「お父さんなぁ、会社の借金肩代わりすることになっちゃったんだ…」
学校から帰ってくると、仕事で殆ど家にいない筈の父親がリビングにいて…俺を見るなりそんなことを言い出した
「は?」
俺、渋川コウジはあまりに急なことに思わず戸惑いの声を上げてしまう
「え、親父…会社の借金って…」
「いやぁ、父さんの会社な…色々と借金を抱えていたみたいで、社長が逃げ出して父さんが肩代わりすることになっちゃったんだよね…」
「社長が逃げ出して…って、なんで親父がその借金肩代わりすることになるんだよ!おかしいだろ!」
聞く話によると、親父は会社ではそれなりの地位にいるらしく…部下も沢山いてその部下たちを路頭に迷わせない為に消えた社長の後始末を請け負ったらしい
まったく親父ったら仕事の事とか全然話さないんだから…親子のコミュニケーションが取れてないなんて昔亡くなった母さんが見たら悲しむぞ
「…ちなみに、借金って如何程…?」
「…これくらい」
そういうと親父は人差し指をピンと立てた
「…い、一千万とか?」
「…ちがう」
「まさか、億単位の話!?」
俺が驚愕の声を上げると、親父は肩をすぼめてうなづいた…億単位の借金をただの一家庭で払えると思っているのだろうか
「そんな…じゃあうちはどうなんだよ!会社は助けるけど家族は助けないつもりかよ親父!」
「そ、それに関しては大丈夫だぞコウジ!お前についてはちゃんと話をつけてあるから!」
「そ、そうなの?流石親父だぜ!」
「あぁ!お前と引き換えに借金を肩代わりしてくれるという方がいてな!お前はこれからその方の下で暮らすんだ!」
「ファーーーーッ!?」
そんなことから俺は、億単位の借金の代わりに…ドナドナの如く親父の車でその方の家へと出荷されたのだった。
「なぁコウジ…」
「なんだクソ親父、あぁもう家族じゃありませんでしたねぇ!」
「か、勝手に話を進めたのは謝るから機嫌なおしてくれよ
#12316;!お前にとっても悪い話じゃないと思ったんだよ
#12316;!」
「人を身売りしといてヌケヌケと…学校まで辞めさせられて?見ず知らずの人の家に買われた?いつの時代なんですかねぇ…今何世紀か知ってる?」
「まぁまぁ…相手の家に行ったら今よりもいい暮らしは間違いないだろうし、何より女の子の家だぞ!ほら悪い話じゃないだろう!?」
「殺すぞ!」
「ひぇっ、息子が反抗期…」
反抗期も何も、急にこんなことになったら誰でもキレると思うんですけど…
「お、着いたぞコウジ!」
車を走らせて数時間、山奥の道路を通りやって来たのは…随分と大きな豪邸だった
洋館…と表した方が正しいのだろうか、まるでファンタジーの世界にあるような建物だ
「はぇ
#12316;…すっごい」
「お前はこれから、ここで世話になるんだ!第一印象から良くしていけよ!」
思ったよりもすごい所に来てしまった…まぁたしかに億単位の借金を、俺と引き換えにすんなり肩代わりできるって言ったらこれくらいの金持ちじゃないといけないんだろうなぁ
「どうも
#12316;先日お伺いした渋川です
#12316;、約束通り愚息を連れてまいりました
#12316;!」
親父がそう言いながらドアのベルを鳴らすと、大きな扉が音を立てて開いて…中から出て来たのは…
「あれ…誰もいない?」
ただ扉が勝手に開いただけで誰も見当たらなかった
「馬鹿!下だ下!目線をもうちょっと下げろ!」
「えっ?」
親父に言われて目線を下げるとそこには…
「あらあら
#12316;、いらっしゃい♪待っていましたのよ、話で聞いていたよりずっといい子ねぇ」
外国人の女の子…だろうか、随分と悠長な日本語を話す俺の身長の半分ほどしかない幼い少女だ
ふわりと揺れるきらめく銀髪の髪、吸い込まれるような紅い瞳、子供には不相応なほどの色香を放つこの女の子は…この家に住んでいる人の娘さんか何かだろうか?
「リリィ様、私の愚息のコウジです!さぁもう何なりと下僕のように扱ってやってくださいな!」
「親父!?何もこの家の娘さんにまでそんな卑屈にならなくても…」
「娘さん?何言ってんだコウジ、彼女がこれからお前の世話になるココの主人だぞ」
「えぇっ!?こ、こんな小さな女の子が!?」
「バッ…!お前、リリィ様に向かってなんてことを…今すぐ謝りなさい!土下座してホラホラ!」
「なんで土下座なんかする必要が…」
「まぁまぁ渋川さん、初めて私を見た人はみんなそう言いますからお気になさらないで」
慌てる親父を、リリィ様と呼ばれた彼女が嗜める…この親父の慌て様見る
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