大きな街に一つだけ存在するホテルー[クロートリップ]
いつもだったら、旅行者などが宿泊の為に使用するのだが今日はなにやらいつもと違う感じに見える。
このホテルでは1人の青年が忙しく動いているが、この日はそんな気配をみせず、ただじっとオーブンを睨んでいた。
事の発端はというと、街の町長宅で会議を行っていた時である。
町長の妻、リリムのビアンナさんが提案してきた。
「明後日か、その次の日に街の皆でお茶会してみない?」
ざわつく住人に対し、1から説明をし街のイベントとしてお茶会が開催され、 その際に、ホテルやレストランは会場としてその日は営業停止を義務付けられた。
「だいたい、ホテルが営業停止したらホテルの意味が無いよな」
そんな事を呟きながら、青年はオーブンから取り出したカラフルなクッキーを食器に移し始めた。
「それでは、第1回イベント≪お茶会≫を開催したいと思います」
街の真ん中にある台の上からビアンナさんが全街民に聞こえる様に声を出しお茶会を開始させた。
街では、住民がカップを片手に立ち話や家具屋にある椅子に座っている者が見える。レストランには、小さなカップケーキやマフィン、ドーナッツが置かれており子どもたちが勢い良く入って行くのが見えた。
「すいませーん。クッキーがもう少しで無くなりそうでーす」
案の定、うちのクッキーも始まってから30分もしないうちに消えていきそうだったので、急いでキッチンに戻って新しいクッキーを焼き始めた。
しばらく経った時に、町長夫婦が微笑みながら入ってきた。
なにやら、新しい茶葉を手に入れたらしく、街の中至る所に分け与えているらしい。 その微笑に疑問を抱きながらもその茶葉を受け取ると早々とホテルを出て行った。
そうしてお茶会も終盤に差し掛かった頃に、うちで扱っている茶葉が切れてしまい。仕方なく、先ほど貰った茶葉を使い来客の方たちに飲ませた。
しかし、気のせいだろうか。 先ほどまで楽しく談笑していたのが一瞬にしての沈黙、流石にやばいと思いすぐにキッチンへと向かった。
キッチンの扉を閉めた瞬間、向こうから声が聞こえたので耳を澄ます。
「エリア、今日は君を孕ませるまで攻め立ててやるから覚悟しろ」
「なんだとぉー?あたいに喧嘩売るなんて良い度胸してんじゃないか。うけてやるよ」
「旦那様。どうか今夜、私めに慈悲を」
「カリン、今夜どころか今からでも良い。家に帰って1つになろう」
なんだか聞きたくない言葉が聞こえてくる。
確認の為に、キッチンにある備え付けの電話で町長に掛けた。
「さっきの茶葉は、女性には媚薬。男性には精力材の素になるのよ」
電話に出たのがビアンナさんだったので、すぐに先ほどの茶葉について聞き答えを聞いて落胆するも、しばらく外に出れないので明日の仕込みを仕方なく始めた。
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