聖夜前線

クリスマス

それは誰にでも平等に訪れる一夜の奇跡であり、魔物娘であるならば聖夜を性夜に塗り替えるべく、いつも以上に気合いが入る重大なイベントである。
これは日頃はikaiju 退治に専念するパイロットたちにも等しく言えることである。
さすがにikaiju がいつ攻めてくるかがわからない以上、休日とはならないが非常事態が発生しない限り各自の時間は尊重される。
今回はそんな瞬間にスポットを当ててみたいと思う。




レジスト夫妻の場合

ポンポンポーン!
「メリークリスマス!メイル!」
俺はクラッカーを鳴らし、部屋に戻ってきた愛する妻を迎えた。
「びっくりした...」
メイルは表情こそ変えないものの驚いたようだ。
「これ全部1人で用意したの?」
彼女はクラッカーに驚いたのではなく、俺1人で部屋の装飾ができたことに驚いていたようだ。
「え、あ、まぁ、うん。」
予想外の反応に返答が曖昧になってしまった。
「...」
「メイル?」
今度は何も言わずに黙り込んでしまった。
どうしたものかと頭を掻いていると、メイルはいきなり顔を上げて
「うれしい!」
普段は感情をあまり顔に出さない彼女がいっぱいに咲き誇った笑顔で言った。
「...」
「アーマー?」
突然の破壊力のある笑顔に圧倒された。
何も言えねぇ...
全てが愛おしい彼女に対して最早言葉は必要なく、黙ってメイルを抱きしめた。
彼女も拒むことなく俺の腕の中に収まる。
そしてどのくらい時間が経ったかがわからないうちついに彼女が口を開いた。
「...あのね、アーマー。」
「どうした?」
「お願いがあるの。」
「珍しいな、いいぞ。なんでも言ってみろ。」
「そのね、私を着て欲しいな。」
意外な発言に驚きはしたものの、野暮に理由を聞くこともなく
「もちろん、喜んで。」
二つ返事で引き受けた。

彼女の鎧の一つ一つを丁寧に体に装着させる。
彼女自身で俺に着せることもできたが、あえてせず自分の体にぴったりとフィットしていく様を噛みしめながら時を過ごした。

全てのパーツを身につけて姿見の前に立つ。
その横には俺にしか見えない妻が並び立つ。
「なんか懐かしいな。メイルをちゃんと着るのって。」
「そうだね。」
「狩人」に搭乗するときはいつも、鎧が頭部に展開していたからきちんと鎧として着るのは本当に久しぶりである。
「似合ってるよ。」
メイルが胴回りに手を回し抱きつく。
「ありがとう。」
俺はそっと彼女の頭に手を置き優しく撫でる。
「あ、そうだ!」
本来の目的を思い出した俺は、名残惜しくも彼女を離しテーブルの上に置いたままにしたソレを手に取り
「これ、プレゼント。」
メイルに手渡した。
「いいの?ありがとう。」
毎年のことなのに彼女はいつも喜んでくれる。
「開けていい?」
「あぁ、もちろん。」
メイルが丁寧に包装紙を開け、白い長方形の箱を開く。
「うわぁ!綺麗!!」
そこには細かい所まで金細工が施されたネックレスがあった。
「似合うと思ったんだけどどうかな?」
照れを隠すように目線を逸らし呟く。
「実際につけてみたらわかるかもよ?」
彼女は誘うように微笑みかけた。
「わ、わかった。」
綺麗なネックレスを綺麗な彼女の首にかける。
霊体の彼女にも身につけれられるそれはとてもとても似合っていた。
「綺麗だよ。」
今度は真っ直ぐ彼女の目を見て言う。
そしてどちらともなく唇を近づけー




サーキット夫妻の場合

「こちら魔界地鶏のローストになります。」
シェリーが料理と原産地の詳細を丁寧に説明する。
「あ、ありがとうございます。」
厳粛な雰囲気に呑まれ親しい間なのにも関わらず思わず敬語になる俺マートン。
小さい頃親に叩き込まれたテーブルマナーを思い出し粗相の内容に料理に手をつける。
味は絶品なのだが、絶品なのだが、
「次の料理をお作りしますので少々お待ちください。」
こうも1人だけで黙々と食べるのもなんだか味気ない。
「あ、あのさ!シェリー。」
「どうかしましたか?マートン。何か希望でも?」
「いや、シェリーは食べないのかなって?」
「私は機械なのでヤる事ヤってれば食事は必要ありません。」
「そ、そうだけどさ。」
「私はマートンに最高のクリスマスを過ごして欲しいんです。」
この厳粛な空気はシェリーがマートンを思うが故の行動だった。
「俺としては、シェリーと一緒に食べれたら最高なんだけどな。」
彼女なりの優しさを無碍にするようで心が痛いが俺の本心を打ち解ける。
すると彼女は俺の気持ちを察したのか、
「ご、ごめんなさい!私としたことが!あなたを喜ばせようとして、あなたに気を使わせてしまって。」
「いや、俺も別に謝って欲しいわけじゃなくて、せっかくのクリスマスだからさ。」
「マートン!」
「一緒に食事はできなくても会
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