ユウねーさんの祀られている神社で行う夏祭りを龍の鳴く祭、と書いて龍鳴祭というらしい
俺は以前からユウねーさんに連れられてその祭りの準備を手伝っていたのだが、それもこの間終わりいよいよ祭りが始まる日までやってきた
…のだが、少し困ったことになっていた
「ゆ、ユウ様!?祭りに参加しないとはどういうことですか!」
「やーだぁ!やだやだやだぁ!」
「ね、ねーさん…わがまま言ったらアカンよ」
そう、祭の要であるユウねーさんが突然祭の参加を拒否し始めたのである
「ユウ様は神社に祀られた龍神として、来ていただかないと困りますぞ」
「今年のお祭りは神様不在としましょう…屋台さえあればお客さんは満足でしょう?」
「それではこの祭をやる意味がございません!ユウ様もあれほど祭を楽しみにしていらしたではありませんか!」
「うぅ、忘れてたわぁ…こんなことになるなら準備の段階で潰しておくべきだったのよぉ」
「神様とは思えない発言が飛び出したんやが」
「困りましたなぁ…」
ユウねーさんを呼びに来た神主さん達もお手を挙げていた、なんで急に祭りに行きたくないだなんて言い始めたのだろうか
気まぐれなところや子供っぽいところがあるねーさんだが、基本的には大人なのでこう言った時に反故する性格じゃないんだけど…
「…と、とりあえず我々は先に会場へおりますゆえ、どうかお考え直し下さい」
「どうやっても変わらないわよぉ…」
そう言って神主さん達は引き返してしまった、うーん…とは言えこの調子じゃ返事が変わることは無いよな
「なんでやユウねーさん、あんなにはりきって準備してたのに…」
「うぅ、たっくんには、たっくんだけには言えないの…ごめんねぇ」
「い、いや、無理強いはしないよ…嫌やったら仕方ないもんなぁ」
「たっくんは優しいのねぇ、でも今はその優しさが痛いわ…たっくんは気にせずみんなとお祭り楽しんでね」
「お、おう…」
そう言われては俺も引き下がるしかない、ねーさんが嫌な理由…なんなんだろうか?去年までは普通に参加してたと聞いたけど
…
「っつーわけなんやが、なんでか分かる人
#12316;」
困った時、俺には頼れる人たちがいる…困った時のお姉ちゃん頼みということでユウねーさんを除くみんなに居間へ集まってもらった
「…姉さん、体調悪い?」
「さっき、ご飯お代わりするくらいには元気だったよね
#12316;」
「今日までとても楽しみにしていたのに、どうしたのでしょうか?」
「ユウは気まぐれで約束事を破るやつではない、が…ユウは少々秘密主義なところがあるからな。」
「頼みのお姉ちゃん達にも分からないかぁ」
「うぅ…たくまちゃんの期待に答えられないダメなお姉ちゃんを許してくださいぃ…」
「あぁいや!シロ姉が悪いわけじゃ…」
「…ユウ姉さん、せっかくの晴れ舞台なのに」
「そうだよねぇ
#12316;毎年毎年張り切ってるのにね」
「ちなみによく知らへんのやけど、ユウねーさんは祭では何をやるんや?」
「なんじゃ、知らぬのか?祀られた神としての力を示すのじゃ」
「神としての力を示す?」
「魔物についてはたー坊の方が詳しいだろうが、ユウは龍…魔物として最上位の力を持つことは知っているな」
「あぁ、知っとるよ。一説によると天候まで操る力を持ってるとかなんとか…」
「あぁ、ユウ姉さんってば雨とか降らせるんだっけ?凄いよねー」
「それほどに凄い力を持っているから、神様として祀られてるってことですね」
「…毎年、祭でその力を少しだけ見ることができるの」
「そう、神としての力を示すため、ユウはその力の一端を祭で見せつけるのじゃ。その際には巨大な龍へと姿を変えるのじゃが、あれは毎年驚愕するのぅ」
魔物娘は、魔王と呼ばれる存在の力により女性の姿になっているらしいが龍の様な強力な力を持つ存在は元の変わる前の身体に戻ることができると聞いた
祭では、そのユウねーさんの力を披露するというのが一番の目玉なのだとか…
「へぇ
#12316;…やっぱり、そんなことやるんだったら俺、ユウねーさんには祭に参加してもらいたいんやけどなぁ」
研究者として、個人としても是非とも見てみたいものだが…
「…あっ!私、姉さんが嫌がった理由分かったかも!」
「ねぇねぇそれマジ!?」
「タクがいるからだよ、だから嫌がったんだ」
「えっ…お、俺?もしかして実は俺、ユウねーさんに嫌われてる…?」
今まで相思相愛で世界一熱々なカップルだと思っていたのに、百年の恋も冷めてしまったのだろうか
「…あぁ、そういうことですか」
「…な
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