私は脚を折り曲げ配偶者に覆いかぶさられる体位――俗に言うところの種付けプレスが大好きである。
魔術研究を行う傍ら消費した魔力を夫の精を搾って補給する日々だが、私はこの体位を最も好む。そのためにわざわざ幼い体躯をとっている。魔力行使に都合が良いという点もあるがそんなものはおまけだ。自慢ではないがその辺のバフォメットなぞには負けないほどの超ぷにぷにボディである。
ところが私の夫はなかなかそれをしてくれない。そもそもそういうところに惚れて私が求愛したのだが、夫は私の研究を慮ってか性行為のアプローチさえも控えめなのだ。私が種付けプレスを好むようになったのもプレイの一環として夫にかけた魔法が暴走して襲われてしまったからだ。
もちろんやろうと思えばできないわけではない。行為の際に私が頼めば彼は喜んでそれをしてくれるだろう。あるいは劣情を増幅させる魔法をかけてもいい。しかしそれは違うのだ。
私は自然な流れで欲情した彼に押し倒されて種付けプレスされたいのだ。
しかし彼は行為に対して基本的に受け身である。繰り返すがそういう奥ゆかしさに惹かれて彼と夫婦になったのだが。そういう人物が時折見せる荒々しさが私の心を惑わせて仕方がないのである。
普段は自分を襲わないような人に襲われたいが、襲わせるのは何か違う。我ながら難儀な拘りようだ。
今こうして寝室で彼といちゃいちゃしているがまるで襲ってくる気配がない。ベッドの中で私の体を包み込んでくる彼の腕は優しい。思わず相好を崩す私に心底愛おしそうな微笑みを穏やかに向けてくる。私を襲ったあの日の表情とは似ても似つかない。
そもそももう押し倒されてない。至極穏便にベッドインしてしまっている。ここまで来たらもうあとは次第にいちゃいちゃがヒートアップしていつも通りえっちする流れである。
「今日はリードしてほしい」と頼むことはできるだろうが、恐らく種付けプレスにはならない。大方正常位か対面座位といったところだろう。いや、好きではある。抱きかかえられて口づけされながら奥の方を小突かれるの、大好きである。大好きなのだが今、私は猛烈に種付けプレスされたい。
「……ナナ?」
彼が私の名前を呼びながら顔を覗き込む。二人でベッドの中に入っているので当たり前だが顔が近い。彼と夫婦になって久しいが未だにどぎまぎしてしまう。
「あ……私、変だった?」
「いや、何か落ち着かなさそうだったから」
しまった、思考が態度に出過ぎてしまっていたかもしれない。自分でも表情の変化に乏しいことは自覚しているが、彼はそんな私の些細な変化も鋭敏に感じ取ってくる。そんなところも大好きだ。大好きなのだが今回は裏目に出ている。まずい、彼に思考を悟られてはならないのだ。強調するが襲われるのが良いのであって襲わせてはいけないのだ。
「ごめんなさい、なんでもないの」
「そう? なら、良いんだけど」
どうやら凌いだようだ。しかしどうすれば彼に襲ってもらえるのだろう。いっそデビルやインプのように蠱惑に彼を煽るか。いや、誘い受けは私の管轄ではない。というか普通に恥ずかしくてできない。仕方がないが、ここは次回に持ち越すか――
「ねぇ」
「え?」
「今日は、僕が攻めてみてもいいかな」
一瞬、我が耳を疑った。私が彼に攻めてほしいと頼むことはあっても、彼が自分から攻めたいというのは今まで滅多にないことだった。
「あ、うん」
「そっか、ありがとう」
呆気にとられながらも頷くと、彼はいそいそと準備を始めた。ともあれこれから始まる行為のことを思うと体が疼く。どうして今日に限って彼がこんなことを言い出したのかは判らないが、結果オーライとして愉しむことにしよう。
彼は股を開くとその間に私を座らせた。白いショーツ越しの臀部に彼のモノの感触が伝わる。既にガチガチにいきり立っていると思うとどうしようもなく自分の中の雌が刺激され、下腹部がかぁっと熱くなった。
肌に彼の手指が伸びる。キャミソールの肩紐がずり下ろされ、小ぶりな乳房がぷるんとまろび出た。肌の柔らかさを楽しむように揉み込まれ、悩ましい吐息が零れる。
「日がな一日研究ばかりしてるアンデッドとは思えない肌だよね」
「んぅ……ちょっと失礼じゃない?」
頬を膨らますと「ごめんごめん」と宥めるように指で乳首を転がしてくる。
「あんっ」
喉から艶やかな声が飛び出た。喘ぎもお構いなしに彼は執拗に敏感な突起を弄り回す。弾かれ、摘ままれ、押し潰され、彼の愛撫に喜ぶようにそこがどんどん硬くなる。
血の気のない青白い肌がどんどん高揚し、熱くなっていくのが判る。愛撫が高揚を齎せど、下腹部の疼きはひどくなるばかりで収まるところを知らない。
とうとう耐えられなくなって未だ愛撫を止めない彼の腕を掴み、上気した上目遣いで彼を見つめ
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