俺は、フローリングの床に正座していた。俺の前には、妻であるスカーレットが腕組みをしながら立っている。彼女の金色の瞳は、俺を見据えていた。その瞳は獲物を狩る蛇そっくりだ。
「弁明があるのなら聞いてあげる」
彼女の声は心地良いアルトだ。だが、その声は暴力団員が凄む言葉のように響いている。俺の腕は肌が粟立っている。多分、俺の表情は引きつっているだろう。俺は唇を噛みしめると、声が震えないように注意しながら話し始めた。
「俺はエロ本が好きだ。エロゲーが好きだ。エロDVDが好きだ。それは、俺の存在を形作ってきた物だ。俺が、俺であるための証にすらなっている」
俺は、昂然と顔を挙げながら言った。その時の俺は、怪物に挑む騎士のような気持ちすらあった。
「へえ、それを妻である私に言うわけだ。ラミアである私に言うわけだ」
蛇の魔物娘である俺の妻は、蛇体で床を叩きながら言い放った。
俺が結婚したのは一年前だ。相手は、蛇の魔物娘ラミアであるスカーレットだ。上半身は人間の女とほとんど同じだが、下半身は赤い鱗に覆われた蛇の体だ。現在の日本は、魔物娘の姿が珍しくは無い。俺のように魔物娘と結婚する男もいる。
俺とスカーレットは、仕事の関係で知り合った。俺は介護の仕事についており、特別養護老人ホームで働いている。スカーレットは、高校の介護福祉学科の教師だ。魔物娘の生徒を雇用してくれないかと、俺の勤める特養へ訪問したのだ。
俺の職場は深刻な人手不足となっており、スカーレットの学校の魔物娘を雇用することに踏み切ったのだ。また、彼女の学校の魔物娘を職場実習生として受け入れる事も決めた。それ以来、彼女とは顔なじみになった。そして1年の付き合いを経て、俺たちは結婚した。
正直に言うと、俺は結婚なんて出来るとは思わなかった。我ながら顔が悪いし、コミュニケーション能力も低い。介護という人間を扱う仕事をするには、コミュニケーション能力が必要だ。俺がその介護職をやれるのは、要介護4や5というコミュニケーションをあまり必要としない人たちを相手にしているからだ。
俺は結婚とは縁が無く、一生独身のまま老人たちのおむつを交換して暮らしていくのだと考えていた。そこへスカーレットは入り込んできた。呆れるほど積極的に俺にかかわってきて、1年で結婚という急展開を見せてくれた。この積極性は、魔物娘としては当たり前のことらしい。
スカーレットは、夫の俺が言うのも何だが美人だ。鋭角的に整った顔立ちをしており、そのくせ官能的な体を持っている。金色の髪は整った顔に似合い、褐色の肌は官能的な体に魅力を増している。下半身は赤い蛇体だが、それは彼女の異界の美を象徴しているようだ。こんな美人と結婚出来るとは思わなかった。釣り合わない男と結婚することも、魔物娘にはよくあることらしい。
スカーレットは素晴らしい妻だ。美人というだけでなくて、能力と誠意を持っている。彼女は有能な教師らしく、職場ではきちんと仕事をこなしているようだ。その稼いだ金は、俺たちの生活を支えてくれる。俺たちは共稼ぎであり、家事は共にやっている。彼女の家事能力は、俺よりもはるかに高い。彼女は、俺の倍は家事を負担しているだろう。俺は、彼女に対して頭が下がってしまう。
そしてスカーレットは、セックスにも積極的だ。毎日のように快楽を求める。彼女は、さまざまな性技を駆使して俺を楽しませてくれる。風俗嬢顔負けのエロさだ。
俺は、素晴らしい妻を手に入れたのだ。俺は、世の夫がうらやむ生活をしているのだ。
ただ、スカーレットには1つ重大な欠点がある。それは異常なほど嫉妬深いのだ。ラミアを始めとする蛇の魔物娘は、独占欲が強くて嫉妬深い。白蛇の嫉妬深さは有名だが、ラミアも負けていない。スカーレットは、ラミアの典型だと言えるだろう。
お前はモテない男なのだから嫉妬とは無縁だろう、と言う人もいるだろう。確かに、俺は浮気をする甲斐性は無い。スカーレットと付き合う前は、恋人は全くいなかった。
それでも女との経験はあるのだ。つまり風俗に行っていたのだ。俺は、ソープランドが大好きだった。低賃金しかもらえないが、生活を切り詰めてソープに行っていた。ああ、何という快楽だ。ソープのお姉さんたちは、お金さえ払えば普通の女がやってくれないようなサービスをしてくれる。俺のようなもてない男に、テクニックを駆使してくれるのだ。ソープランド万歳!
ただ、スカーレットと付き合うようになると、ソープには行けなくなった。彼女は、俺の体に鼻を付けて匂いをかいだ。そして俺を視線で突き刺す。
「他の女の匂いがする。1人じゃない、10人以上いる」
ソープに行った後は体を洗った。スカーレットと付き合うようになってからは、ソープには行っていない。何か月も前の匂いなんか残ってい
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