルセルに、俺のケツ穴に触手と目玉を入れてもらえばいいのだ。思い立ったら実行だ。俺は、マルセルに頼み込んだのだ。

「誰が、お前のケツの穴に目を入れるものか!たわ言もたいがいにしろ!」
 俺は、怒鳴り散らすマルセルに手を合わせて頼み続けた。きちんと浣腸をしてケツの穴をきれいにするからと頼み込む。浣腸か、新しい自分に目覚めそうだ。
「目覚めるんじゃねえ!変態野郎!」
 変態で何が悪い!変態だからゲイザーを嫁にしたのだ。
「あたしの存在を否定するのか!」
 否定していない。変態に愛されることは素晴らしいことじゃないか。変態にも人権はある。変態が生きる権利は憲法でも認められている。憲法万歳!
 俺は大学の法学部を出ており、現在は法務省の官僚だ。変態は、法を学ばなければだめだね。法によって守られている権利は素晴らしいなあ。
「お前は法務官僚のキャリアを汚しているぞ。情けない」
 だめだねえ、法について知らないド素人の発言だよ。俺は、大学時代にわいせつに関する判例を読みまくった。チャタレー夫人にサド侯爵、黒い雪に四畳半襖、愛のコリーダ。
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まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33